【賃貸の退去費用】原状回復と経年劣化を簡単に分かりやすくまとめました(2/3 ページ)
賃貸物件の住み替えを検討するときに気になる「退去時の費用」。わかりやすく解説していきます。
経年劣化と原状回復の関係
では、入居者の過失による傷や汚れがある場合、その原状回復費用は全額支払わなければいけないのでしょうか。契約内容にもよりますが、答えはノーです。原状回復費用は、すでに賃料として支払っている経年劣化と通常損耗分を差し引いて考えるのが基本です。
経年劣化と通常損耗による価値の減少は、内装材や設備の耐久年数と入居年数を踏まえて考え、これをもとに、「退去時の残存価値」を割り出します。
たとえば、部屋の多くを占めるクロス。ガイドラインによると、クロスの耐久年数は6年とされています。
つまり、3年住んだ部屋のクロスの張り替えに10万円かかる場合、クロスの耐久年度は6年なので、居住期間が3年であればクロスの価値は50%となり、入居者が支払う原状回復費用も50%の5万円となります。
ちなみに、その他の設備の耐用年数は、流し台が5年、エアコンは6年、便器やユニットバスなどは15年とされています。
では、耐久年数を超えた設備は、入居者の不注意で破損させてしまっても、工事費用はかからないのでしょうか?
ガイドラインによると、耐久年数を超えたとしても継続して使用可能な設備は、入居者の故意・過失によって工事が必要になった場合、その工事にかかる費用の一部を入居者側も負担する可能性があるとしています。
賃貸物件は、あくまで借りた部屋です。民法では他人の物を借りた場合、一般的・客観的に要求されるレベルの注意を払って使用する「善管注意義務」が生じます。耐久年数にかかわらず、注意を払って使用する義務があることを覚えておきましょう。
経年劣化かどうかチェックしたいところ
部屋の汚れや傷が、経年劣化または通常損耗なのか、それとも原状回復義務の範囲に含まれるのかは気になるところですよね。ここでは、特にチェックしたいところをピックアップしました。
クロス
ポスターやカレンダーなどによる変色や画鋲の穴は、経年劣化および通常損耗の範囲。エアコンからの水漏れ放置によるカビや、子どもの落書き、タバコやペットによる汚れや臭いは、原状回復義務に含まれるため費用負担が生じるでしょう。
フローリング
ワックスの剥げ落ちや、家具を置いたことによる凹みは、経年劣化および通常損耗の範囲。椅子を引いてできた擦り傷や、何かを落としてできた深い傷などは原状回復義務に含まれます。
キッチン、バス、トイレなどの水回り
油汚れや水垢・湯垢、カビなど、水回りは汚れが付着しやすい設備です。判断基準は、その汚れが一般的な範囲かどうか。目視して汚れがひどい場合は、入居者負担になるケースが多いです。
仮に入居者負担になった場合、クリーニングで済む程度の汚れであれば費用はそれほどかかりませんが、設備交換が必要な場合は負担額が大きくなるため注意が必要です。普段の掃除とあわせて、退去時の掃除もポイントになるでしょう。
原状回復費用と敷金の関係性
原状回復の費用は、入居時に支払った敷金から差し引かれて支払う仕組みです。敷金より原状回復費用が上回れば追加で請求され、余剰があれば返還されます。
経年劣化や通常損耗だけの場合、ガイドラインにのっとって考えれば、敷金は全額返還されるというのが基本です。しかし、ハウスクリーニング代は入居者負担とする大家さんが多いのも現状です。
前述のとおり、ガイドラインはあくまで基準を示したものであって法的強制力はありません。契約書にハウスクリーニング代の負担について明記されていれば、支払い義務が生じます。
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どれも包丁とまな板がいらないので、手狭なスペースでも作れます。