1960年代に一世を風靡(ふうび)した英ロックバンド「ビートルズ」のメンバーであるポール・マッカートニーがBBCのラジオ4番組「Today」で、AI技術によって同バンド最後の曲を完成させたと述べました。またこの曲はジョン・レノンの残したデモ音源をもとに作られているとも明かしています。
ポールはインタビュー内で、この曲について「完成したばかりで、年内にリリースされる予定」と語りました。この曲は1980年に銃撃され亡くなったジョン・レノンが生前遺したデモ音源からジョンの声を「取り出し」完成させたとのこと。
そのプロセスについてポールは、ニュージーランドの映画監督ピーター・ジャクソンによる2021年に公開されたドキュメンタリー映画「ザ・ビートルズ: Get Back」を制作した際、「音質の悪いカセットテープからジョンの声を“取り出す”ことができた」と言及。「ジョンの声とピアノの音があったんですが、それをAIで分離させることができました。彼ら(映画のスタッフたち)は『これが声だよ。これがギターだ。ギターの声を消してくれ』というようにやったんですね」と映画制作のスタッフたちがどのようにAIを用いたかを説明しました。
「それで、ビートルズ最後の曲を作ることになったとき――それはジョンが持っていたデモだったんだけど――AIの技術を使ってジョンの声を取り出し、混じりけのないものにすることができたんです。だから通常やっているのと同じように音をミックスさせることができました。自由度が持てるわけです」と映画制作で培った技術を今回の楽曲制作に役立てたことを明かしています。
ポールは具体的な曲名を明かしませんでしたが、BBCは1978年にジョンが作曲した「Now And Then」である可能性が高いと推測しています。この曲はジョンが遺した「ポールのために」と書かれたカセットテープに入っていたうちの1曲で、ビートルズの活動を総括した「アンソロジー・プロジェクト」の際にジョンの妻オノ・ヨーコさんがポールに音源を渡したとされています。
その音源はニューヨークの自宅でピアノの前にジョンが座りラジカセで録音したとされるもので、非常に音質が未熟であるため楽曲の制作は諦めたとされていました。しかしポールはたびたびこの曲を完成させたいと語っており、ファンからも強く望まれていました。
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