10代だった“あの時の気持ち”を思い出す
シンクロ率が400%を超えたシンジくんがエヴァと融合したとき、改めて明らかにされた彼の心情は、「エヴァに乗れば皆が大事にしてくれる」ということ。
苦しいこと、逃げ出したいことであったとしても、それをすることで親や友達、先生らが自分を認めてくれる、応援してくれる、期待してくれる―――。シンジくんの心理描写は、家族や学校、部活動といったコミュニティーの中にいた10代だった自分の“あの時の気持ち”を思い出させました。はぁ〜〜。心にグサグサと刺さり胸が締め付けられます。こういう風に、視聴者自身も共感し見入ってしまう演出がエヴァはすごいんだなと思いました。しかも、声優さんたちの演技がすごいから余計……。ん?
「あれ、シンジくんの母親(ユイ)の声と綾波の声、一緒じゃね?」
ゲンドウとユイの間に生まれたのが女の子だったら「レイ」にしようという会話もあり、「もしかしてゲンドウってただのロリコンじゃないんじゃ……?」と気付き始めます。後にまさかユイのクローンだと知った時の驚きたるや……。シンジもゲンドウも、ユイを失ってから関係が壊れ、ユイを今でも求め続けてしまっているのかな……。
色んなところからパンチが飛んでくる……。
その後、シンジくんがエヴァから戻ってきてからは、ますますメンタルがやられていきました。加持さんどっか消えちゃうし、アスカは「ハレルヤ」の音楽とともに精神崩壊。綾波は、使徒との戦いで爆散してしまいます……(その後、新たな綾波がやってきましたが)。
そんな悲劇を、時折長いため息をつきながら見ていたら、
唐突にゼーレに全裸で差し出されたリツコさんが出てきます。
Zoom会議で誰も顔出ししていないのに、一人だけカメラオンにして、しかも顔どころか全裸をさらして参加しているような違和感。いや、この描写を入れた理由、少しは分かりますけども……。その後も、アスカが朽ち果てた風呂で裸になって呆けているし、いろんなところからパンチが飛んできてどんな心持ちで見ていればいいのか分からなくなってきました。
そんな風に、「エヴァやべえ……」とどんどん心が病んでくる僕の気持ちを少し救ってくれたのは、第弐拾四話で出てきた渚カヲルくん。
めちゃくちゃイケメンで、めちゃくちゃ良い声してるし、さわやかな感じもカッコいい。エヴァを見る前からいろんなところで見かけていたため、メインキャラクターの1人なんだろうなと考えていた人物でした。ただ、「このキャラクターが登場して少しは明るい気持ちになれたら……」と思っていたら、
カヲルくん、1話で退場するんかあああいっ!!!
あんなにメインキャラクターっぽい感じでテレビとか広告に映っていたのに? 残る3話でシンジくんと一緒に最後の使徒と戦っていくストーリーを妄想していたのに? なんなら、カヲルくん自身が最後の使徒です。マジかよ……。カヲルくん、測ってみたらわずか15分ほどの登場時間です。しかも、シンジくんに殺してもらおうとするなんて……。そりゃエヴァもカヲルくんを握りつぶすまでしばらく固まるよ……(これもすごい描写でしたが)。
もうこれ以上、自分とシンジ君に衝撃を与えないでくれ……。そう思っていた自分を待っていたのは、今までを超える一番の衝撃体験でした。
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