エストニアのストップモーションアニメが英国で劇場公開、謎の濃厚さが「とんでもない超変てこな映画」と話題
レーティング15の「The Old Man Movie: Lactopalypse」。
英国で6月2日からエストニアのストップモーションアニメ映画「The Old Man Movie: Lactopalypse」が劇場公開されます。英国では珍しいエストニア映画の劇場公開、しかもストップモーションアニメにもかかわらずレーティング15(15歳未満禁止)です。
バルト三国の中で最も北に位置するエストニアは、フィンランド湾とバルト海に面し、ロシア、ラトビアと国境を接する人口130万人余りの国。撮影地として製作国の1つに名を連ねた映画は時々ありますが、エストニア単独製作によるエストニア語映画が英国の劇場で公開されるケースはそれほど多くありません。
そして15歳未満禁止というレーティング。英国では性的なシーンや暴力シーン、言葉使いで、「R18」「18」「15」、その下にも4段階に分類されています。数字は年齢で「18」「15」はそれぞれ18歳未満禁止、15歳未満禁止を表し、「R」はRestricted(制限された)の意味。R18はいわゆる成人映画、セックスシーンがある映画で、観る方が成人(18歳以上)であることに加え、上映、販売する方にもライセンスが必要です。
同作が「15」となった理由は、強烈な言葉、下品なユーモアとなっています。
さて内容は? タイトルの「The Old Man Movie」は、主人公が祖父と孫たちの物語なので、祖父を指すのでしょう。Lactopalypseは、ラクトアイスなどの言葉に使われている乳を表す“ラクト”と、「地獄の黙示録(原題:Appocalypse Now)」でおなじみの“アポカリプス”をくっつけた造語のようです。張った牛の乳が破裂することで起こる大変な事態らしいです。たかが牛1頭で、あり得ないほどのディザスターになります。
ストーリーは、都会っ子の孫たちが、おじいちゃんが暮らす農村にやってくるところから始まります。子豚におならをさせる芸(?)や、しぼりたての牛乳を待ちわびる村人たちに向け、曲芸まがいの乳しぼりを披露するおじいちゃん、ちょっと調子こいてます。
心優しい孫が、酷使される牛に心を痛め、逃がしてしまいます。刻々と張っていく牛の乳、さあ大変、24時間内に何とかしないとラクトパリプスに! 牛を探すおじいちゃんと孫を阻む悪役も登場。過去のラクトパリプスで変身を遂げた、ミルクの怪人ともいうべきオールドミルカーと、求職中だった村の衆による悪の軍団です。
冒頭から、4文字言葉など強烈な言い回しや、下品なユーモア満載。とはいえ、前半は、子豚おならブーや、みんな牛糞まみれなど、これで爆笑するのはむしろ幼児では? というギャグ、大人は苦笑です。
後半になると、幼児は分からないであろうギャグも出てきます。トラクターで牛を捜索中のおじいちゃんたちに、木の神である大木は、自分の洞に入るよう言います。「入って、出て」と何度も繰り返させたあげく、「もっと早く!」。Hなギャグとはわかりますが、やはり苦笑。肛門期から性器期に発達はしましたが、ヒネリもなくそのまま繰り出されるギャグなのは変わりません。
それでも席を立つ気にはならないのは、予想外過ぎて全く先が読めず、どうなるか見届けたくなるからです。
英国では6月2日の劇場公開前に、英国映画協会(BFI)で先行上映会が開催されます。BFIは、毎秋2〜300本の映画を集め開催されるロンドン映画祭や、世界最大の映像アーカイブで知られる、映像文化振興団体。古今東西の映像を扱ってきたBFIで、同作は「とんでもない超変てこな映画」と紹介されています。
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