夢の完全再現にまた一歩近付いた――次世代パワーが描き出す美麗な首都高「首都高バトルX」レビュー(1/2 ページ)

元気の看板タイトル「首都高バトル」の最新作が、満を持してXbox 360に登場。1994年5月発売のスーパーファミコン版「首都高バトル'94」からシリーズ通算10作目となる本作、節目を飾るにふさわしい作品になったのだろうか。

» 2006年08月22日 00時00分 公開
[千早秀生,ITmedia]

走り慣れた道をゲームの中で走れる喜び

 筆者が初めてプレイした「首都高バトル」は、2000年6月発売のドリームキャスト版「首都高バトル2」である。以来、プレイステーション 2版の「首都高バトル0」、「首都高バトル01」、PSP版「首都高バトル」と遊び倒し、今回の「首都高バトルX」に至ったわけだが、舞台を次世代機に移そうとも、シリーズの根本的な部分はまったく変わっていない。

photo 実在のコースをリアルに走れるのがシリーズの魅力。いかにリアルとはいえ、現実でこんな走りは絶対にしないように

 興味のない人間には“同じところをグルグル回って、同じようなバトルを繰り返してよく飽きないね”なんて言われたこともあるが、これが不思議と飽きないのである。その理由は、走り慣れた道路と見慣れた風景が、ゲームの中に再現されているから。そもそも、先述の「首都高バトル2」より前の作品には目もくれなかったのに、「首都高バトル2」になって急に手を出したのは、当時、自分で初めてクルマを買い、実際に首都高を運転するようになったからだ。数あるレースゲームの中から本シリーズを選んだ理由は、舞台である首都高の再現度である。

夜明けのコーヒーをすすり、いざバトルへ

 余談はこれくらいにして、さっそくゲーム内容について触れていこう。本作は、首都高最速の座を目指す「QUEST MODE」、任意のコースでタイムアタックを行う「TIME ATTACK MODE」、自由に走り回れる「FREE RUN MODE」、Xbox Liveに接続して通信対戦などを行える「NETWORK MODE」、プレーヤー同士で対戦できる「VS MODE」という、5つのゲームモードを搭載。ここでは、メインモードであるおなじみのQUEST MODEを中心に紹介していこう。

 まずは初期資金3百万CPでクルマを購入することになるのだが、これまで最初の1台として重宝されたトヨタ AE86 スプリンタートレノ(ハチロク)が姿を消したこと、いきなり現行のフェアレディZ(Z33)が、資金ギリギリながら購入できることにちょっと驚く。初期資金で購入できるクルマはほかにも数台あるが、筆者はためらいなくZ33を購入した。続いてナンバープレートの設定を行うと、いよいよがゲームスタートし、いきなりバトルを強いられることになる。バトルシステムは、シリーズおなじみのSPバトルだ。

 これは、精神力をゲージ化したSPをライバルと削り合うというもの。相手に先行を許したり、壁や他車にヒットしたりするとSPが減っていき、先にゲージが0になった走者が負けとなる。これに難なく勝利した筆者は、本モードのベースとなるガレージへと進む。

 購入直後のクルマは素の状態であるため、エンジンやタイヤなど各種パーツをチューニングしてパワーアップしたいところではある。だが、最初に購入できるマシンでは高価な部類に入るZ33をチョイスしてしまったため、所持金が2万CPしかなく、チューニングは不可能。そこで、早速コースインしてみることにした。

 本作では、新要素として“首都高を走る時間帯”が追加された。時間帯は「NIGHT(夜)」、「MIDNIGHT(深夜)」、「DAYBREAK(夜明け)」と3種類あり、それぞれ出現するライバルが異なるほか、アザーカー(一般車両)の数も違ってくるという徹底ぶりだ。初心者は、バトル中に邪魔になる一般車両が少ないDAYBREAKを選ぶといいだろう。

photo 初っぱなの対戦相手である岩崎との会話。前作に比べてライバルが個性化されたことで、ストーリー性が増したのは見逃せない
photo ビルの明かりやネオンが消え、漆黒の闇に包まれるMIDNIGHT。走り屋たちが活発に行動する時間帯でもある
photo 首都高バトルは深夜のイメージが強いだけに、明け方であるDAYBREAKの景色は非常に新鮮だ。ちなみに右に見えるのは東京タワー

