ピポサルが生み出す化学反応――爽快感あふれるタイトルには夏がよく似合う(1/2 ページ)
好き放題に逃げ回るピポサルたちを捕まえる爽快感と、しっかりしたアクションの面白さで、ファンを増やしてきた「サルゲッチュ」。3年ぶりとなる注目の最新作が登場だ。
何でもこいの万能エンターテイメント
プレイステーションで1999年から始まった「サルゲッチュ」シリーズ。2002年の「サルゲッチュ2」のあと、「ガチャメカスタジアム」や「サルアイトーイ」などがあったものの、しばらく本家の音沙汰はなかった。この「サルゲッチュ3」は久々の正統後継作。思えば前作の発売も7月、底抜けに明るく爽快なシリーズには、夏がよく似合う。
サルゲッチュのすごさは、プレーヤーを選ばないところにある。扱うテーマやゲームのジャンル、あるいは難易度によって、どうしてもユーザー層が限られるゲームも多い。それに対してサルゲッチュは驚くほど広い間口を持つ。
テーマは“サルを捕まえる”という、わかりやすくて楽しいもの。アクション面でも、ステージの制限時間はなく、ジャンプの仕掛けで下に落ちて即死、なんてこともない。各ステージは初心者に配慮された作りになっている。
かと思えば、上級者のために、ピポサルのコンプリートやタイムアタックなど、やり込み要素が用意され、本編を離れて息抜きに遊べるミニゲームも盛りだくさんだ。さらに今回のサルゲッチュ3では、ゲーム開始時にプレイするキャラクターを男の子の「サトル」と女の子の「サヤカ」から選べる。これで女の子のプレーヤーも感情移入度がグッと高まる。
ターゲットを絞り、コアなファンに受ける作品のほうが一見カッコよく映るが、万人に喜ばれるように仕上げることは非常に難しい。高いクオリティと隅々まで行き届いた配慮、大人から子どもまですべてを満足させるエンターテイメントぶりに、ふと「ファインディング・ニモ」や「Mr.インクレディブル」のピクサーアニメのイメージが思い浮かんだ。
おサルな番組の撮影を阻止せよ!
サルゲッチュシリーズの面白さの源は3つにわかれるのではないか。1つ目は、シナリオやパロディ精神あふれるサルたち、といった演出部分。2つ目はメリハリがきいた、プレーヤーを飽きさせないアクション。最後の3つ目は、ミニゲームや、音楽、ムービーのコレクションなど、多彩なオマケ要素。この三位一体がサルゲッチュの真骨頂だろう。では、本作においてはどうなのか? それぞれ順番に検証していきたい。
まずは今回のお話から。
ある日、ピポサルが世界中のテレビを乗っ取って、「おサルな番組」をオンエアし始めた。番組のあまりのくだらなさに、見た人はみんなナマケモノに! 裏ではまたまた天才ザルのスペクターが何やら画策しているらしい!? 番組のせいですっかりナマケモノになった歴代主人公、カケルとヒカルの代わりに、元気な男の子サトルと、双子の姉でキッズアイドルのサヤカがピポサルのゲッチュに乗り出す!
と、こんな感じ。あらすじの通り、テーマはテレビや映画となっている。前作のステージは世界各国をモチーフにしていたのに対し、今回はおなじみの番組のパロディが満載だ。ステージは撮影現場で、ピポサルは「カメラマン」や「裏方」、「役者」や「レポーター」として、番組を制作する。ここに乱入して“おサルな番組作り”をストップさせよう。
それぞれのステージは「36回目のウェディング」、「サルモンのちっとも動かない城」、「16日の月曜日」、「ウッキー牧場の決闘」、「ぶらりいいお湯 サル気分」、「ぴぽさる忍法帖」、「水曜スペサル」……と、どこかで聞いた名前ばかり。舞台にも、お城、西部の荒野、温泉、秘境など、タイトルに合ったものが用意されている。
さらに、400匹以上のピポサルは相変わらず見ていて愉快だ。階段で転ぶ「モーンデレラ」、本当にクイズのパネルにくっついているパネラーの「ミーノ」と「モンタ」、温泉リポーターでバニーガールの「うきみ」と新人アナウンサーの「もきお」、などなど。
それぞれ名前や誕生日、気のきいたひと言コメントがつけられ“次のステージは何のマネをしたサルに会えるのか?”と、アクション以外の見せ場もたっぷりとなっている。
ステージ上のものを集めていくゲームはほかにもあるが、これだけ集められる側(ピポサル)に個性があり、描き込まれているのはこのゲームならではの強みだろう(何しろ、CMでアンガールズと共演しているのはピポサルのほう。主人公よりも圧倒的にメインだ)。
前作と比べると、パロディの元ネタの知名度がやや低く、サルのモデルが何かはわかりづらい。直感的な面白さは減ったが、“この映画のオリジナルは?”といった推理する楽しさは増えた。少しマニアックなネタも入っていて、映画好きなら“これか!”と、ニヤリとさせられるはずだ。
シリーズの基本をパワーアップさせたアクション
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