テイラー・スウィフト、批判受け新曲MVから「肥満」の文字削除 「彼女自身の表現を許さないなんて」と怒りの声も

ウーピー・ゴールドバーグも「あの子をそっとして」と味方に。

[城川まちね，ねとらぼ]

　米シンガー・ソングライターのテイラー・スウィフトによる新曲「Anti-Hero」のMVが10月21日（現地時間）に公開。しかし、そのワンシーンに「肥満恐怖症を誘発するのではないか」などの声が寄せられ、物議をかもしています。問題となったのは体重計に「FAT（肥満）」の文字が現れる場面で、テイラーはこの箇所をMVから削除しました。

体重計に乗るまでは同じ（画像はYouTubeから）

「Anti-Hero」のMV、現在は問題のシーンは削除済み

　テイラー自身が監督を務めた「Anti-Hero」のMVは、自身の不安や自己嫌悪などの内面を吐露するような内容。部分削除される前のMVでは、テイラーが体重計に乗ると数字の代わりに「FAT」の文字が現れ、隣からもう1人のテイラーがそれをのぞき込み、失望したように首を振るという流れになっていました。

　このシーンに対し、一部からは“太っていることが悪いこと”だというようなメッセージを与えるものだと批判の声があがったため、10月26日にApple MusicのMVからは当該シーンが削除。後にYouTubeの方でもカットが確認されました。現行のMVでは、テイラーが体重計に乗るとすぐにもう1人のテイラーがのぞき込むシーンへと移り、体重計に何が表示されたのかはわからないように改変されています。

削除された「FAT」のシーン（画像はYouTubeから）

　テイラーは2020年にNetflixで配信されたドキュメンタリー「Miss Americana」で、自身の体型についてのネガティブなコメントを読むことなどで体重にとらわれ、患うこととなった摂食障害と戦ってきた過去を告白。

　MVから問題となったシーンが削除された後、こうした事実を知っているファンから「私は100キロ以上あるけど、これを“肥満恐怖症”だと削除させた人たちにはムカついてます」「いじめに反対する人たちが、皮肉なことに今いじめる側になっているんだよね。彼女に件のシーンをカットさせ、彼女自身の表現を許さないなんて信じられない」など、今回の対応を残念に思い怒りを感じているとの声が多く上がりました。

　また、体形や摂食障害に悩んできたというユーザーたちからも「人生の大半をこの問題に費やしてきた私にとって、あれはとても重要なシーンだった」「本当にひどいよね。この曲は、私に1人じゃないって思わせてくれたんだよ」とあのシーンの必要性を説く意見が上がっています。

削除後はすぐこちらのシーンに移る（画像はYouTubeから）

　なお、10月25日に放送された米トーク番組「The View」では、テイラーの一件がテーマに。番組では「“FAT”というのはあまりに強い言葉。自分はまだ足りてないって突きつけられる」などの批判の声を紹介しつつ、出演者が意見を交わす中、ホストのサニー・ホスティンは「彼女は個人的な経験を描いただけ。はっきりいって多くの女性が経験するものです」と批判の声が論点を外している点を指摘。

　また、米俳優のウーピー・ゴールドバーグも「彼女が感じるままにさせてあげて」と呼びかけ、「この曲が嫌なら聴かなければいい。何でこんなことで自分の時間を浪費するわけ？　あの子をそっとして。みんなテイラー・スウィフトに何か言いたがるよね。放っといてあげなよ、オーケー？」と“らしい”コメントをしています。