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逮捕された瞬間「ありがとうございます」

 さらにエリさんには別れた夫との間に9歳になる子どもがいることも語られ、「子どもがいてもやめられなかった」「むしろ子育てを理由にさらに覚せい剤にハマった。イライラしないためにとか、寝なくて良くなるからとか」と衝撃の生活が振り返られました。

 そのうち薬の影響で子どもを託児所に忘れてきてしまったり、食事を与えることを忘れるなどの問題が起きるようになった頃、家に警察がやってきたと言います。

 「がさ入れで来たおまわりさんを見た瞬間、『ありがとうございます』ってずっと言ってた。助かったと思った」。薬物をやめたくてもやめられなかったというエリさんが逮捕されたのは23歳のときでした。

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「クスリ、まだやりたいですか?」への答えは……

 釈放後は薬物中毒者たちが共同生活を通して依存症の克服を目指す施設「日本ダルク」に入所し、2年後に社会へ復帰。当初は人との接し方が分からず怖かったというエリさんですが、現在は販売員として店頭に立っています。

 さらに、ダルクへの入所中にボランティアとしてやって来ていた男性・コウタさんと交際を始め、コウタさんの両親にもすべての事情を打ち明けて認められたエリさん。付き合うときの条件は「再び薬物をやったら別れる」だったそうで、その後も円満に3年間付き合い続けているそうです。

(C)NHK/株式会社ワークス

 番組ラストにはコウタさんも登場し、エリさんを受け入れたときの葛藤とともに、その後の幸せな生活が語られました。

 コウタさんの前で「こんな優しいコウタさんを失うことになるかもしれないクスリ。まだやりたいですか?」と問われたエリさん。しばらく間を置いた後につぶやかれたのは「……やりたくないって言ったらウソになるかもしれません」という本音でした。テレビ的なお約束をあざ笑うかのようなこの一言が、薬物中毒から抜け出すことがいかに難しいかを物語っています。

 それでも、それほど強烈な薬の誘惑を「3年間抑えられるくらいの幸せ」をもらっているというエリさん。現在の生活を「幸せって続くんだな」と語り、「覚せい剤をやってるときって朝も昼も夜も何も分からない。それが今はおはようから始まって、おやすみまで、普通に家族で挨拶しあえるのが一番幸せかな」と振り返りました。

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