第1位:新宿区(-2304人)
第1位は「新宿区」でした。東京23区のほぼ中央、「副都心」とも呼ばれるエリアに位置している新宿区。区内は鉄道をはじめとした交通網が発達しており、JR山手線や中央本線のほか、私鉄・地下鉄の駅が点在しています。
新宿区の2023年の「転入超過総数」は-2304人。つまり2304人の「転出超過」となっています。世代別に見ると、25~34歳が-702人と転入超過数が最も少なく、次いで0~14歳が-944人、35歳以上は-2714人。15~24歳の単身若年層のみ、2056人の「転入超過」となっています。
【中山登志朗さんはこう見る】
新宿区は25~34歳の転出超過数が、豊島区よりもさらに多い-702人です。傾向としては豊島区と同じで、若い人がそれほど入ってこず、ファミリー層の転出が多いため、総数が転出超過になっているのでしょう。新宿も豊島も、若年単身者層の転入が多くない理由の一つに「大繁華街で治安が悪い」というイメージがあるでしょう。閑静な住宅地もあるのであくまでもイメージですが、地方から子ども一人を送り出す親御さんとしては心配な部分があるのだと思います。
新宿区や大田区は、0~14歳のお子さんの転出超過も1000人ほどと、23区内でもトップクラスです。単身で転出するケースもありますが、多くは家族連れで移動するため、お子さんも一緒に転出することになります。0~14歳で転入超過になっている区は文京区、練馬区のみ。このエリアには比較的所得の高いファミリー層が安定的に住んでおり、35歳以上の転出が少ないのでしょう。さらに入ってくる人もある程度いるので、その差分として14歳までのお子さんが増えたということですね。
【中山登志朗さん総評】
城西エリア(世田谷区、中野区、杉並区など)や城南エリア(目黒区、大田区など)は、35歳以上のファミリー層が2000~3000人の転出超過になっています。対して、ファミリー層が動きにくいのは城北エリア(文京区、足立区、荒川区など)と城東エリア(中央区、葛飾区など)です。
文京区や中央区には比較的所得の高いファミリー層が安定的に住んでいるケースが多く、また、足立区や葛飾区は賃料や物件価格が安価なため住みやすく、転出が少ないのでしょう。足立区は35歳以上で唯一転入超過で、同じく葛飾区も-80人なので誤差の範囲といえます。現在は都心以外でも1億を超える物件がザラにあるので、家を購入する際に安価な場所に移るケースは多いでしょうね。23区全体として、物件の価格水準や物価、世帯年収に違いがあることが背景にあると思います。
「転入超過数が少ない区」ランキング
調査概要
調査期間 | 2023年1月1日 ~12月31日 |
調査エリア | 東京23区 |
集計方法 | 総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告を基に作成 |
※本ランキングは、総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告を基にLIFULL HOME’S総研が作成したものです。
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