富山市にあるちょっと変わった「踏切」が、SNSで話題になっていました。まるで映画「スター・ウォーズ」の世界に迷い込んだような、不思議でスタイリッシュな光景です。
注目を集めるきっかけになったのは、碑文谷人(@TKK_7000)さんが「富山のスタイリッシュ踏切すき」と添えてTwitterに投稿した動画です。映像を見てみると、赤いライトで照らし出された踏切には遮断器が……ない!?
踏切の左右に赤いライトがあるだけで、一般的に「踏切」と聞いて思い浮かべるものとはまったく違う光景が広がっています。
この不思議な踏切は、富山地方鉄道の路面電車のために、接続している富山駅に設置されたものです。
駅構内に路面電車の停留場がある珍しい構造になっており、電車が来ると左右の柱と床面に内蔵したLEDライトが赤く光り、「電車が来ます、渡らないでください」というアナウンスが流れるという仕組み。Twitterの投稿には「かっこいい」と好評で、映画「スター・ウォーズみたい」という声もありました。
「どうしてこうなったのか」と気になったので、この珍しいスタイルの踏切について詳しく知る路面電車推進課の担当者(富山市役所活力都市創造部)に聞いてみました。
踏切ではなく、歩行者横断指導線
担当者によると、「踏切」として話題になった路面電車の通行を報せる設備は、厳密に言うと踏切ではなく、歩行者の横断可能な位置を示す「歩行者横断指導線」であるそうです。
路面電車の軌道は、道路上に敷設することになっており、この場所も「道路」にあたるため、歩行者横断指導線という扱いになるそうです。
そして、赤色LEDライトを使ったスタイルは、都電荒川線大塚駅を参考に考案したそうで、「高架下であるため電車の接近が気付きにくいと考え、緑丸と赤丸の電光表示に加えて、柱や床面のLEDのライン照明を赤色点滅させて、直感的に気付いてもらえるようにしました」と担当者が教えてくれました。
また、警報音ではなくガイド音声で呼びかけているのは、「その方が丁寧だと考えたから」だそうで、「小さな子どもにもわかりやすいのではないかと思います」と語ってくれました。
Twitterに投稿された動画をきっかけに大きな注目を集めることになった「歩行者横断指導線」ですが、「障がい者の方から『大変わかりやすい』『全国の都市交通システムの導入にあたって参考になればうれしい』との意見をいただいています」とのこと。
一方で、「メディアの報道では『利用者が気付かずに軌道内に進入したら怖い』という意見もありましたが、運転士も歩行者に注意しながら徐行しており、電車からも通過を知らせる音を出すなどしています」と、これまでもさまざまな反響があったそうです。
SF映画の世界に迷い込んだような、スタイリッシュな踏切……もとい歩行者横断指導線。富山市を訪れるときには、ぜひ実際に見てみたいものですね。
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