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クラス内カースト1位の女子と初カキコ…ども…な感じの男子のラブコメ『僕ヤバ』は読者を狂わせ疑心暗鬼に陥らせるヤバイやつですマシーナリーともコラム(2/2 ページ)

『僕ヤバ』はヤバイ。

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 マジか? そこまで読み込んでなかったからグシャグシャにしただけかと思ってたわ……。

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 本当かなあ……。

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 どれ。

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 試して

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 みようじゃないか……! というわけで適当な紙でハートを折ってみました

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 開いてみると……うーんそれっぽいようなそうでもないような……。

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 いや待て……結論を出すのはまだ早い……。折り紙の流派は数多くある……。

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 ほかの「折り方」なら山田にたどりつけるかもしれねえっ……!

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

どうかな。

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 あっ!?!?! 完全に一緒じゃないけどかなり近くない!?!? 近くないこれ!?!? やっぱりハート折りやがったのか山田!?!?!

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 ただ、そもそも手紙の折り紙になってんじゃねーかとか

マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ
マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ

 ハート同様に手紙の折り紙にも無数の流派があるので、試してみてもそれっぽくなったりならなかったりするので謎です。迷宮入りです。私達は桜井のりおにもてあそばれているッッ!

 と、このように『僕ヤバ』は常に「答えを明示しない謎」を突きつけては読者である我々を疑心暗鬼に陥らせるのです。



 例えば桜井のりお氏の投稿したイラストに描かれた山田の部屋に紅茶花伝のペットボトルが置いてあるのとかさ〜〜!! お前それ……絶対Karte.27で市川にもらったヤツだろッッッ!!!

 ほんで市川も山田が食ったポテチの袋をとっといてるんだよな……(Karte.1および単行本第2巻参照)。なんだお前ら……。なんでそんなところで似たもの同士なんだよ……。

 あと第2巻収録のKarte.30なんですけど……この回もね……。まったく明示されてないんだけど……フォントに注目すると……「あれ!?」ってなるんですよね……。


マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ あれ……フォントが……

 考えすぎの類かもしれんけど……。我々は「先入観」で『僕ヤバ』のモノローグは全部市川のモノローグだと思いこんでるけどさ……市川のモノローグってほとんどは「丸ゴシック」なんだよね……。でもこの回は……。


マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ バカな……いつもモノローグは丸ゴシックのはずなのに……

 オッゲッゲッゲッゲッゲ!!!!

 というわけでみなさん、フォントに注目してKarte.30を読んでみてください。今すぐ第2巻を買え。


マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ 明朝体は……誰のモノローグなんだ!?!?!?!?!?!?!?!

私達は市川であり山田である

 そんな謎掛けを繰り返され続けるうちに読者は狂い、だんだん『僕ヤバ』が更新されるたびに「今回はどんな謎が潜んでいるんだ……?」と目を皿にしてコマを追うようになり、Twitterで「俺はこのコマのこの描写はこういう意図が隠されてるんじゃないかと思うんだけど……」「なるほど……」「いやもしかしたら……」と議論を交わすようになります。個人的にはここまで含めて全部『僕ヤバ』みたいなところがあると思うのでみんな『僕ヤバ』はリアルタイムで読んで議論に参加するべきです。しろ。

 そうした観察、推理、議論を更新のたびに繰り返していくと、謎の自意識が読者に芽生え始めます……。そう、「市川と山田のことをいちばんわかってるのは俺だから……」という気持ちです。



 この「いちばんわかってるのは俺」という感情は我々の住んでいるメタ世界、つまり「全読者のなかでいちばん理解できてるのは俺」という感情ではないということにご留意いただきたい。あくまで『僕の心のヤバイやつ』という世界を観測している神の視点を持つものとして、あの世界の中で何よりも市川と山田を理解できているのは俺、という感情です。これにより読んでいる最中、常に「山田……お前そういうところだぞ……!」とか「市川ッッ……! 違うんだ……山田はお前のそういうところがだなぁ……!」と口を挟まずにはいられなくなってしまうんだ! だっていま読んでいる私は、市川や山田より市川と山田のことを理解している(つもり)だから……! 



 でも我々はあくまで観測者でしかないので彼らに口を挟むことはできないのです。我々にできることは桜井のりお先生の手のひらの上でもてあそばれてのたうち回ることだけなのです。だんだん自分でも何を言ってるのかわからなくなってきた。

 そして俺たちは山田と市川のことを理解しているが、干渉することもできない。その事実をかみ締めた読者は次の段階に進みます……。「市川ってめちゃめちゃかわいいな……」と気付く段階に。


マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ かわいいな……

 いや、マジで雨にぬれてるのをいいことに市川の頭をなで回してる山田を見ても、「あら〜〜〜〜〜〜〜〜!!! イチャイチャしちゃって〜〜〜〜〜〜!!!!」という気持ちよりも「山田!!!!!!!!!!!!! 替われ!!!!!!!!!!!」ってなってしまう。どうしてしまったんだ私は。なぜ市川夢女子になってしまったんだ。



 そして……これもおそらく……おそらくだが……桜井のりおの術中ッッ……! なぜ今、市川のことをハチャメチャに魅力的に思えてしまうのか……! それはKarte.30以降、物語の視点が山田寄りになっているからッ……! 山田から、市川がどう魅力的に映っているかを描いているからッ……! 畜生……! 私達は最初のころ、「市川は俺だッ! 俺なんだぁ〜ッ!」って泣きながら川を泳いでたはずなのにいつのまにか「市川がかわいい……この気持ちは……もしかして……山田? 君なのか? 山田は私だったのか?」ってなってしまっているんだッ! なんてことだ……。


マシーナリーとも子 僕の心のヤバイやつ ここの山田は読者である私たちなのです

みんなも僕ヤバ読んで感情をグチャグチャにされよう



 あとTwitterで不定期に投稿されるマンガもオススメっていうかなんか普通に本編の補完っぽくなってる話とかあるし本編以上にイチャコラしてる話が多いので読んで、狂っておきましょう。みんなでオワりましょう。



 桜井のりお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!(なんでそんなこと言うの?????)




とも子:……って感じで書いてみたぞ! どうだ、『僕ヤバ』はヤバイだろう。

担当編集:ヤバイですねえ……。あっ、そうそう。その後桜井のりお先生取材OK出ました。

とも子:えっ。

担当編集:インタビューできます。

とも子:えっ。

担当編集:じゃあ○日の○時からなんで……ヨロシク!

とも子:えっ。

 というわけで次回、インタビュー編へつづく。

試し読み:第1話


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