2019年公開の実写版「アラジン」で主人公の青年アラジンを演じたエジプト出身のカナダ人俳優メナ・マスードが、実写版「リトル・マーメイド」(日本では6月9日公開予定)についてツイート。発言内容が「リトル・マーメイド」を軽視したものだと多くの批判を受け、現地時間5月14日に自身のTwitterアカウントを消してしまう事態にまで発展しています。
事の発端はエンターテインメント情報メディアのThe Hollywood Handleによる投稿で、「『リトル・マーメイド』は、国内のオープニング興行収入が1億1500万ドル(約156億円)となる見込み。対して『アラジン』はオープニングで1億1200万ドル(約152億円)だった」とのツイート。あるユーザーがこれを引用リツイートし、「『アラジンは』全世界興行収入が10億ドル(約1360億円)で終わることができた。翌週の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に対してどれだけ持ちこたえられるかによるね」と、5月26日全米公開の「リトル・マーメイド」が、6月2日公開の「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」とどのように競うかが興行収入の要であると意見を述べました。
するとメナはこの引用リツイートにリプライし、「僕たちの映画は、観客が何度も足を運んだという点で特有だった。それが僕らがオープニングで10億ドルの大台に達したたった1つの道筋だったんだ。僕の予想では『リトル・マーメイド』は10億ドルを超えないけど、間違いなく続編が作られるはず」と、「アラジン」と「リトル・マーメイド」を比較し、独自の分析をコメントしました。
しかしその後、このコメントへ多くのユーザーたちから批判が続出。「まず、メナ・マスードって誰? みんなウィル・スミスを見るためにアラジンへ足を運んだんだよ」「あなたの映画は主役のはずなのにナオミ・スコットに食われちゃったという特有なものだったよね」など、「アラジン」の成功はジーニー役のウィル・スミスや、ジャスミン役のナオミ・スコットのおかげであるという辛らつな意見が複数寄せられました。
また、「あなたの映画は10億ドル稼いだかもしれないけど、まだ無職だよね……もっと心配することがありそうだけど」「IMDBで“ミスター・10億ドル映画”がアラジンのあとどうなったか見てみたら、失業していたよ」など、アラジンの主役に抜てきされたあと、目立った活躍がないことによる嫉妬なのではないかと指摘する声も。同作は公開後、続編やスピンオフ製作の可能性を各メディアが報じていましたが、いずれもいまだ正式発表まで至っていません。
さらにメナ本人が同作に出演後、目立った大きな役をもらえないと明かしていたこともあり、あるユーザーは「アラジンの続編を作らなかったことにメナ・マスードが怒っているのはわかる。私だって怒ってる。ディズニーは中東の俳優が仕事をもらうのがどんなに難しいか知ってて裏切ったんだ」と共感。「でも『リトル・マーメイド』のように黒人女性が主役の映画だって同じように難しいことは知ってるでしょう」と失望をくみ取りながらも、今回の発言による問題を指摘しています。
「リトル・マーメイド」は、ヒロインのアリエル役に黒人俳優で歌手のハリー・ベイリーが起用されたことで、これまでのディズニーアニメによる「白い肌に赤い髪」というイメージを持ち続ける一部のファンからは異論を唱える声も噴出しました。姉のクロイと組むR&Bデュオ「クロイ&ハリー」でも活躍するハリーの歌唱力はすばらしく、アリエルとしてこれ以上の配役はないとハリーのアリエルを待ちわびる人にとってはメナの発言がハリーへの敬意が欠けていると不快に感じたようです。
また、メナは以前にも、一般ユーザーによる「みんな映画業界が黒人や褐色人種へ関心がないことは知ってる。デーヴ・パテール、フリーダ・ピントー、メナ・マスード、ナオミ・スコットがそれを示してる」との、“ハリウッドでは人種を理由にいまだ多くの仕事がもらえないことがある”としたツイートにリプライ。「ハリウッドの代表的なマイノリティーは黒人アーティストで、次いでアジア人、ラテンアメリカ人、ネイティブ・アメリカン、そして最後が……北アフリカ人なのだとか」と述べた内容が、今回の騒動で再度注目を浴びる事態に。このリプライを引用し、「ああ! 合点がいった。このツイートでメナ・マスードは反黒人のように見える。だから黒人主演の映画を追っかけてた? みんな『リトル・マーメイド』は何回も見ないって? だからハリー・ベイリーを軽視してるのか?」と、今回のメナの発言が嫉妬と反黒人的感情が混濁した感情により飛び出したものだとする意見も見られました。
多くの批判があふれたのち、メナは自身のTwitterアカウントを削除。これに「アカウントを削除するのではなく自分のツイートについて謝るべきだった」「キャスティングディレクターにキャリアを消されるより早く自分のアカウントを消したんだね」などとまず謝罪があるべきだとする声も寄せられています。
一方で擁護する声もあり、「エジプト人に対する人種差別は存在しないというけど……メナ・マスードはエジプト人俳優で、彼が『リトル・マーメイド』は10億円に届かないと“意見”を述べたら嫌がらせを受けTwitterを削除している! 私たちみんな、彼に嫌がらせしたことを知ってるでしょう、知らないふりはやめよう」と今回の出来事にはエジプト人に対する差別感情が含まれているとする声も寄せられました。
なお、メナのInstagramアカウントはいまだ削除されず残っており、最近の投稿には「私たち『アラジン2』を待ってるよ」「元気でいてくれるといいんだけど」「私たちエジプト人はあなたをサポートしてますよ」とファンや同郷の人々からエールが送られています。
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映画版ではほとんどが白人俳優だった。