一難去ってまた一難――天下獲りの道は険しく楽しい「信長の野望・革新」を限定プレイ(1/3 ページ)

戦国時代を舞台にした歴史シミュレーションゲームの最高峰「信長の野望」シリーズ。その最新作がプレイステーション 2で発売された。ここでは、そんな本作のレビューとともに、ちょっとしたやりこみプレイもリポートしよう。シミュレーションゲームだけに相当な時間を費やしたが、やはり名作。やればやるほど面白い!

» 2006年03月01日 16時24分 公開
[ひろいち,ITmedia]

 「信長の野望」シリーズといえば、日本でもっとも有名なシミュレーションゲームのひとつ。1983年の第1作目(PC)発売以後、20年以上も人気を保ち続けているロングセラーシリーズである。プレーヤーは戦国大名のひとりとなり、内政、外交、合戦などを繰り返しながら領地を拡大していき、天下統一を目指していく。その最新作がPS2ソフト「信長の野望 革新」だ。戦国時代で天下統一を目指すという作品の根幹は変わらないが、多くの新たな試みや工夫が加えられている。

 ゲームモードは3種類。日本の統一を目指す「全国モード」。一地方のみの統一を目指し、短時間でお手軽に遊べる「地方モード」。“特定の拠点を制圧する”など、シナリオごとに定められた目標の達成を目指す「チャレンジモード」と、それぞれ異なる趣向で遊ぶことができる。

 また、エディット機能が搭載されている点にも注目したい。「新武将作成」で自分好みの武将を1から作り出すことができるほか、既存の史実武将のデータを編集することも可能だ。某「戦国自○隊」のキャラや「三国志」キャラを作り出してもよし、パラメーターに不満がある武将を自分の理想どおりに修正してもよし。お楽しみ機能としては嬉しい限りだ。

 そして、「信長の野望・革新」には3つの特徴的なシステムが存在する。ここでは、その3つに焦点をあて、本作の面白さについて迫っていきたいと思う。

1:感情揺さぶる!? 「3D 1枚マップ」と「リアルタイム制」の導入

 本作最大の特徴は、なんと言っても「3D1枚マップ」だろう。過去の「信長の野望」シリーズに見られた「戦闘用マップ」や「攻城マップ」の概念がなくなり、内政も合戦もすべてが3Dの1枚マップ上で展開される。そのマップの中では、富士山や琵琶湖などの美しい風景を臨むこともできるし、町の一角で合戦が行われている様や町並みが建築されていく様も見て取れる。言い換えるなら、戦国日本の縮図が展開されているのである。

 しかも、本作には「ターン制」ではく「リアルタイム制」を導入。戦争から内政まですべての事柄がリアルタイムで進行していく(コマンド選択時には時間が止まるが)。この「リアルタイム制」の導入により、突然の出来事に対する臨機応変な対応が求められ、展開もよりスピーディーになっている。

 3D 1枚マップとリアルタイム制は大きな相乗効果も生んでいる。プレーヤー以外の国の変化が視覚的に見て取れるというのは、ほかの武将の存在を感じるという意味で大きな意味を持つ。自国の開発をしている画面の傍らで隣国が開発されていく様子を見かけたりすると、さまざまな感情を揺さぶられることがある。

雪に埋もれる美しき富士の高み

 たとえば、マップを見て回っている最中に、自国では到底かなわないほどの巨大な兵力を持つ輸送隊を見かけることがある。そんなときは、つい“くわばらくわばら”と思ってしまうし、その兵力が隣国のものだったりした場合には、もう気が気ではないわけである。“まだ兵力が整わないうちに隣国に攻め込もうか”と頭を巡らしてみたり、“こっちには攻めて来ないで”とひたすら願う日々が続くのだ。もはや、戦国大名の気持ちそのものではないだろうか。筆者個人としては、この2つのシステムの導入は、マンネリ化しつつあった「信長の野望」シリーズの新たな方向性を見つけたのではないかと思っている。

