3.ハイエンド(B)「ライトハウス高解像度VR機」
VIVE Pro 2 (2021)
ハイエンド機のうち、ライトハウスによる高精度なトラッキング性能と超高解像度によるVRへの高い没入性を重視しているのが「ライトハウス高解像度VR機」です。代表格は2021年に発売されたHTC「VIVE Pro 2」です。VIVE Pro 2は5Kの超高解像度だけでなく、視野角120度・リフレッシュレート120Hzと、あらゆる面で高い映像性能を実現しています。VR空間でオブジェクトにギリギリまで近づいても荒が目立たないレベルで、細かい文字も読みやすかったりと、かなり物理現実に近いレベルの精細感が体験できます (PCの要求スペックも上がりますが) 。
- 価格 :10万3400円 ※VRゴーグル単体
- 解像度:2448×2448 px (片目) 約5K
- 重量:約830グラム
- 参考:ねむさんの「VIVE Pro 2」解説記事
「ライトハウス」というのは、部屋に「ベースステーション」と呼ばれるセンサーを設置して部屋全体でトラッキングを行う規格のことです。複数のオブジェクトを同時に、かつ非常に高い精度でトラッキングすることができ、後述する「フルトラ」なども可能になります。高性能のモーションキャプチャーが個人の自宅で実現できてしまうというのは、まさに革命です。これなくして現代の個人VTuberシーンは語れないでしょう。導入時に設置の手間があるのと簡単に持ち運べないという欠点はありますが、私などは自室でしか使わないので全く問題になりません。
「フルトラ(=フルボディ・トラッキング)」とは、こうしたトラッキング技術によって全身の身体の動きをアバターと連動させることによって、高い表現力と没入感を実現する技術のことです。一見面倒なようですが、本当に没入感が全然変わって来ます。私などは「毎日フルトラでメタバースに入らないと物足りない」レベルになってしまいました。最近はライトハウス環境がなくても実現できる安価で手軽なフルトラ機器も多数発売されていますが、やはり毎日使うものなので精度や安定性を考えると、現時点ではやはりライトハウスが最強だと個人的には考えています。
ちなみに、私が普段使っている「VIVE Pro Eye」は同じProシリーズで、高解像度の代わりに「顔トラ」を標準搭載したもう1つのハイエンドモデルです(HTC NIPPON児島社長、 早く全部入りの「VIVE Pro 2 Eye」を出しましょう!)。被ったまま飲み物を飲んだりするのには十分過ぎるパススルー性能がありますし、私はぶっちゃけ「VRをやっている最中に現実なんて見たくない」と思っているのであまり「MR機能」に魅力を感じておらず、どうせボイチェンと有線でつながっているので「スタンドアロン性」も全く求めておらず、こちらのライトハウス路線がもっと盛り上がることを個人的に期待しています(非常に偏った意見)。
MeganeX (2023/3〜4発売予定)
つい先日2023/1に発表され大きな注目を集めたのがShiftall「MeganeX」です。5.2Kの超々高解像度、有機ELによる高コントラスト、385グラムの超軽量という超絶スペックのモンスターマシンとなっています。ライトハウスに対応するためのアダプターを外すと320gとさらに軽量となり、ライトハウス環境が無くても運用が可能となっています。
- 予定価格:24万9900円 ※VRゴーグル単体、通常版
- 解像度;2560×2560 px (片目) 約5.2K 有機EL
- 重量:約385グラム → ライトハウスアダプターを外すと 320グラム
まさしく長時間利用するVRヘビーユーザー待望の宇宙最強VRゴーグルなのですが、唯一残念なのが価格です。この性能で当初発表していた「10万円未満」で発売されていたら、VR界の天地が引っくり返っていたはずなのですが……部材価格高騰の煽りを受け、残念ながら「約25万円」と大幅な価格アップを余儀なくされました(これはVRゴーグル単体での価格で、当然ながらライトハウスで利用するためには、ベースステーションやコントローラーなども別途必要になってきます)
同時に発表されたのが、ライトハウス対応の衝撃の新コントローラー「Flip VR」です。手の甲に装着して「握らない」で利用できる前代未聞のコントローラーとなっており、ボタン類が「フリップ」して移動し装着したままキーボードや楽器の操作・飲食が可能と、VRヘビーユーザーの需要をがっつりつかんだすてき仕様となっています。片手を振るだけで変形できます。トンファーみたいでかっこいい!
ただし構造上、Flip VRは高機能な「指トラ」は搭載していません。「指トラ(=フィンガー・トラッキング)」というのは、指一本一本の指の動きをアバターに反映する技術のことです。表現力と没入感が(以下略)ですので、私は指トラ性能を重視して「Indexコントローラー」を使っています。ライトハウス規格のVRゴーグルと自由に組み合わせて使うことができます。
以上、私の独断と偏見による分類マップに基づき、新世代のVRゴーグルや関連技術を紹介しました。最新VRゴーグルがいかに盛り上がっているか、どういった方向に進化しつつあるのか、感じて頂けたのではないでしょうか。購入や理解の参考になれば幸いです。
メタバースで日々生活するために必要なVRゴーグルは電子機器というよりは服やアクセサリーに近いもの。カタログスペックだけで判断が付かないことも多いので、購入検討中の方はレンタルで遊んで実際に使用感を試してみるというのも一手です。
2023年は「Quest 3」をはじめ、まだまだ新製品が続々と登場しそうな気配です。ますます広がっていくVRの世界がとても楽しみですね!
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