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いつの時代も変わらない“職人のカッコよさ” 「江戸の女職人がひたすらに桶を作るだけの漫画」が、疲れと時間を忘れさせてくれる(1/2 ページ)

仕事明けの充足感、感じたい。

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 職人さんの動きと細やかさって、見ているだけで心地よいですよね。

 Twitterで公開されている坂上暁仁(@sakakky1090)さんの漫画「江戸の町で、桶職人がただひたすらに桶をつくる話」も、読んでいるうちになんだか気持ちが落ち着いて、自分が無になるほどの瞬間を感じさせてくれる作品なんです。


桶をつくるだけの話 江戸の町で、桶職人がただひたすらに桶をつくる話



 時は江戸時代。神田に住む桶職人の女性のお話。

 店の軒中で、桶づくりの仕事に没頭する彼女。両手鉋で木を削り、それが合わさる面の角度を、慎重に測っています。彼女が作っているのは、江戸の庶民が日常的に使う桶。店の軒先には、出来上がった商品が積まれています。


桶をつくるだけの話

 桶づくりのための材木の買い付けも職人の大事な仕事。用途に応じた素材を選ぶこだわりとうんちくが、職人としての経験と腕の証。

 良い素材を仕入れたら、本格的に桶作りに入るための支度をして、仕事を始める。惚れ惚れする仕草。彼女が道具を使う音だけが響きます。


桶をつくるだけの話

桶をつくるだけの話

 黙々と仕事を進める彼女のところに、近所の住人や行商人が壊れた桶を持ち、修理を頼みに訪れます。行商人の桶を見るなり、

「お前その桶、そのへんにほったらかしたろ」

 図星をつかれ困惑顔の行商人に、一言。

「水につけておきな。それでなおる」


桶をつくるだけの話

 桶を知り、素材を知る職人だからこその一言。木の特性を知り尽くしての助言です。

「要は使い方だよ。大事につかえば、百年だって使える」

 店先に集まってきた人たちの桶も、かたっぱしから修繕してしまう彼女。まさに江戸っ子ならではの切符の良さ。その手により、目の前の桶が生き返る。


桶をつくるだけの話

 日も沈み、仕事を終え、木のお猪口で酒を飲む。そのお猪口は、材木問屋で彼女が語ったように、杉の木で作ったものなのでしょう。ただまっすぐに、木と向き合い、桶を作るだけの彼女の一日。

「今夜は心地よく寝られそうだ」

 彼女だけでなく、読んでいるほうも今日はよく眠れそうです。

 いわゆる「粋」な彼女の職人っぷりに、「ひたすらかっこいいです」「とにかく綺麗で空気感が好きです。。。。」と、多くの「いいね」が寄せられているだけでなく、江戸の風景や桶づくりの描写、温かみを感じる木の質感など、絵の上手さ、描き込みにも「センがけの時に胸に当てる木や、桶での木目の方向に得心しました」「最後のコマを読んだ時、鼻の奥いっぱいに材木と木桶の匂いが広がった」などの感想も。

 多くの注目を集めたこの作品は、『コミック乱』(リイド社)2020年12月号に掲載されたもの。坂上暁仁さんは同人誌「すいかとかのたね」(@suikatokanotane)でも作品を発表中。同人誌の購入や、やはり江戸時代が舞台の『火消しの鳶』の試し読みや購入などが、「すいかとかのたね」ショップから可能です。



※作品提供:坂上暁仁(@sakakky1090)さん


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