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今年はどんなお楽しみがある? 鉄道ガンバレ!! 「2021年注目の鉄道トピック」まとめ月刊乗り鉄話題(2021年1月版)(3/3 ページ)

「ひっそり日本一長い駅名更新」「流氷物語号」「ロマンスカーミュージアム開館」「DMVデビュー」……などなど! 「三密を避けたひとり旅」と「対策強化ツアー」で、今年も乗り鉄がんばりましょう!

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【3月】JR水郡線、上田電鉄が復旧

 2019年に台風19号で被災した路線が復旧し、運行を再開します。3月27日に「JR東日本の水郡線、袋田〜常陸大子間」が復旧予定。翌日の3月28日は「上田電鉄の上田〜城下駅間」が復旧予定です。どちらも約1年半ぶりの復活です。

2021年 鉄道のできごと
上田電鉄は元東急電鉄の車両が活躍する

【3月〜】観光列車シーズン到来、日本各地で新しい観光列車が運行開始

 日本各地でたくさんの観光列車が今シーズンの運行を始めます。JR西日本は「花嫁のれん(七尾線)」「ベル・モンターニュ・エ・メール(城端線・氷見線)」「etSETOra(エトセトラ)(呉線・山陽本線)」「○○のはなし(山陰本線)」を運行予定です。

2021年 鉄道のできごと
金沢と和倉温泉を結ぶ「花嫁のれん」。女性の幸せを願う観光列車だ

 山口線は2021年上半期に「DLやまぐち号」が走ります。SLやまぐち号の蒸気機関車が修理・検査となるため、ディーゼル機関車になりました。蒸気機関車ではなくて残念と思うかもしれませんが、実はディーゼル機関車が客車を引っ張る列車も珍しいのです。しかも担当機関車も引退をうわさされているDD51形とあって、乗り鉄大注目の列車です。

 このほか、JR四国は「瀬戸大橋アンパンマントロッコ」「ゆうゆうアンパンマンカー」、南阿蘇鉄道はトロッコ列車の運行を発表済み。

 観光列車はこれからも情報が増えてくると思われます。楽しみですね。

【4月】小田急ロマンスカーミュージアムが開館

 小田急電鉄ファンの宿願だった「ロマンスカーミュージアム」が開館します(関連記事)。海老名駅に隣接した場所で、歴代ロマンスカーの実物車両10台、開業当時の電車「モハ1形」などを展示します。運転シミュレーターや巨大ジオラマもあります。屋上の「ステーションビューテラス」からは海老名車両基地をドーンと見渡せます。楽しみすぎる!

2021年 鉄道のできごと
ジオラマはHOゲージで広さは国内最大級とのこと。小田急沿線の景色をギュギュッと詰め合わせた

【4月】横浜新都心にロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」が開業

 鉄道事業法では「索道」のカテゴリーですが、横浜新都心へ4月22日に開業するロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」も楽しみ。かつての貨物線跡「汽車道」の上空を通ります。

2021年 鉄道のできごと
4月22日に開業するYOKOHAMA AIR CABIN。所要時間5分、料金は1000円。海を渡るアトラクション

【ほかにもいろいろ】道路と線路の両方を走る「DMV」がデビュー 東京メトロやJR東海の新型車両も楽しみ

 2021年は新路線の開業予定はありませんが、鉄道路線で注目したいのは阿佐海岸鉄道です。

2021年 鉄道のできごと
道路と線路の両方を走行可能な車両「DMV」が走る路線にリニューアルする阿佐海岸鉄道

 阿佐海岸鉄道は道路と線路の両方を走行可能な車両「DMV」(関連記事)を導入して、道路〜線路〜道路という路線にリニューアルします。2021年3月の運行開始予定でしたが、感染症流行の影響で準備が間に合わず、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2021年7月頃の運行開始に延期されました。

 新型車両関連では、東京メトロに新型車両が2形式デビューする予定です。2月に17000系電車が有楽町線と副都心線で営業運転を開始します(関連記事)。半蔵門線の新車、18000系も2021年度上半期から営業開始予定です。

2021年 鉄道のできごと
東京メトロ半蔵門線の新車「18000系」(画像:東京メトロ)

 JR東海は普通列車用の電車、315系を2021年度に導入予定です(関連記事)。2021年度から2025年度にかけて352両を製造します。こちらも「2021年度」ですから2022年初頭になるかもしれません。

 JR東海はこのほかに、非電化区間用のハイブリッド特急車両「HC85系」をテスト中です。試験確認車4両は2019年12月に完成し、1年が経過しました。2021年中に何らかの発表があると思われます。

2021年 鉄道のできごと
JR東海のハイブリッド特急車両「HC85系」(出典:日本車輌のWebサイト

 2020年7月に発生した集中豪雨(令和2年7月豪雨)で大きな被害を受けた路線のうち、JR九州の久大本線は2月13日に由布院駅〜庄内駅間が復旧、3月1日に豊後森駅〜由布院駅間が復旧し、全線で運行再開です。くま川鉄道も2021年度内に全線の4分の3にあたる肥後西村〜湯前間の先行復旧を目指しています。

 2021年秋頃には上越新幹線の2階建て電車「E4系」が引退する見込みです(関連記事)。当初は3月のダイヤ改正で引退の予定でした。しかし2019年10月に発生した台風(令和元年台風19号)で北陸新幹線のE7系電車が水没(関連記事)し、上越新幹線向けに製造したE7系電車を北陸新幹線に振り向けました。そのため、上越新幹線のE7系導入が遅れて、E4系の置き換え予定も延期になりました。2階建て新幹線車両は消滅しますから、それまでに2階席からの眺めを楽しみたいところです。

 11月24日〜26日は、幕張メッセで「第7回 鉄道技術展」が開催予定です。鉄道技術展は1年おきに開催されるイベントで、一般向けと言うよりも業界向けのトレードショー、商談会です。しかし、鉄道の車両、軌道、信号、土木、建設など、最新の技術の展覧会として、乗り鉄としてもとても勉強になる催しです。

(参考)第6回鉄道技術展(2019年11月)の様子

感染症対策をしながら、鉄道路線の維持に力をかたむける年に つらいことも多いけれど、楽しい一年にしましょう

 次の年、2022年になると、栃木県宇都宮市の路面電車「宇都宮ライトレール」が3月に開業します。

 さらに2022年度、つまり2023年3月までに「福岡市営地下鉄の七隈線延伸区間」が開業。「東急新横浜線と相模鉄道新横浜線」も開業し、相鉄・東急の直通運転が始まります(関連記事)

 2021年は感染症対策をしつつ、鉄道路線の維持に力をかたむける年といえそうです。2021年後半に向けて新たな話題が登場するかもしれません。乗り鉄にとっては、三密を避けたひとり旅を推奨する年。また、消毒、体温測定など、防疫管理が整った鉄道ツアーに期待する年と言えます。つらいことも多いけれど、楽しい一年にしましょう!!

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。JR路線の完乗率は100%、日本鉄道全路線の完乗率は99.69%(2020年10月時点)



※新型コロナウイルス感染症、Go To事業、運行状況に関する最新情報は、厚生労働省、内閣官房、首相官邸、国土交通省・観光庁のWebサイトなど公的機関で発表されている情報、関連各社の情報も併せてご確認ください


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