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コンテンツサービスで相次ぐ突然のクレカ決済停止の問題点 今後どう対応できるのか、議員と弁護士に聞いた(1/5 ページ)

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 2024年4月ごろから、複数のコンテンツサービスで突然特定のブランドのクレジットカード決済が停止となる事態が相次ぎ、ネット上で大きな波紋を呼んでいます。

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DLsiteにおけるクレジットカードのお知らせ(画像はエイシスより)

 その端緒となったのが、エイシスが運営する同人・PCゲーム等のダウンロード販売サイト「DLsite」。3月下旬に、同サイトから「成人向け作品を含むサービスにクレジットカードブランドから要請があった」として、一部の語句が使用不可になるとの告知を受けたとクリエイターがSNSで報告。「ロリババア」を「ひよこババア」、「獣姦」を「動物なかよし」に置き換えるなどの対応が話題となりました。

 その後4月3日、エイシスは「DLsite」でVISA・Mastercardの決済を停止すると発表し、翌4日にはAmerican Expressの利用も一時停止となりました。これらの処置は記事執筆時点(7月初頭)でも続いています。

 その後、他のサイトでもクレジットカード決済を停止するケースが続きました。DLsiteが言い換えを通知したときには一部におもしろがるような反応も見られましたが、クレジットカード会社の意向によってアダルト作品などある種のコンテンツが販売されなくなったり、コンテンツサービスでクレジットカードが使えなくなる事態が進むのではないかと、今後を不安視する声が大きくなっています。

 表現への介入として危惧されているこの問題について、以前から警鐘を鳴らしている参議院議員の山田太郎議員に聞きました。

pixiv、ニコニコ……規制は以前から

 4月に大きく話題になったクレジットカード会社による規制ですが、DLsiteが最初というわけではありません。

 例えば、2022年7月にDMM(およびFANZA)で突然MasterCardの取り扱いが終了し、同年11月にはイラスト投稿サービス「pixiv」運営会社が、「国際カードブランドの規約違反の指摘が増えた」としてサービス規約を改定しました。2023年11月にはドワンゴが、ニコニコサービスで一部MasterCardでの決済を一時停止しています

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(参考)ニコニコ、一部Mastercardでの支払いを一時停止に プレミアム会員料金など対象。この対応の直前に「汚い仔猫を見つけたので虐待することにした(1匹目)」というタイトルの動画(実際は拾った猫の世話をする内容)が非公開になっており、SNSでは関連があるのではとの憶測が広がりました。動画投稿者は、ニコニコから「MasterCardから非公開要請があった」「(MasterCardに)内容精査を要請する」と連絡を受けたと明かしていました

 クレジットカードブランドによる禁止表現には「強姦」「陵辱」「近親姦」などのワードが含まれるとされ、主に成人向け作品が対象となっていますが、成人向け作品が中心ではないサービスにも影響は及んでいます。

 DLsite以降は、とらのあなのクリエイター支援サービス「Fantia(ファンティア)」(5月)、成人向けECサイト「FANZA」内の「FANZA同人」(6月)U-NEXTの成人向けコンテンツ(6月)と、VISAやMasterCardの決済停止が続いています。ニコニコでは5月に、MasterCardに続いてVISAとダイナースクラブも決済停止となりました。

 さらに、6月頭には漫画配信サイト「マンガ図書館Z」が、クレジットカードの要請により特定のワードを含んだ作品の配信停止を決定。運営者の漫画家で参議院議員の赤松健さんは「各電子書籍ストアへのこういった通告は何度もあったのですが、今回はこれまででも最大級のもの」とし、これまでにない「強い条件」や「強いペナルティ」が確認されていると語っています。

 こうした状況から、クレジットカード会社によるコンテンツ配信サービスへの圧力が強まっていることがうかがえます。


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