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【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】「バイオ」とは違う“ゲームの本質”を理解すると評価が180度変わる「サイコブレイク」(1/2 ページ)

本質を理解せずに悪評価を下すのは「『メタルギアソリッド』は強行突破できないからクソゲー」と言うようなもの。

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 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は「サイコブレイク」(PS3など)のRTAプレイヤーさんから「このゲームは本質を間違えると“劣化版バイオ”になってしまうが、理解すると良ゲーに変わる」というお話を伺いました。

お話を伺ったのはRTA in Japan Online 2(2018年夏)で同作を走った方。ちなみに「バイオハザード」シリーズのRTAでも参加経験があります

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2〜3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「サイコブレイク」(死体さん/@shitai_

 「サイコブレイク」を手掛けた三上真司さんは、高い評価を受けている「バイオハザード4」などのディレクターを務めたゲームデザイナー。この2つの作品は同じサバイバルホラーシューターというジャンルに属しており、表面的には似た作品に見えますが、本質的には全く違うゲームです。

 「サイコブレイク」は2014年10月発売されましたが、当初は評価されず、数カ月でワゴン行き。2015年ごろには家電量販店で新品500円で販売され、中古価格も500〜980円ほどだった覚えがあります。2016年ごろから再評価の流れが生まれ、中古価格は1000円台に。続編「サイコブレイク2」が登場したころ(2017年10月)には2000円台まで上がっていたかと。

 中古価格が上昇し始めた時期と、私がこのゲームのRTA解説動画を公開していった時期(2016年8月〜/Part1は現在約70万再生)が重なっていることから、勝手に“「サイコブレイク」の売値を底上げした人”を自称しています。それ以前は、完全にクソゲーという烙印(らくいん)を押されてしまって、「どうしてこんなゲームのRTAやってんの」などのコメントを見掛ける時期もあったんですよ。

このゲームの魅力

 「戦闘が面白い」。これに尽きます。

 「サイコブレイク」は大量に出てくるザコ敵すら主人公より基本性能が高く、非常に難しいゲームです。クリアまでの死亡回数が3桁を超えるプレイヤーも珍しくありません。

 しかし、本作では敵の動きのランダム性が非常に小さく、“前回と同じように動けば同じことが起こる”ので少しずつパターンを構築して攻略していく楽しみが。そして、戦略的に立ち回って苦境を乗り越えたときには、このゲームならではの爽快感が味わえます。

 武器としてはハンドガン、ショットガン、スナイパーライフル、マグナムという銃器4種に加え、「アガニクロスボウ」と呼ばれる特殊なクロスボウが使用可能。このクロスボウを使い分けることで戦略の幅が広がり、悪夢のような戦闘を切り抜けていきます。

  • ハープーン・ボルト:威力が高いが特殊な効果はない
  • フラッシュ・ボルト:広範囲に目くらまし効果
  • マイン・ボルト:地雷のように設置し敵が近づくと爆発
  • ショック・ボルト:同様に設置し敵が近づくと動きを止める電撃
  • フリーズ・ボルト:範囲内の敵を全て凍らせる

世間ではクソゲーと言われている理由

 かゆいところに手が届かないシステムの古臭さ、本編を1周しても全容が明らかにならないストーリー、死にゲーなのにロードが長かったり、フレームレートが安定しなかったりといった最適化不足などが挙げられますが、本作がクソゲーと言われる最大の原因は「プレイヤーが『バイオハザード4』と同じ感覚で遊んでしまうこと」にあると思います。

 「バイオハザード4」は狙い撃つ爽快感をテーマとしており、的確にヘッドショットを決めるエイム力が物を言うゲームでした。しかし、「サイコブレイク」は前述した通り、戦略性が物を言うゲームです。敵の頭を的確に狙い撃ってもリターンが少ないどころか、「銃弾がレティクル(照準を合わせるための線)の真ん中に必ず飛ぶとは限らない」システムになっており、「ちゃんと狙ったのに外した」という状況が発生します。

 そのため、「バイオハザード4」と同じ感覚で「ザコにはヘッドショット! ボスにはショットガン!」とプレイしようとすると、戦略を立てても難しい局面が多い本作は異常な難易度になってしまいます。

 実際、私も初プレイ時は「戦略で敵を出し抜き切り抜ける」というこのゲームの本質に気付かず、「何だこのクソゲー!」と思いながら遊んでいましたが、1周目をクリアして各種ボルトの特性や銃器の使い分けを理解し、2周目を始めたときには評価が逆転。今でもプレイし続けているくらい、大好きなゲームになりました。

 このゲームの本質が分かりにくいことは認めますが、それで悪評価を下されてしまうと「『メタルギアソリッド』は強行突破できないからクソゲー」と言われているような気持ちになります。理解して遊べば非常に面白いゲームなんだ、という点は絶対に譲れません。

もしもこれからプレイする人にアドバイスするとしたら

アガニクロスボウをどんどん使おう

 このゲームはボルトを使わないと、ただただ難しいだけです。まずは“各種ボルトがどういう場面で強いのか”を理解するためにも、まずはボルトをいっぱい使って戦略を立てられるようになりましょう。

ハンドガンは足を撃つ武器

 「サイコブレイク」は武器のクリティカル率を強化しない限り、ヘッドショットによるリターンがほとんどありません。スナイパーライフルなどの高威力武器であればダメージ倍率増加という恩恵が受けられますが、ハンドガンやショットガンなどの威力の低い武器ではあまり役に立ちません。

 だから、ハンドガンは基本的に敵の足を撃つもの。敵を転ばせて「マッチ」(倒れている敵にのみ使用できザコ敵なら即死)を使っていくのが基本戦略になります。そもそも小さくて動きの激しい頭に、レティクルの真ん中に飛ばない弾を当てるのが難しいですしね。

中途半端に弾の節約をしない

 「サイコブレイク」は戦闘に特化したゲームです。銃の残弾数が少なくなると、敵からドロップしやすくなる調整がなされています。本作では持てる銃弾の数が限られていますが、節約すればするほど銃弾が出にくい状況が続きます。

 銃弾やボルトは、節約せずにどんどん使いましょう。

「バイオハザード」ではない

 本作は「バイオハザード」ではなく「サイコブレイク」です。

  • 「バイオ」だったら、頭を撃って体術!
  • 「バイオ」だったら、弾はできるだけ節約!
  • 「バイオ」だったら、強力な武器はボスに取っておく!

 こういう考え方でプレイすると、ただただ難しく理不尽な“劣化版バイオ”としか思えなくなります。限りあるリソースをやりくりして困難に立ち向かうのが「バイオ」だとしたら、あらゆるリソースをフルに活用して困難に立ち向かうのが「サイコ」だと思います。

 似ているようで全く違うので、「サイコブレイク」としてプレイして楽しんでほしいです。

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