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「ハリポタ」イベントがJ.K.ローリング絡みの質問を“無関係”と遮断→作者サイドのワーナーは対応を「完全に間違い」

“名前を言ってはいけないあの人”となってしまったJ.K.ローリング。

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 6月21日(現地時間)、映画「ハリー・ポッター」に関するイベントで、英Sky Newsが原作者J.K.ローリングに関する質問をしたところ、「別の質問に移るよう」シャットアウトされたと明かしました。その後、同シリーズを製作・配給する米ワーナー・ブラサーズはその対応を「遺憾に思う」と、トランスジェンダーに関する発言で同シリーズから排除されつつあるローリング側に立つ声明を発表しました。

トム・フェルトン
質問に答えることを許されなかったトム・フェルトン(画像はワーナー・ブラザース・スタジオ・ツアー・ロンドン-メイキング・オブ・ハリー・ポッターのInstagramから)

 当該イベントは、作中で使われたセットや小道具などを展示する施設「ワーナー・ブラザース・スタジオ・ツアー・ロンドン-メイキング・オブ・ハリー・ポッター」に、新しく7月1日にオープンする“スプラウト教授の温室”を紹介するもの。

 参加していたドラコ・マルフォイ役の英俳優トム・フェルトンに対するインタビューで、Sky Newsは“彼やほかの人たちがハリーポッターのフランチャイズで活躍し続けているのに、ローリングがイベントに参加しないことについて”質問しようとしたとのこと。そこへイベントの広報が割って入り、トムは発言することを許されなかったそうです。

 Sky Newsは、“トムはそのあと少しきまりが悪そうな様子で「ここから500メートル離れたところでオーディションを受けたんだよ」と話すことを許された”と、トムもこの出来事に居心地が悪そうであったことを伝えています。

トム・フェルトン
「ハリー・ポッター・ファンダムはどこへも行かない」とトム(画像はワーナー・ブラザース・スタジオ・ツアー・ロンドン-メイキング・オブ・ハリー・ポッターのInstagramから)

 その後Sky Newsは「なぜ質問が遮断されたのか」と説明を求めたところ、広報からメールで、「J.K.ローリングはワーナーともトム・フェルトンとも無関係であり、チームとしては記事とも関連性がないと思われた」という回答があったとのことです。

 このメールでの回答が公開されたのち、ワーナーは声明を発表し、これを「完全に間違っている」ときっぱり。ワーナーとJ.K.ローリングは過去20年間に渡る「充足したパートナーシップ」を築いており、「いまもこれから数10年先も」その関係は続くとしています。また、そのイベントで起こったこともスタジオは「遺憾に思う」と意に反する出来事だったと述べました。

「ハリー・ポッター」シリーズから排除されつつあった原作者J.K.ローリング
原作者でありながらハリポタから排除されつつある(画像は映画「ファンタスティック・ビースト」のInstagramから)

 ローリングはある記事のタイトルで「月経のある人」という表現に対し、「昔はそういう人を表すための言葉があったはず」と「女性」という言葉が使われなかったことを暗に批判するようなツイートをしたことなどで、近年トランスフォビアであると強く非難されていました。「ハリー・ポッター」シリーズの英俳優ダニエル・ラドクリフ、英俳優エマ・ワトソン、映画「ファンタスティック・ビースト」主演の英俳優エディ・レッドメインもローリングの立場に反対する声明を出しています(関連記事)。

 この発言からローリングは「ハリー・ポッター」シリーズのイベントが中止になったり、「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001)の20周年を記念し米HBO Maxで1月1日より配信された同窓会特番「ハリー・ポッター20周年記念 リターン・トゥ・ホグワーツ」に参加しなかったりと、いわゆる「キャンセル・カルチャー」によって同シリーズから排除される傾向に。また、ロバート・F・ケネディ人権団体からも批判を受け、2019年に授与された「希望のさざ波(Ripple of Hope)」を返還するなどといったこともありました。

 なお、今回の質問を受けたトムに関しては、ローリングのトランスジェンダーに関する質問には批判も擁護もせず、回答しないという姿勢を取っています。

ワーナーによる声明全文

ワーナー・ブラザーズは過去20年間、J.K.ローリングと創造的で生産的、そして充足したパートナーシップを築いてきました。彼女は世界で最も熟達したストーリーテラーの1人であり、私たちはいまもこれから数10年先までも、彼女のビジョンやキャラクター、物語に命を吹き込むスタジオであることを誇らしく思っています。月曜日に、第3者であるメディアからこの意向へ反するような声明が出されました。この声明は完全に間違っており、ワーナー・ブラザーズ・スタジオ・ツアー・ロンドンは、その日のメディアイベントの一環で起こった出来事を遺憾に思います。

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