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列車内でペットと過ごせる「ペット専用新幹線」実証実験で見えた利用者効果、課題は?

実現したらもっと楽しくペットと旅行できそう。

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 旅行中もペットは「手荷物」扱いではなく「家族」として過ごしたい――東日本旅客鉄道(JR東日本)とペットウェルネス事業を手掛けるPETOKOTOらが連携し、北陸新幹線で「ペット専用新幹線」の実証実験が2022年5月に行われました(関連記事)。

ペット専用新幹線
2022年5月に行われた「ペット専用新幹線」実証実験のようす(画像:PETOKOTO、以下同)

 ペット専用新幹線は、上野駅から軽井沢駅までのうち約40分間を「ファミリータイム」として、愛犬をケージから出して一緒に過ごせるようにしたツアー用の貸切列車です。当日は18組35人と21匹の犬が参加しました。

ペット専用新幹線
ペット専用新幹線はツアー専用の貸切列車として運行した

 実証実験では全席にビニールシートを被せ、座席への皮脂や被毛の付着を最低限に抑えるようにした他、下車後は特別清掃を行いペットが触れた箇所の清掃を徹底。車内にはパナソニックの空間除菌脱臭機「ジアイーノ」を1両に6台設置するとともに、ニオイや粉塵の発生状況など、空気質の変化を検証しました。

 検証の結果、ニオイ対策を行った専用新幹線車内では、犬をケージから出している間も、対策を行っていない車内と粉塵量に明確な差は見られなかったといいます。

ペット専用新幹線
車内には空間除菌脱臭機を設置しニオイの発生を抑制

 なお、粉塵はパーティクルカウンターで0.3ミクロンと0.5ミクロンの大きさの粒子の数を計測し、ニオイ発生量はポータブル型ニオイセンサで計測しています。

 検証に協力したパナソニック エコシステムズは、ジアイーノが粉塵やペット臭の発生の抑制に対し一定の効果があると確認できたと考えられるとする一方で、比較対象の車両はジアイーノの設置有無だけでなくシートカバー有無や人の数、活動量など異なる点が多く対策効果の定量には至っていないと判断。とはいえペットと人が共存する空間の快適な空気づくりと快適な移動空間の実現に向けて有意義な実験だったと分析しています。

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参加者の満足度

 参加者への調査では77%が満足と評価し、代金については85%の参加者が従来ルールでの相場の約2倍にあたる1万2000円を支払い許容額として回答しました。

 今後の「公共交通のペットフレンドリー化」実現に向けた課題としては飼い主のマナー向上やペット連れとペット連れ以外の導線分離、啓発などが挙げられ、JR東日本スタートアップでは今後、ペットと当たり前のよう鉄道でお出かけができる未来の実現に向けた検討を重ねて実現していきたいとしています。

大泉勝彦

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