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「夏の暑い日に麦茶をくれたことはずっと忘れないよ」 マンションの管理人のおばあさんとのあたたかな縁に「素敵なお話」(1/2 ページ)

人のあたたかみを感じるお話ですね。

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 思わずもらい泣きしてしまいそうになるツイートを、イラストともにご紹介する企画「すてきな実話」。今回はフォトグラファーのフジイセイヤ(@seiyafujii)さんと、マンションの管理人のおばあさんとの思い出です。

おばあちゃんとの思い出 一生忘れない思い出になりそうです(イラスト:野田せいぞ

管理人のおばあさんとの思い出

高校生3年生の夏のある日、実家のマンションの窓の外で汗だくになりながら掃除する管理人のおばあちゃんがいた。

部活を引退してクーラーの効いた部屋で涼んでた僕は麦茶に氷を入れ、慣れないおぼんにのせて玄関先を掃除してくれていたおばあちゃんのもとに冷たい麦茶を届けた。

その行動に強く関心してくれて、それからよく立ち話をするようになった。この時から人生の先輩と会話をすることが好きだった気がする。

管理人のおばあちゃんは自分の家から週に2〜3回マンションの掃除のためにバスを乗り継いで通ってくれていた。

進路が決まったよ、大学に入学したよと日々の自分の生活を共有していつも楽しそうに自分の孫のことのように聞いてくれていた。

それから4年が経って社会人になるとき上京が決まった。ずっと九州にいた僕にとって初めて親元を離れる気持ちがわいた。お世話になった人に飛行機に乗る当日まで挨拶回りに行った。

最後にマンションを出るとき管理人のおばあちゃんがいつものように掃除をしていたから

「今日、東京に行ってそれでそのまま東京に住みます。今までありがとうございました」

と伝えると慌てて管理人室に入り戻ってくると

「今日は小銭しかもってなくて、ごめんねえ」

とバスを乗り継いでくるために使うお財布を全部ひっくり返して僕の手に握りしめてくれた。

多分1000円くらいだっただろうか、多分帰りの分も考えず全部、嬉しくてなにかしてあげたいという気持ちが伝わってきて自分はずっと泣いていた。

「夏の暑い日に麦茶をくれたことはずっと忘れないよ」と。

東京についたその日は目が霞んで前が見えず、人は泣きすぎると視界がぼやけてひとりで歩けなくなることを知った。

あれから10年、おととい実家から連絡があって管理人だったおばあちゃんが亡くなったと知らせが届いた。

自分が生きて、生活している中でずっと忘れることなくときに思い出すくらい大切になる人はそう簡単にはできないと思う。

(フジイセイヤさんのツイートより)

 フジイさんは高校3年生のとき、マンションの管理人のおばあさんが掃除しているのを見かけ、麦茶を差し入れました。以来、おばあさんとは立ち話をするようになります。

 それから数年後、フジイさんは東京での就職が決まりました。マンションを離れる最後の日、おばあさんにそのことを伝えると、自分の財布を全部ひっくり返し、帰りのバスで使うはずのお金をフジイさんの手に握りしめてくれたそうです。

 おばあさんの「なにかしてあげたい」という気持ちが伝わってきたフジイさん。感動のあまり、視界がぼやけて歩けなくなるほど泣いてしまったそうです。

 それから10年後、フジイさんは実家からおばあさんが亡くなったと知らされました。「自分が生きて、生活している中でずっと忘れることなくときに思い出すくらい大切になる人はそう簡単にはできないと思う」。フジイさんは改めてそのことを感じたそうです。

 フジイさんとおばあさんの絆に、ツイートを見た人からは「ツイートは冥界へも届くはず」「心の繋がりはどんな時代でもご時世であっても何者にも変え難い財産だと思います」「素敵なお話をありがとうございます」などの言葉が送られました。人の縁って、やっぱり良いですね……!

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