【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年3月12日)
ほくほく線の超快速「スノーラビット」が、勢いよくトンネルから飛び出してきました。
「北越急行」ほくほく線は、上越線・六日町(むいかまち)と信越本線・犀潟(さいがた)の間、59.5Kmを結ぶ、第3セクターの鉄道です。
先頭車両の「ゆめぞら」では、トンネルが多いことを逆手にとって、毎週日曜に長いトンネルのある5つの区間で、車両の天井を使ってCG映像の上映が行われています。
ほくほく線は、平成9(1997)年〜平成27(2015)年までの18年間、金沢〜越後湯沢間の特急「はくたか」が走り、首都圏と北陸を結ぶメインルートとしての役割を果たしてきました。
とくにほくほく線内は、直線区間が長いことから、「はくたか」では、最高時速160Km運転が行われており、在来線最速の列車でもありました。
また、北越急行所有の681.683系電車には、「スノーラビット」の愛称とロゴもありました。
しかし、特急「はくたか」は、北陸新幹線の開業に伴って廃止され、新幹線の愛称へ移行。
ほくほく線は一ローカル線となりましたが、新幹線に一矢報いるべく、運行を開始したのが、越後湯沢〜直江津間で運行される、はくたかの系譜を継いだ超快速「スノーラビット」です。
じつはスノーラビットが運行される時間帯は、東京〜直江津間では、上越妙高経由より越後湯沢経由のほうが速くて安く移動できることがあり、利用価値も高い列車なんですね。
ほくほく線のHK100形電車は、ボックスシート(一部車両は転換クロスシート)で、普段は、大きく混雑することもないので、駅弁を楽しむにはもってこいの車両・路線です。
トンネルの合間から顔を見せる、上越ののどかな風景を眺めていただくなら、直江津駅弁「ホテルハイマート」の「上越後ふるさと弁当」(1000円)がよさそう。
通年販売の駅弁のなかでは、実質的に幕の内の役割を果たしている駅弁です。
【おしながき】
- 雑穀米入りご飯 梅干し
- 焼鮭
- かまぼこ
- 厚焼き玉子
- 煮物(大根、人参、竹の子、南瓜、こんにゃく、がんもどき)
- きゃらぶき
- 付け合わせ
- 香の物
- 笹団子
パッケージに描かれたおばあちゃん家に来たような、懐かしい雰囲気の駅弁。
なかでもやわらかく煮つけられた大根、人参をはじめとした煮物はじんわりと心に沁みます。
焼き鮭、かまぼこ、厚焼き玉子と、幕の内・三種の神器も入っていますが、特に焼き鮭は、あの「さけめし」のほぐす前の鮭なので、皮までいただきたくなる逸品。
デザートに新潟名物・笹団子までついて、大満足の幕の内系駅弁といえましょう。
上越新幹線「Maxとき305号」から接続する越後湯沢9:14発の超快速「スノーラビット」は、ほくほく線を走破して10:14に直江津に着くと、普通列車として「えちごトキめき鉄道」妙高はねうまラインの新井まで乗り入れます。
上越市役所のある春日山、城下町・高田へも、越後湯沢経由なら、駅弁1個分くらいお得。
また「週末パス」なら、上越・北陸新幹線・トキ鉄・ほくほく線、それぞれの旅も楽しめます。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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