第4回 「half-life 2」「Colin McRae Rally 4」を高解像度フルオプションで快適に動かす:Athlon 64で構築する最強ゲームPC(1/2 ページ)
昨年に予定されながらも諸々の事情でリリースが伸びに伸びた「half-life 2」 最初RADEONファミリーとの相性のよさが噂されていたが、はたしてAthlon 64とNVIDIA SLIのタッグでどれだけパフォーマンスを叩き出せるだろうか。
前回はAthlon 64 FX-55+NVIDIA SLIシステムがPCゲームでどれだけ有効なのか、「FarCry」と「DOOM 3」を使って検証をしてみた。対戦が重視されるFPSゲームにおいてもっとも重要な「高いfpsを維持できる高い性能」を、Athlon 64 FX-55+NVIDIA SLIシステムが持っていることを理解していただけたと思う。
ただ、「fpsが低い=FPSの対戦において不利」という観点から、その理由をもう少し詳しく補足しておきたい。前回のまとめで筆者は「FPSがマウスで敵を狙って撃つゲームである以上、マウスの動きとゲームにおける銃の動きがずれることはプレーヤーにとって好ましくない」と述べた。しかし、この表現だけでは、ある程度FPSの経験を積んでいるユーザーにしか直感的に理解できないだろう。
そこで、この結論に至るプロセスを具体的に紹介していきたいと思う。
FPSというゲームを突き詰めれば「立ち向かってくる敵にマウスを使って銃口を向けてマウスをクリックして弾を撃つゲームである」という点に異論はないだろう。プレーヤーキャラの右に敵がいればマウスを右に振って撃ち、左にいればマウスを左に振って撃つわけだ。
ただ、人間は機械のように精密ではないため、経験が浅いと「このぐらい動かして撃てばOKかな?」と思ってマウスを撃っても、当たらないことなどザラだ。しかし、FPSを遊び倒した「古参兵」になってくると、画面内を縦横無尽に動く敵を的確に撃ち抜いていく。
画面に描画される敵の動きという視覚情報から、どのくらいマウスを動かして撃てば良いかを感覚的ではあるが的確に判断できるからだ。だが、fpsの低下はプレーヤーが敵を撃ち抜くのに必要な視覚情報を大幅に制限してしまう。
fpsとは「1秒間に何回画面を書き換えたか」を表す。fpsが高ければ高いほど、素早く動く敵の動きを細かく描き出すことができる。仮にゲーム内距離で30メートルを5秒で詰めてくる敵を迎え撃つ場合、10fpsの環境では1回画面が書き換わるあいだに敵は60センチの距離を一気に詰めてくる。これが100fpsであれば1回画面が書き換わるあいだに6センチしか敵に近づかれない。このように、fpsが高ければ高いほど敵の動きの情報量は多くなっていくわけだ。
これが低いfpsしか出ない環境の場合、敵の動きという情報量は激減する。よって「どのくらいマウスを動かすべきか」という感覚が正確に働くわけがない。しょうがないから適当にあたりをつけてマウスを動かすわけだが、画面の描画が遅いため「自分がどのくらいマウスを動かしたか」の判断ができない。これが「マウスの動きとゲームにおける銃の動きがずれること」である。
加えて言うならば、fpsが低いとせっかく狙いを付けて銃を撃ったとしても、その瞬間にその敵が撃った場所にいるとは限らない。描画されないフレーム間に敵が移動しているからだ。これではいくら狙いを付けても意味がないことになる。
多少長くなったが、一応の理屈を付けて説明すると以上のような事情から「低いfpsはFPSの敵である」という戦訓に達するのだ。
リアル表情がその世界を物語る「half-life 2」
「half-life 2」の前作にあたる「half-life」は、FPSの世界に大きな影響を与えたマイルストーンといっていいだろう。それまで「迷路内の仕掛けを解いて突き進み、目の前に現れる敵をブチ倒す」というゲーム性がメインだったFPSに「スクリプト制御による映画的演出」を取り込み、1本のストーリーのなかでプレーヤーを遊ばせることを実現した初めてのゲームなのだ。
また、MOD(Modificationの略。ゲームを改造するプログラム全般を指す)を、開発者レベルではなくプレーヤーレベルの知識で作れるように制作ツールを整備し、これが、多くのFPS開発者を生み出すきっかけにもなった。
そんな「half-life」が1998年に発売されてから6年。2003年のE3で発表されて以来、度重なる延期やソースコードの外部流出など、数々の騒ぎによって発売すら危ぶまれた時期もあったが、2004年11月にやっと発売にこぎつけた「half-life 2」。
