小人症の英俳優ジョージ・コッペンが、12月15日に公開される映画「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」のウンパ・ルンパ役に英俳優ヒュー・グラントが起用されたことを受け苦言を呈しました。ウンパ・ルンパは身長が低く最新版では「小人」の設定で、小人症ではない俳優を起用したことで「締め出されていると感じる」と英BBCにコメントしています。
ジョージはBBCの取材に対し、「私も含め、多くの人々がドラマ内での日常的な役をオファーされるべきだと思っています。でも私たちにそういったオファーは来ないのです」「多くの(小人症の)俳優が、自分たちが愛する業界から締め出されているように感じています」と現在小人症の俳優が感じている閉塞感について語りました。ジョージがこの問題について考え始めたのは、3部作映画「ホビット」で小人症ではない英俳優ジェームズ・ネスビットがドワーフの1人ボフールを演じているのを見て以来だといいます。
「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」は、2005年の映画「チャーリーとチョコレート工場」で米俳優ジョニー・デップが演じたウォンカの若いころを米仏の俳優ティモシー・シャラメが演じる前日譚。2005年の映画ではウンパ・ルンパ役にケニア出身で小人症の俳優として活躍するディープ・ロイが起用されました。また、1971年に米俳優ジーン・ワイルダー主演で映画化された「夢のチョコレート工場」は、複数名の小人症の俳優によって演じられています。
英作家ロアルド・ダールによる原作の初版でウンパ・ルンパは「アフリカのピグミー族」とされていましたが、のちに「ルンパランドに住む色白の小人」に修正。1971年の映画ではオレンジ色の肌に緑色の髪、2005年の映画ではインド人の両親を持つディープ・ロイは自身の持つ黒髪と褐色の肌そのままに出演。今回ヒューは1971年の映画と同じオレンジ色の肌と緑色の髪となっています。
ジョージは自身のInstagramアカウントでも「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」について意見を述べており、「これまでの2作でウンパ・ルンパは小人症の俳優によって演じられていたのに、今回彼らは私たちから仕事を奪うことにしたんだ。なぜだろう?」と疑問を呈しています。
そして「このような役柄は屈辱的なものだから、もっと別の“普通の”役を演じるべきと言う人もいる」としたうえで、テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」などで知られる小人症の俳優ピーター・ディンクレイジの名を挙げ、彼のように活躍する小人症の俳優は自分たちにとって大きな意味を持つものの、抜きんでた存在であるがゆえに「私たち全員の代弁者ではない」と指摘。ピーターのように特別な存在にならない限り、小人症の俳優にとって仕事を選ぶことは難しいと述べました。そして「多くの人には、このようなことが私のような人間にとってどういった意味を持つのか分からないだろう」とウンパ・ルンパ役にヒューが起用されたことに対する気持ちをつづっています。
同作の監督を務めたポール・キングは、7月11日に公開された米The Hollywood Reporter紙のインタビューで、ウンパ・ルンパ役にヒューを起用した理由を説明しています。原作者のロアルド・ダールはあまりウンパ・ルンパにせりふを与えませんでしたが、彼らの歌として書かれた歌詞は「信じられないほど皮肉っぽく、批判的でむごい」とし、「それで、僕はそのキャラクターについて考えていた。こんなクソみたいな役を演じられるのは誰なのか……ああ! ヒュー!」とひらめきを得たとのこと。「だって彼は僕が今まで出会った中で1番面白くて皮肉屋のクソ野郎だから」と付け加え、単純にヒューがウンパ・ルンパ役にぴったりのキャラクターであったが故の起用だとしています。
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