幽霊という存在に対して、おばけ探知機「ばけたん」の開発者である河原邦博氏は「人の想いや感情、強い気持ちなどの残留思念が集まってエネルギーとなり、それが文化的に根付いた共通意識も含めて、脳に直接影響を及ぼしたもの」と仮説を立てました。
今回ご紹介する作品は、まさにそのような「特定の場所に染み付いた残留思念」が引き起こしたであろう、心温まる不思議なお話です。
早くに両親を亡くし、おばあさんに育てられた男性。おばあさんが亡くなり家を相続した男性は、借金を返すため家を壊し、お金にしようとするのですが……解体を翌日に控えた日の夜、不思議な現象に遭遇します。
なんと家の至るところから「おばあさんと男性が過ごした、過去の声」が聞こえてきたのです。魚の名前を教えてもらい、欲しがっていたものを尋ねられ、テレビを一緒に観て……小さな頃の男性とおばあさんの、何気ない日常のやりとり。男性は声がする方へ家の中を駆けずり回り、気付けば空が白みはじめていました。
やがて男性がたどり着いたのは、自分がわがままを言っておばあさんを困らせている場面。当時は気付くこともなかった、涙を流して落ち込むおばあさんを見た男性は「いつも勝手ばかりして、今度は家まで壊そうなんて」と、今までの自分の立ち振る舞いを後悔し、触れない「おばあさんと過ごした記憶の残滓(ざんし)」へ、涙ながらに許しを請うのでした。
男性は家を壊す予定を白紙にし、そこに住んで人生をやり直すことにします。そして男性は夜になると、声のする部屋へと向かい、おばあさんと過ごした日々の思い出をのぞきき見て、幸せそうな表情を浮かべるのでした。
作者の電気こうたろう(@gurigurisun)さんは、noteにて本作品のような不思議なお話を公開しています。
作品提供:電気こうたろう(@gurigurisun)さん記事:たけしな竜美(@t23_tksn)
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