その舞台は、前作で起こった「ブラック・メサ事件」によって、人類が地球生態系の最上位ではなくなった世界。人類は各地にコロニーを作り、身を寄せ合って暮らしている。プレーヤーは前作の主人公「ゴードン・フリーマン」となって、「あれから」十数年経った未来で戦うことになる。その敵は「ブラック・メサ事件」で生み出されたモンスターだけではなく、今作の舞台となる「コロニー17」で圧政を敷くブリーン博士の部下たちとも戦うことになる。
half-life2で使用されているゲームエンジン「Sourceエンジン」は、HDRレンダリングによって表現される写実的な絵作りの面よりも、前作で実現した「スクリプト制御による映画的演出」をさらに新しいステージへと進めるために用意された技術として注目される。そのキーワードは「フェイシャルアニメーション」と「物理エンジン」である。
half-life 2ではあらかじめプリレンダリングされたムービーを使わずに「キャラクターに演技をさせること」でストーリーを展開していく。そのためゲームに登場するキャラクターには「表情レベルで演技すること」が要求されるが、これを実現するための要素がフェイシャルアニメーションだ。
half-life 2に登場するキャラクターは顔部分だけで2500ものポリゴンで構成されている。顔の内側には40ものボーン(ポリゴンを動かすための基準点のようなもの)が設置され、セリフにあわせて口だけではなく顔全体で表情を作り出す。それはあたかもキャラクターに一個の自我が存在しているかのようにプレーヤーが錯覚するほどだ。
そして、もう一つのキーワードであるのが物理エンジン。Sourceエンジンが搭載する物理エンジンは、業界標準とも言えるHavocエンジンの実力を最大限にゲームに生かしている。たとえば、水上にあるシーソー式のジャンプ台の土台部分に空のポリタンクを入れて、その浮力でジャンプ台と壁を越えるのに適切な角度に調整する、といった現実世界と同じ物理法則に則った謎解きがゲームに用意されている。
物理シミュレータのようなエンジンを採用したおかげで、プレーヤーは「現実に自分がその場にいたら、どうやってその困難を乗り越えるのか」を現実に即した方法で考えることができるわけだ。
このような、フェイシャルアニメーションによるキャラクターの芝居や、現実世界のような物理法則で動くゲーム内世界で繰り広げられるストーリーと演出は、それまでの「映画のようなゲーム」から、真にインタラクティブなゲーム性をhalf-life 2に与えている。
さらに、DOOM 3が「古い環境でも低速ながら動く」ことに意識しているのとは対照的に、half-life 2はゲームに盛り込める技術としては最新のものを取り込んで制作されている。綺麗な絵で快適にhalf-life 2を堪能しようと思ったら、それだけのシステムを用意する必要があるだろう。
フルオプションで楽しみたい定番ラリー「Colin McRae Rally 04」
「Colin McRae Rally 04」は、WRC(World Rally Championship)のチャンピオンドライバーであるColin McRae自身が監修を行った人気ラリーゲームの最新作。PCゲーム界におけるラリーゲームの代表作として毎年定期的にリリースされているタイトルだ。
世界各国で行われるレースを転戦していく「CHAMPIONSHIPモード」やテーマに沿ったステージを自動的に組み合わせて走る「RALLYモード」といった従来のゲームモードに加え、本作からは8人までのネットワーク対戦が可能になった「NETWORKモード」も追加され、これまで一人で黙々と走るだけだったColin McRae Rallyに新たな楽しみを加えている。
乾いた平野、雪降る雪原、雨で視界が閉ざされた林道、そしてクネクネと曲がった山間コースといった大自然の中に作られたコースを、ときには思いっきりかっ飛ばし、ときには慎重にステアリングを操作して抜けていく。そんな快感をネットワークで多くのプレーヤーと共有し、そのテクニックを競い合えるのは非常に魅力的だろう。
ソフト自体は2004年春にリリースされており(日本語版の発売は2004年8月)、目立って処理が重い印象はないが、その分アンチエイリアシングや異方性フィルタリングをバリバリにかけてゲームを楽しむことができるだろう。
ちなみにステアリング操作と微妙なアクセルワークが命ともいえるラリーゲームだけに、ちゃんとColin McRae Rally 04を楽しもう、と思ったらステアリングとペダルは絶対に用意したいところ。キーボードで軽くこなそう、というのは、ラリーゲームに対する冒涜とも言えるほど、そのプレイは困難だ。
half-life 2でもAthlon 64とNVIDIA SLIの効果は絶大なり
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