2:城下を見れば、政策がわかる。「町並内政システム」。

 もうひとつの大きな特徴は「町並内政システム」だ。本作で内政をする場合、プレイヤーは自国の領土内に「畑」や「兵舎」などのさまざまな施設を建設しながら自らの国を作っていく。いわゆる街づくりシミュレーションゲームの「シムシティー」風の作りになっている。

 たとえば、自国に「畑」を作ろうとした場合、本作では「畑」をいきなり作ることはできない。まずは、町の中心となる「町並」を設置しなくてはならないのだ。「町並」を作り、その周囲に「畑」などの町並みに適した施設を配置する、というのがこのシステムである。

 この「町並」の効果は思いのほか大きい。上記したとおり、「町並」の周囲に配置できる施設はあらかじめ決まっているため、畑の中に商館を開いたりすることはできない。そのため、(序盤の国が小さいうちは)すべての施設をまんべんなく設置するということが難しく、必要な施設を取捨選択する必要が出てくるのだ。

敵国の攻撃に備えて「鉄砲櫓」を大量に建設。防備万全

 この取捨選択は、国を強くするという以外にもうひとつの効果を生み出すことになる。それが、国の個性だ。金銭か兵糧か兵隊か、すべてを天秤にかけて必要なものが残っていく。騎馬が得意か水軍が得意か。畑の多い農業国もあれば、兵舎ばかりの軍事国家も出てくるというわけだ。もちろんこれらの施設の建設は、マップ上にビジュアルとして反映されるので、それぞれの国の政策を町並みから伺える点も面白い(とはいえ、やはりどの国も領土が広くなってくると、すべてを備えた国ばかりになっていくのだが……)。

3:勝ち抜くためには成長あるのみ!! 「技術革新システム」。

 そして3つめの特徴は「技術革新」という概念を取り入れた点。戦国時代なら鉄砲(火縄銃)や鉄甲船、第一次世界大戦では飛行機、第二次世界大戦なら原子爆弾と、いつの時代も(良し悪しは別にして)戦争というものはさまざまな技術革新を生んできた。それを、本作でも取り入れているのである。

 技術は「足軽」、「騎馬」、「弓」、「鉄砲」、「兵器」、「水軍」、「築城」、「内政」の8つの項目に設けられており、それぞれの項目に合戦や内政を有利に進めるための10の技術が用意されている。たとえば、港に建設して関船(せきふね/小早と呼ばれる通常の船よりやや強い軍船)を作りだすことができる「関船造船所」などは、「水軍」の技術を上げることで獲得できるようになる。「関船造船所」がなければ、敵国から奪うしか関船を手に入れる方法はない。そのため、水軍の技術が低いままでは、いくら強力な軍隊を率いていても水上や港での戦闘は不利なままということになる。

 そのほかにも、弓隊の射程距離を伸ばす「遠矢」や、施設「水田」からの兵糧収入が年2回に増える「二期作」など、強力な技術が多数用意されている。「石垣」のようにより強力なものになると、拠点への弓・鉄砲の被害を半減させることもできる。

 このように、技術革新は、武将の能力差を跳ね返すほどの威力を秘めている。現代の企業にも言えることだが、技術の遅れはお国の命運を左右するのだ。

技術の中には特定の勢力でしか獲得できないものも存在する。たとえばそれらの特殊技術には、武田軍の「風林火山」や徳川軍の「三河魂」など、史実にも登場する有名な名称がずらりと並ぶ。もちろんどれも強力なので、獲得したあとの優越感もひとしおだろう

 このシステムも、実に効果的に働いている。過去のシリーズでは、兵の多さと武将の強さで、合戦の勝敗の大部分が決まってしまうところがあった。そのため、戦力の補強が単純作業になってしまう傾向も見られていた。しかし、この技術革新は、圧倒的な戦力差を覆すことを可能にした上、単純な兵力差による勝敗の決着に変化を及ぼし、合戦の新たな可能性を見出したと思う。

 とはいえ、この技術革新はまだ検討の余地がありそうだ。というのも、行うためには「学舎」の建設が必要であったり、武将の能力で行動期間に差が出ることなどから、織田や武田などの強国ばかりが技術革新を進めていく。そのため、弱小国と強国との戦力差は開くばかりとなってしまうのだ。

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