海外で流行し、日本でもその被害が危惧される害虫トコジラミ。東京都保険医療局によると、近年都内の保健所に寄せられるトコジラミに関する相談は増加傾向とのことです。
トコジラミとは一体どんな虫でどのような生態なのか、効果的な対処法はあるのか。虫ケア用品を中心とした日用品を製造・販売するアース製薬に聞きました(※以下、虫が苦手な人は閲覧注意)。
トコジラミとは?「刺された跡やかゆみがあれば、部屋に2ミリくらいの黒褐色の汚れがないかを確認」
――トコジラミとは一体どんな虫なのでしょうか?
アース製薬:トコジラミは別名で南京虫(ナンキンムシ)といわれ、日本では北海道から九州まで幅広い地域で発見されています。海外でもアジア各国やアメリカ、ヨーロッパなど幅広く問題になっている害虫です。英語ではBed Bug(ベッドバグ)と呼ばれています。
トコジラミはダンボールや家具の隙間などに隠れています。夜間に活動し、人やウサギ、モルモット、ネズミ、小鳥を好んで吸血します。トコジラミは「シラミ」ではなく「カメムシ」の仲間です。体長は4〜5ミリ前後で、幼虫も成虫も人やペットの血を吸って生きます。
刺された跡やかゆみがあれば、部屋に2ミリくらいの黒褐色の汚れがないか確認してみてください。それはトコジラミのふんで、天井や壁、マットレスの継ぎ目、カーテン、ベッドのスカート部分など寝具付近で見つかる可能性があります。
トコジラミは1日3〜6個、生涯に200〜500個産卵し繁殖力が高い
――トコジラミの生態について教えてください
アース製薬:トコジラミの成虫は1日3〜6個産卵し、約3カ月に渡り産卵を続け、生涯に200〜500個を産卵します。産卵数が多い上、繁殖力が高いことから家に持ち帰ってしまうことを避けたい害虫です。またトコジラミは飢餓に強く、無吸血でも2〜3カ月は生存が可能です。
25度くらいの暖かい場所を好み、日本での主な発生時期は6〜9月ですが、暖房が効いた日本の家屋では季節を問わず生息することが可能で、冬季でも出現する例もあります。トコジラミが好きな場所は、「暗くて血を吸いに行きやすい場所」「亀裂などの狭くて暗い場所」「布が重なった部分、継ぎ目」「暖かい場所」です。
最近では、ピレスロイド系の駆除剤に耐性を持つ、通称「スーパートコジラミ」の存在が報告されており、駆除がより難しくなっています。
SNSなどで拡散されている、「ツルツルした場所は動きにくく浴室などに潜みにくい」というのは事実です。旅行先では、荷物や上着を一旦バスルームに置くのが有効です(クローゼットや荷物を置くスペースには前の宿泊者から落ちたトコジラミが潜んでいる可能性があるため)。
トコジラミを見つけたときの対処法、効果的な薬剤の散布方法について
――見つけたときの対処法、効果的な薬剤の散布方法について教えてください
アース製薬:前述の通り、最近は薬剤が効きにくい抵抗性があるスーパートコジラミの出現も問題になっております。
従来の有効成分(ピレスロイド系)が効きにくいスーパートコジラミまで駆除できるくん煙剤、例えば「ゼロノナイトGゴキブリ用 くん煙剤 6〜8畳用」の散布がオススメです。このようなくん煙剤で駆除することで、発生予防にもつながります(くん煙剤は使用環境のほか、清掃により薬剤の付着量が減少すると持続が短くなる場合があります)。
また、「サラテクト」のような虫よけ剤をお肌にムラなく塗布することで、トコジラミに刺されることを防ぐこともできます。虫よけ剤は、腕・足など肌の露出部分の約15センチの距離からスプレーし、顔・首筋には手のひらにスプレーしてお肌にぬってください。
(了)
トコジラミは持ち込まないことが最も重要ですが、万が一発生が疑われる場合には、スーパートコジラミにも有効な成分のくん煙剤、肌につける虫よけ剤を活用することが被害防止になりそうです。アース製薬の公式Xアカウント(@EarthOfficialJP)には、「旅行に役立つトコジラミ対策」についての対策集や動画も投稿されています。
取材協力:アース製薬株式会社
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