日本の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来生物を捕獲し、査定・買取してもらう動画がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で14万回以上再生され、「面白い取り組み」「頑張ってほしい」と反響を呼んでいます。
投稿したのは、滋賀県の琵琶湖を中心に生態系保全のための活動を行い、その様子を発信しているYouTuberのマーシーさん(@marsy-catchinghunting)。以前には、琵琶湖で大量発生して問題になっている南米原産のスクミリンゴガイ(通称:ジャンボタニシ)を駆除する動画が話題になりました(関連記事)。
今回の動画は、侵略的外来種を捕獲し、キッチンカープロジェクト「外来種キッチンカー」を始動したさかな芸人のハットリさん(X:@hattori95)に買い取ってもらうというもの。なお、動画に登場する特定外来生物は、外来生物法により、許可なしでの飼養や運搬、販売・配布は罰則が科される点を留意してください。
内容は普段行っている外来種駆除とあまり変わりませんが、駆除のみならず“食材”として生かせるところが画期的です。ただし、今回の査定金額はハットリさんがさまざまな要素を考慮して決定した特別価格となっています。また、ハットリさんとしては、マーシーさんの視聴者さんがイベントへ来てくれるだろうという思惑も込みの価格付けになったのだとか。
琵琶湖で探索開始!
琵琶湖でガサガサ(たも網を使って川で生き物を採集すること)を実施すると、さっそく前回と同じくスクミリンゴガイを発見。続けて特定外来生物のブルーギル、条件付特定外来生物のアメリカザリガニも捕獲! これらにハットリさんは料理のしやすさなども考えつつ、ざっくりした査定基準で順に1匹5円、1匹5〜20円(サイズで変動)、1匹30〜50円と値段をつけていきます。
ほかにも食材として使いやすそうな特定外来生物のウシガエルは基本500円という太っ腹な査定金額に。さらに捕まえたマーシーさん本人もビックリする、90センチ近い「飼育型のコイ」(※人為的に導入された外来のコイ 参考:国立環境研究所)が捕獲され、ちゃんと値段がつくタイプの魚の登場にハットリさんも本気で悩む展開に。この大きさのコイは想定外すぎる……!
そして気になる合計金額は5455円! 大物のコイが3000円ということを含めても、作業時間5時間でこのくらい稼げると考えたらいい仕事といえそうです。なお、同様の企画を続けたら「多分僕は破産する」とハットリさんはコメントしています。
「命に感謝して食べてあげる事は素晴らしい」称賛の声
コメント欄では「新たな視点なのでめちゃ面白いです!」「ただ駆除だけするより外来種が居なくなるまでなら命に感謝して食べてあげる事は素晴らしいと感じました」「まさにWin-Winなコラボですねw」「素晴らしい企画だ」などの声が寄せられ、「このキッチンカー見かけたら買ってみたい」「頑張って欲しい」と応援する声が多く上がっています。
今回、ハットリさんが買い取った食材は、2024年10月12〜14日に開催された金沢動物園(神奈川県)のイベントで「唐揚げ」や「さつま揚げ」として調理・販売されました。
企画は「あくまで保全が一番の目的で、活用は二の次」
外来種を料理として提供する外来種キッチンカーについては、数を減らしたい外来種を商業活用することで「外来種がいないといけない」という矛盾を生んでしまう問題点についても触れており、ハットリさんは「あくまで保全が一番の目的で、活用は二の次」で、「いつか在来種キッチンカーに変わるまで頑張る」というテーマを掲げていると話しています。またキッチンカーなので、その場所に外来種がいなくなれば移動できるというメリットも。なにより各地に出店することで外来種に関する理解促進につながることは間違いなさそうです。
マーシーさんはYouTubeチャンネル「マーシーの獲ったり狩ったり」にて、生物採集を行うなかで外来種問題の情報発信や注意喚起を実施。ハットリさんもYouTubeチャンネル「さかな芸人ハットリ&外来種キッチンカー」にて、外来種キッチンカーの初回営業の様子を公開しているので、興味が湧いた人はチェックしてみるとよさそうです。
動画提供:YouTubeチャンネル「マーシーの獲ったり狩ったり」さん
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