創業136年の老舗駅弁屋さんがこだわった「究極の豚すき」とは?:群馬「上州もち豚すき焼き重」(1300円)
「峠の釜めし」でおなじみの荻野屋から登場した上州もち豚すきやきの新作。彩りよし、香りよしで食欲をそそられます。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します
秋が深まる上州・信州から、新潟・上越を抜けて北陸へ向かう「北陸新幹線」。沿線随一の有名駅弁と言えば、群馬・安中市の横川を拠点に製造されている「峠の釜めし」です。峠の釜めしを製造する「荻野屋」は近年、東京都心にも販売拠点を設けるなど、活発な取り組みを続けています。そんなホットな駅弁屋さんがこの秋に手掛けた、群馬の味がぎっしり詰まった新作駅弁に注目しました。
駅弁味の陣2021・気ままに味めぐり(第5回)
高崎で上越新幹線から分かれて、長野・富山を経由し、金沢を目指す「北陸新幹線」。最初にして最大の難所と言ってもいいのが、高崎〜軽井沢間に立ちはだかる碓氷峠です。地図を見ると、新幹線のルートはかつての信越本線から大きく北側へ迂回しているのがわかりますが、それでも30パーミル(1000m走ると30m登る)の急坂が連続しています。とくに下りの新幹線に乗車すると、グイグイと力強く山を登って行く雰囲気が楽しめますね。
碓氷峠と言えば「峠の釜めし」でおなじみ、駅弁屋さんの「荻野屋」。その荻野屋から登場した新作が「上州もち豚すき焼き重」(1300円)です。豊かな自然に恵まれた群馬県では、全国トップクラスの豚肉、こんにゃく芋は全国の約9割、下仁田ネギ、椎茸、白菜、春菊などの生産が盛ん。すき焼きの食材がすべて県内産で賄えることから、平成26(2014)年には「すき焼き応援県」を宣言しています。荻野屋では今回、群馬県が「すき焼き応援県」であることをもっと知ってもらおうと、新たに駅弁を開発したと言います。
【おしながき】
- ご飯(安曇野産コシヒカリ)
- 上州もち豚のすき焼き 豚肉 ねぎ、椎茸、こんにゃく 素揚げパプリカ 紅生姜
- 味付けうずらの卵
- 茄子醤油漬け
- 山ごぼう醤油漬け
- 胡瓜醤油漬け
- 杏のコンポート
きめの細かい肉質が特徴の上州もち豚、下仁田のこんにゃくなど、こだわりの食材を使い、究極の「豚すき」を追求したという「上州もち豚すき焼き重」。彩りよし、香りよしで食欲をそそられます。荻野屋によると、具材を豚肉の脂身で炒めることで、奥深いうま味と甘みを引き立てたとのこと。峠の釜めしと同じく安曇野産コシヒカリを使った白飯と豚のうま味が沁みたたっぷりの野菜と一緒にかき込めば、デザートの杏のコンポートまであっという間。ちなみに、この杏のコンポートも、峠の釜めしに使用している杏子を自社工場で加工して、オリジナルのコンポートに仕上げたのだそうです。
「上州もち豚すき焼き重」は、高崎駅・軽井沢駅での販売。現在開催している「駅弁味の陣2021」にも参加しています。必ず入手したい場合は、軽井沢駅の荻野屋直営店(電話:0267-42-8048・前日営業時間まで)への予約も可能です。いまも群馬・横川に拠点を置きながら、東京・銀座や有楽町にも店舗を構える「荻野屋」。あなたも創業136年の駅弁屋さんの技と群馬愛が詰まった折箱を開けて、“究極の豚すき”を楽しんでみませんか?
(初出:2021年10月25日)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
おすすめ記事
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.