現地時間3月26日、英ウェールズ出身の歌手ダフィーが約4年ぶりにInstagramを更新しました。2011年に音楽活動の無期限休止を発表していたダフィーは、自身が薬を盛られ、性的暴行・誘拐・監禁されていたことを2020年に公表し、活動休止はその深い傷から回復するためだったと述べています。
「心を動かすちょっとしたもの」 幸せについて語る動画で久々投稿
ダフィーがInstagramに投稿したのは短いアニメーション動画。「いつかあなたは、幸せとは仕事や学位や恋愛関係などではないことに気付くだろう。幸せとは先人の足跡をたどることではない。それは他の誰とも違うものだ。ある日、あなたはそのことに気付くだろう」と字幕とナレーションで語られています。
アニメーションは、壁に頭を打ち付ける男性や何かに追われる女性、恐怖や暴力や不安とともに、虹や友人や日常生活の中にある幸せも描かれた内容。「いつの日か、あなたはそれを見るはずだ。幸せとはいつも、発見することだったのだ」「希望。自分の心に耳を傾けること。どこへ行こうともそれに従うこと。幸せとは、いつも自分自身に優しくあることなのだ」と淡々とした調子のナレーションが吹き込まれています。
「いつの日かあなたは、幸せとは自分自身とともに生きるすべを学ぶ方法であり、自分の幸せは決して他人の手の中にはないことを理解するだろう」「いつの日かあなたは、本当の幸せとは内面からくるものであり、外的な要因では定義できないことに気付くだろう。それはいつでも自分自身のことなのだ」と続いています。
このアニメーションはあるデジタルクリエイターの「幸せ」という動画を再投稿したもの。ダフィーは作者をタグ付けした上で、この投稿へ「心を動かすちょっとしたものです。皆さんが元気でいることを願っています。愛をこめて、ダフィー」とコメントを書き添えました。
人気絶頂のさなか、巻き込まれた悲惨な事件
2008年のデビューアルバム「ロックフェリー」が世界的な注目を集め、グラミー賞最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞したダフィー。ハスキーボイスとソウルフルな音楽で人気を集め、同じころにデビューしたアデルとも比較される存在でした。
しかし人気絶頂の2011年に音楽活動の無期限休止を発表。ごくたまに映画やラジオへの出演で活動を再開させた他は、10年以上本格的なステージから遠ざかっています。
2020年2月、ダフィーは公式サイトとInstagramの投稿(現在は削除済み)で、「レイプされ、薬を盛られ、数日間人質にされた」と公表。回復するために公の場からは遠ざかり、長い時間を要したことを説明し、今は元気にしていると付け加えました。
このときダフィーは詳しい状況を明かしませんでしたが、4月に長い手記を投稿し、詳細をつづっています。手記の中でダフィーは、誕生日にレストランで薬を盛られ、その後4週間にわたり薬漬けにされたと述べました。そして飛行機や車の荷台に乗せられ外国に誘拐され、ホテルの部屋で犯人にレイプされたこと、その間“処分”されるかもしれないといった恐怖を感じていたことなどを語りました。
周囲からの心無い声に傷付くも 「自分の過去を尊重するため」被害を公表
事件のあと、3年間で5回の引っ越しをしながらも、「レイプ犯から安全だと感じたことはなかった」と述べたダフィー。また、暴行被害を公表することで、音楽活動を再開したとしても世間から軽蔑され、新しい恋愛をしようとしても男性から距離を置かれるだろうと周囲からいわれたこと、さらに犯人が捕まらずまだ逃走中であることについて責任を問われるかもしれないといわれたことなども詳らかにしました。
深い傷により世間から距離を置き何年も孤独に暮らしてきたという彼女は、ある女性心理学者と話すことで徐々に回復してきたことも明かしています。そして「どれだけたくさんの石を投げつけられようとも、私は個人の自由を取る。もし自分の未来を破壊することになるとしても、自分の過去を尊重するためにこうする」と彼女を傷つける周囲の言葉や自分の心と向き合ったうえで公表する決意を固めたと述べました。
今回約4年ぶりとなるダフィーの投稿へは、「あなたと、あなたの美しい歌声が恋しいよ、ダフィー」「私たちはあなたをずっと待っています。ずっとここにいます」「あなたを愛しているし、あなたが幸せで満たされ、あなたの心が望む場所にあることを願っています」とダフィーが再び音楽活動を再開することを待ち望む人や、ダフィーの幸福を願う人々のコメントが寄せられています。
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