4月13日まで、早川書房が大規模なkindle書籍のセールを実施しています。国内外の約1000作品が、最大半額で購入できるチャンスです。自宅待機でやることがない方、家で気持ちがふさぎ込んでいる方は、電子書籍で気持ちを切り替えてみるのはいかがでしょうか。
今回はねとらぼ編集部の独断で、いくつかおすすめ作品をピックアップしてみました。みなさまのよき読書ライフの参考になれば幸いです。
デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する(カル・ニューポート)
SNSがいかに自分の行動を支配しているか、そしてその依存がどれほど狙って設計されたものであるか、思い知ることができます。自宅待機の時間を有意義に使いたい方におすすめです。ちなみに筆者はこれを読み、 Twitterのアプリを消しました。
マルドゥック・ヴェロシティ 新装版(冲方丁)
『マルドゥック・スクランブル』シリーズの第2作、『マルドゥック・ヴェロシティ』も、全巻63%オフになっています。前作を読んでいたほうが楽しめることは間違いありませんが、単独で読んでも問題はありません。
本書を推薦するにあたり、主人公がどん底から立ち上がって希望をつかむ物語ではなく、希望を持った主人公がどん底に至るまでを描いた作品である点、また拷問描写が全編に渡ってちりばめられている点で、好き嫌いが分かれる作品ではあります。
しかしその2点がクリアできる読者の方なら、『マルドゥック・ヴェロシティ』は最高のエンターテインメントとして楽しめることでしょう。サイバーパンクシティに渦巻く陰謀をめぐって繰り広げられる魅力的な異能力バトルが、「/」を多用する独特の文体によって最高のスピード感で描写されます。あっという間に3冊読み終わってしまうこと間違いなしです!
折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー(ケン・リュウ編)
「せっかくだから読書したいけど、長編を読む時間はない……」という方には、近年大きなブームとなっている中国SFの短編集『折りたたみ北京』はいかがでしょうか。7人の作家による13の短編が収録されているので、きっとあなたの琴線にひっかかる作品に出会えるはずです。
会話や行動が著しく制限された社会で、秘密裏に自由な会話や性行為をする「会話クラブ」にたどり着いた主人公の運命を追う「沈黙都市」、「幽霊」たちが暮らす怪しい街に生きる唯一の生者・寧(ニン)の切ない成長譚「百鬼夜行街」など、世界観にたっぷり浸れる端正な短編がそろっています!
なお、編者であるケン・リュウの短編集もセール対象です。
裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル(宮澤伊織)
アニメ化も決定した『裏世界ピクニック』第1巻は、54%オフになっています(関連記事)。ネット上の実話怪談が実際に出現する謎の領域に入り込んだ2人の大学生が、危険を冒しながら絆を深めていく「百合SF」です。異世界に消えた大切な人の影を追う美女・鳥子と、なりゆきで鳥子を手伝うことになった怪談オタク・空魚の関係がいかに変化するのか? 噛めば噛むほど味が出る「関係性」描写がたまりません。
老ヴォールの惑星(小川一水)
とにかく暇で暇で仕方がないという方には、『老ヴォールの惑星』がおすすめです。
本書収録の短編「漂った男」の主人公は、突然暖かい海に覆われた星に不時着し、救助が来る保証がないまま途方もない時間をひとりぼっちで過ごすことになります。本国につながる通信機のみを手に、膨大な「暇」を消費しなければならなくなる主人公。今オンライン通話飲み会が流行しているのは、人間にとって切実な理由によるのではないかと思わされます。
天冥の標2 救世群(小川一水)
9%オフとあまり割引率は高くありませんが、今読むべきパンデミック小説の1つです。シリーズ2作目ですが、最初に本作を読んでも問題はありません。
舞台は2010年代の日本。パラオで発生した未知の感染症を治療するため現地入りした感染症専門医・児玉は、目の周りが黒く変色した患者たちを目の当たりにします。感染源は不明、高い致死率を持つ謎の病「冥王斑」は、やがて世界規模のパンデミックを引き起こし、宇宙史規模の大事件に連続するのです。
本作は全17冊に及ぶ大長編ですが、極めて長いスパンで描かれる事件の根幹には、感染症患者に対する差別が関わっています。パンデミックに見舞われている現在、病と差別の関係を批判的に見つめるためにも有用な作品です。
※価格は記事掲載時の情報です。
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