Xbox 360で描かれた美しい首都高

 時間帯が決まったら入口を選び、いよいよコースインとなる。初期段階で走行可能なのは、従来どおり環状線(C1)のみ。また、本作では霞ヶ関や芝公園、銀座などの入口のほかに、PA(パーキングエリア)を選べるようになっている。こちらについては後述しよう。

 ハイスペックなXbox 360によって描かれた首都高は、やはり美しかった。その再現度はプレイステーション 2版とは比べものにならないだろう。特に周りの風景がよりリアルになり、もやは実写ではないか? と錯覚してしまう……というのは言い過ぎであろうか。ドライバー視点で見る路面の凹凸やラインのかすれ具合などは、“ここまでやるか!?”と思ってしまったほどだ。

 個人的に本シリーズのウリの1つに光の処理があると思っているのだが、これも言うことなしである。ただ正直に言うと、すでにほかのXbox 360用ソフトを多数プレイしていたため、初めてドリームキャスト版を見たときのような感動にはおよばなかった。慣れって怖いですな。

photophoto (写真左)芝公園付近で必ず目に飛び込んでくる、某アイドルの看板(バックミラー下にあるヤツ)。本物そっくりです
(写真右)この細かいデコボコっぷりは、まさしくアスファルト。前車が跳ね上げた小石が飛んできそう?

PAのみで発生するもう1つのバトル

 周囲のライバルを無視して黙々と走り続ける筆者。このままフリーランでも十分楽しいのだが、話が進まないということで、首都高を走るほかのライバルにパッシング(一瞬ハイビームを点灯させること)し、SPバトルを仕掛ける。

 SPバトルは1つだけでなく、バトル中に別のライバルが乱入し、2人まとめて倒さなければならないパターンや、複数のライバルに連続で勝利することが条件のチェーンバトル、最初から最大3人のライバルを相手にするサバイバルバトルなど、種類は豊富に用意されている。

 レースの特徴として挙げられるのは、多少の性能差をパッシングのタイミング1つでカバーできる点だ。ハードブレーキングが必要なタイトコーナーの手前や、前方にアザーカーがいる場面でうまくパッシングすれば、スタートで相手の前に出て、あとはバックミラーを見ながら抑えるという手が使える。この場合、バトルの時間が長引くことは必至だが、1回のバトルの走行距離が長いほど勝利時の獲得CPが多くなるので、あえて挑戦してみるのも手だろう。

 ただし、相手や壁にヒットさせるなどの強引なやり方は、自分の「通り名」に悪影響をおよぼす。あくまでカッコいい(何がカッコいいかは人それぞれだが)通り名にこだわる人は注意していただきたい。

 また、本作にはもう1つのバトルシステムとして「タイムアタックバトル」が用意されている。これはSPゲージの削り合いではなく、決められたコースをライバルより先にゴールするというもの。このバトルはPAで発生する。PAには特定のライバルが待っていて、SPバトルやタイムアタックバトルを挑むことが可能。また、休憩中のライバルに、いろいろな話題を聞くこともできる。中には、チームに属さない一匹狼的な走り屋「WONDERER」と遭遇するためのヒントが隠されているので、PAに立ち寄ったらくまなく話を聞くことが重要となるだろう。

photo アザーカーと自車により、ライバルが前へ出られない条件を作ってからバトルを仕掛けるのが有効。ライバルがアザーカーに引っかかればもうけモノだ
photo バックミラーや後方視点でライバルを引き離さないよう確認しつつ走り、わざと走行距離を稼ぐのも1つの手
photo PAに停車しているライバルは、時間帯によって異なる。もちろんPAによっても変わるので、すべてのPAの全時間帯をチェックするのは基本だ

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