「迫っているんだ 娘と過ごせる時間のタイムリミットが―」 医療現場の実話をもとにした「医療マンガ大賞」受賞作品が決定(1/2 ページ)
審査員はこしのりょうさん、おかざき真里さんら。
横浜市により開催された「第2回 医療マンガ大賞」で、受賞作品が決定しました。今年は9月17日から10月15日までに応募された78本の作品から、大賞1作品及び入賞8作品が受賞作品として選ばれています。
「医療マンガ大賞」は横浜市により、患者や医療従事者、それぞれの視点からのマンガにより、互いの視点の違いに気づき、共感を促すために2019年から開催されています。第2回目の今年は、協力企業との連携で作られた、新型コロナ対策に取り組む医療従事者の想いをテーマにしたものなど9つのエピソードを原作とし、医療マンガを投稿する企画です。
今年大賞に選ばれたのは、ちえむさんの作品。がん患者の治療に対する戸惑いや家族への思いからなるエピソード「人生の最終段階−事例A」を、患者の視点で柔らかなタッチのマンガに仕上げています。
現役を退き、嘱託社員としてのんびり働いていた「私」。しかし、膵臓がんになっていることがわかります。新薬での治験を求めて大学病院に転院するも、主治医から緩和ケアをすすめられ、「治験をやめたら、死んでしまうじゃないか」と叫んでしまいます。新薬や最新の治療法だけにこだわっていた「私」ですが、がん看護専門看護師と家族の話をするうちに……。
「医療マンガ大賞」では漫画家や医師などが審査員をつとめました。こしのりょうさんは「シビアな原作でしたが、あたたかな絵により抵抗なく読ませてもらいました。また、情報の多さをうまく省略できたのも読みやすさに繋がっていると思います」とコメント。
おかざき真里さんは「絵柄もやさしく読者を救ってくれるような暖かさがあった。作り過ぎず素直に表現されていて医療マンガのひとつの回答のような感じがしました」と評価しています。
ウェブ上で情報発信する医師・山本健人さんも、「一見すると重くなりがちなテーマが、爽やかなタッチでストレートに伝わる素晴らしい作品でした」 と講評しました。
入賞を果たしたのは以下の8作品。「人生の最終段階−事例A」を医療従事者の視点で描いたばつさん、全身まひの男性と介護従事者との関わりがテーマの「人生の最終段階−事例B」を描いた、たむら蓮々さん(患者視点)とmekamekaさん(従事者視点)、患者と医師との薬をめぐる「コミュニケーションの難しさ」では、ともへさん(患者視点)とワダシノブさん(医療従事者視点)、新型コロナ感染拡大の中奮闘する「2020年の医療現場」を描いたはな奈さん(医師視点)、戸山知子(しるこ)さん(看護師視点)、医師が研修中に体験した「心がふるえたエピソード」を描いたchikuさん(医師視点)です。
受賞作品および特別賞の13作品は、特設WEBサイト内で全編公開されています。さらに、昨年の医療マンガ大賞の作品を読むことも可能です。
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