ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
連載

「スマイルプリキュア!」10周年 震災の翌年、日本中を笑顔にしたシリーズで「追加プリキュア」が出なかった理由とはサラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

10周年を迎えた「スマイルプリキュア!」。あのとき何が起きていたのかを振り返ります。

PC用表示 関連情報
advertisement

 2022年は「スマイルプリキュア!」10周年の記念すべき年です。

 東日本大震災の翌年、その明るく楽しい作風で日本中の子どもたちを笑顔にした「スマイルプリキュア!」。玩具業界誌で「シリーズ最高のスタートダッシュを切った」と評されたプリキュアで、あのとき何が起きていたのか? 10周年を機に振り返っていきたいと思います。

スマイルプリキュア!
2022年は「スマイルプリキュア!」10周年(画像はAmazon.co.jpから)

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


「スマイルプリキュア!」10周年

 「スマイルプリキュア!」は、2012年2月5日から2013年1月27日まで放送されたシリーズ第9弾。全48話が放送されました。

 「いつもスマイルでいれば、ハッピーな未来が待っている!」をテーマに、キュアハッピー、キュアサニー、キュアピース、キュアマーチ、キュアビューティら5人のプリキュアが大活躍しました。

 「スマイルプリキュア!」というタイトルには、「番組を見終わったら笑顔になって、元気に外に遊びに行ってほしい」というシリーズディレクター、大塚隆史さんの思いが込められていました。

物語以前にまず僕が大切にしたことは、「日曜日の朝8時半にどんなアニメが流れていると気持ちいいかなぁ」という事でした。
それで僕は「前向きで明るく元気なもの」にしたいと考えました。それを「プリキュア」という作品の世界観に合わせていこうと。
番組を観たら笑顔になって、終わったら元気に外に遊びに行ってほしい。そんな願いを込めて、タイトルを『スマイルプリキュア!』にしました。
『スマイルプリキュア!コンプリートファンブック』(学研ムック)P83

スマイルプリキュア!
星空みゆきが変身するキュアハッピー(画像はAmazon.co.jpから)

 また、当初の企画では「1人でプリキュア」だったものが、東日本震災の影響で「みんなで力を合わせる事を描く」ため5人のプリキュアになった(『スマイルプリキュア!コンプリートファンブック』(学研ムック)P94)との経緯(けいい)もあり、「震災後の日本」を大きく意識したシリーズとなったのです。

 その作風は「明るく、楽しく、元気よく」。震災後の子どもたちに笑顔を届けたのです。

シリーズ最高のスタートダッシュ

 そんな「スマイルプリキュア!」。商業的にも歴代シリーズの中で最高のスタートを切ります。

 玩具業界紙『トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)によれば、前作比190%、変身アイテム「カラフル変身!スマイルパクト」が前年の270%と売れに売れ、「シリーズ9作品の中でも史上最高のスタートダッシュとなった」(2012年5月号)と言及されています。

スマイルプリキュア!
日野あかねが変身するキュアサニー(画像はAmazon.co.jpから)

 その後も「一部では欠品も出ている」(同2012年5月号)や「プリキュア史上No1の年間売り上げも目指せる勢い」(同2012年6月号)など、景気の良い言葉が飛び交います。

前作比で190%(販売5週累計販売額)、これまでのシリーズ9作品の中でも史上最高のスタートダッシュとなった「スマイルプリキュア!」
現在特に同作品の年間メインアイテムである「カラフル変身スマイルパクト」の絶好調ぷりが際立っており、前作のメインアイテム対比で270%
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2012年5月号(P27)

お陰様でプリキュア史上No.1の年間売り上げも目指せる勢い
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2012年6月号

後半、勢いが失速してしまう

 このままシリーズ歴代最高の売り上げを更新すると思われていた「スマイルプリキュア!」。しかし、夏以降になると、玩具を含めた関連商品の勢いが、なぜか止まってしまうのです。

 玩具業界紙では「立ち上がりは良かったものの、夏以降に失速した印象」(『月刊トイジャーナル』2013年1月号)とまで表現されるようになりました。

スマイルプリキュア!
黄瀬やよいが変身するキュアピース(画像はAmazon.co.jpから)

 「失速」とまで書かれたその要因は何だったのでしょうか?

 玩具メーカーサイドは、後に玩具業界紙で「スマイルパクトに続くヒット商品が出せずに、年間を通した貢献が出来なかった」と分析しています。

本誌 一方で「プリキュア」は立ち上がりは非常に良かったものの、夏以降に失速した印象ですが。
上野 「スマイルプリキュア!」に関してはメイン商材の「スマイルパクト」に人気が集中しすぎてしまいました。
メイン商材が良すぎて第2弾商品の購買に結びつかなかった。ですのでこちらに関しては商品ラインアップに課題が残りました。
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2013年1月号(P35)

バンダイ取締役 佐藤明宏氏 プリキュアも前作ではスマイルパクトが年間通じて売れたものの、それに続くヒット商品を出せずに年間を通した貢献ができませんでした。
『月刊トイジャーナル』(東京玩具人形協同組合)2013年2月号(P25)

 「年間を通した貢献が出来なかった」とはどういった意味なのでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る