「秋葉原〜ビッグサイト直結」の地下鉄計画どうなる？ いろいろ将来が楽しみ「羽田アクセス線・新空港線」計画：月刊乗り鉄話題（2021年9月版） どうなる？東京の地下鉄新路線（2）（2/3 ページ）

どこに、いつできるの？──。実はかなりたくさんある、東京圏の鉄道・地下鉄新路線計画。国交省交通政策審議会の答申や東京都鉄道新線建設等準備基金の対象路線から、ワクワクな新路線計画をひもといていきます。2回目です。

[杉山淳一，ねとらぼ]

【4】東京〜羽田空港を直結する「羽田空港アクセス線」もうすぐ着工　どこまで利便性が上がる？

　東京8号線延伸のパートで説明したように、東日本大震災復興財源として2027年までに国が東京メトロ株を売却します。出資比率のバランスを取るために東京都も東京メトロ株を売却します。東京都は東京メトロの株式配当金を「東京都鉄道新線建設等準備基金」に組み入れているため、売却益も組み入れると考えられます。

　この東京都鉄道新線建設等準備基金の対象となる路線は6つあります。「東京8号線」「羽田空港アクセス線」「新空港線」「多摩モノレール箱根ヶ崎延伸」「多摩モノレール町田延伸」「東京12号線」です。

　「羽田空港アクセス線」（関連記事）はJR東日本が営業主体となる新路線です。東海道本線の田町駅付近から分岐し、浜松町付近から大井埠頭の東京貨物ターミナル付近までは休止中の貨物線の線路を再利用します。東京貨物ターミナルから羽田空港国際線ターミナルまでは新たなトンネルを掘ります。新規建設区間の距離は約5キロ、総工費は約3000億円です。

「羽田空港アクセス線」のルート（地理院地図を加工）

　JR東日本は2021年1月20日に国土交通大臣より鉄道事業許可を得ました。2021年9月現在は工事着手の準備として環境影響評価計画を策定している段階です。運行開始は2029年予定です。

　羽田空港アクセス線により、東京駅と羽田空港が直結します。羽田空港駅は第2ターミナル側に作られ、京急羽田国際線ターミナル駅のコンコースの直上で十字交差します。この位置だと、国際線が発着する第3ターミナルへの延伸も想定しているように見えますね。

　環境影響評価計画書によると、途中駅はありません。東京貨物ターミナル付近に留置線が作られるようです。駅があれば倉庫勤務など物流関係の方の通勤に便利な気がします。

　東京貨物ターミナルから南へ向かって東海道貨物支線もあります。こちらの旅客化構想もあります。

　羽田空港アクセス線が接続する東海道本線は現在、上野東京ラインの列車も走っています。そのため、羽田空港と宇都宮線、高崎線、常磐線方面の主要駅も結ばれます。将来は東京貨物ターミナルでりんかい線と接続し、京葉線千葉方面、新宿・渋谷方面からも直通させる構想です。

　成田空港方面には成田エクスプレスやスカイライナーなど指定席列車があります。しかし羽田空港方面は着席を保証する列車は2021年9月現在ありません。直通効果とともに、このあたりの利便性・速達性向上にも期待したいところです。