2月24日(現地時間)に開催された仏映画賞のセザール賞授賞式で、環境活動家の女性が壇上にあがり気候変動の危機を訴え、賞が一時中断される事態が発生。その際に撮影された、司会の仏俳優レア・ドリュッケールと仏コメディアンのアハメド・シラが場を取り繕おうと活動家の横で笑顔を浮かべた写真が切り取られ、「嘲笑(ちょうしょう)している」と批判されたことに、レアは27日、自身のInstagramで反論しました。
壇上で「あと761日しかない」と書かれたTシャツを身に着け真剣な表情をする活動家の横で、レアは不自然なまでに歯をむき出して笑う司会2人の写真を投稿。この写真によって自身とアハメドは「危険に気付かない人」として描かれた風刺画のように使われているとして、長いコメントを添えました。
レアは、「私たちの笑いは困惑によるもので、嘲笑しようとしたものではありません。自分が困った状況に陥ったことを分かっているけど、不安を視聴者や会場に伝えたくないという笑いです」と動揺して笑うしかなかったことを説明。そして「みんなに楽しい時間を過ごしてもらおうとしていたとき、予想外のパニックに陥ること」と自分たちの立場へ想像力を働かせることを促し、「誰でも操り人形にされるのは不愉快なもの」だと、事実を確認せずにこの1シーンを切り取って使われることへの不当性を主張しました。
今回壇上にあがった女性は環境保護団体「デルニエール・レノヴァシオン」のメンバーで、彼女が登場してしばらくすると、授賞式を生放送していた仏テレビ局Canal+は放送を一時中断。この判断にも多くの批判が集中しました。
レアもコメントの中でこの判断が間違っていたとし「生放送が再開されたとき、視聴者は何が起こっていたのか、そして何が主張された行為だったのか知らされるべきでした。アハメドも私も、ニーナ(※壇上にあがった活動家)が何を守ってきたのか知らされなければいけなかった」と述べています。
放送が中断されたあと、レアが活動家の女性に何か言いたいことがあるか聞くと、彼女はないと答えたとのこと。そして「彼女は私の目の前で横たわり、警備員に舞台裏へ連れていかれました」と壇上で起こったことを明かし、「もちろん私は気候変動の緊急性をわかっていますし、地球と子どもたちの未来を心配しています」と環境問題に対して無関心ではないことを伝えました。
さらにセザール賞授賞式は、エンターテインメント性を残しながらもウクライナで行われている残虐行為やイラン現政権による不正など、政治的な主張も可能であるとし、しかし受賞者たちは女性への暴力や男女間の不平等、差別について語るが誰も環境問題については語っていないと指摘。それがどうしてなのか思考を巡らせている旨を述べています。
このレアのコメントには、ともに司会を務めやはり批判にさらされたアハメドが「今回のこと君と分かち合えてとても誇らしいよ、レア」と賛同。仏作家で活動家のシリル・ディオンは「ありがとう。あなたたち2人に迷惑がかかってしまって残念。とても不快なことです」としながらレアのコメントが議論を発展させるとして感謝を述べています。
また一般の視聴者からは「放送がカットされたことが問題なのであって、あなたたちの反応は問題ではありませんよ」と2人への批判は的はずれとする声や、「私たちは何年も前から気候変動をストップさせるためのデモを行ってますけど」と環境活動へは行動が起こされていないとするレアの意見は無知であるという声、さらに「国民に罪の意識を植え付けることには賛成できない。気候へ劇的な悪影響を与えるのは富裕層や政治家です」など、もっと大きな組織に訴えるべきだとする声が寄せられています。
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