YouTubeに投稿されて大きな話題を呼んでいるcrystal-zさんの楽曲、「Sai no Kawara」が7月11日11時よりApple Music、Amazon Music Unlimited、YouTube Musicなど大手サブスクで解禁されました。
6月11日にYouTubeで発表された「Sai no Kawara」は、「ネタバレを知らない状態で最後までぜひ聞いてほしいです」「これが音楽じゃないなら、何を音楽と思えばいいのか」とネット上で口コミが広がった楽曲。無名アーティストの初投稿としては異例の60万再生を記録しています(2020年7月11日時点)。
以下、ネタバレが含まれているのでYouTube上でMVを視聴後に読み進めることを強くおすすめします。
楽曲で描かれているのは32歳の主人公が「目指してみようか 医学の道」「それは茨の道」と、医学部受験に挑む姿。勉強漬けの毎日を過ごす主人公は模試でA判定をたたき出しますが、「目標の東京の学校は全部 その年も その次の年も全滅」。合格発表の際には「えっ、なんで?」という結果が続きました。
「目標のハンデ? 夢にさえ思わねぇ ゴールテープごとずらされるなんて」。32歳という年齢に見えない壁が立ちはだかっていたのです。東京での受験をあきらめ、地方受験に挑んだ主人公は、見事地方の医学部に合格し、旅立ちますが、最後のサビでは次のようなリリックが紡がれています。
順調じゃなくていいから
天才じゃなくていいから
堂々巡り 巡り 繰り返し
東京 偉大なこの街
順調じゃなくていいから
天才じゃなくていいから
堂々巡り 巡り 繰り返し
東京じゃ春は来ないし
楽曲の最後には女性アナウンサーが「医学部入試で年齢などを理由に不合格にされたと主張する元受験生の男性が、大学を提訴しました」「34歳の男性は去年、不合格にされましたが、その後大学側が調査した結果、合格点に達していたことが分かりました」と読み上げる声がサンプリングされており、画面が暗転。
複数の男性の声で「大変申し訳ない」「年齢の問題で不合格になりました」「まじめでいらっしゃるから……」「不正ではない」「申し訳ないとしか言いようがない」といった声が複数収録されており、主人公とみられる男性がカバンに忍ばせていたであろうスマートフォンを取り出すところで映像は終わっています。
「Sai no Kawara」の主人公とは、2018年に明るみに出た医学部不正入試問題の当事者であるcrystal-zさん自身のこと。楽曲の中にはさまざまなメッセージが緻密にちりばめられており、6月28日に掲載した記事「衝撃の結末が話題 無名ラッパーが投稿したYouTube動画が異例の48万再生、投稿者と大学側を取材」の中で、crystal-zさんは、「(楽曲に隠された)イースターエッグに関してはあまり解読が進んでいないと感じます」と語っていました。
そんな楽曲が今回初解禁されたのは、iTunes Store、Apple Music、Amazon Music Unlimited、YouTube Music、Google Play Music、LINE MUSICといったサブスク各社での配信。
サブスク解禁についてcrystal-zさんに改めてお話を聞いてみたところ、「YouTubeを観てくれた人にはピンとくる、新たなラストを用意しました。まずYouTubeを観てから聴いてほしい、という思いは変わっていません」とのこと。
「ねとらぼさんの記事で普段ヒップホップを聴かない層の人にまでリーチ出来た気がして感謝です。これが本当の音楽、という見出しにはビックリしましたけど(笑)。でもこの曲がきっかけでヒップホップを聴く人が増えたらうれしいですね。もっと色んな素晴らしいアーティストさんがいらっしゃるので!」と語ってくれました。
各社のサブスク配信はSai no Kawara、Sai no Kawara (instrumental)ともに、11日11時から随時解禁されています。
(Kikka)
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