「シムシティ DS」発売記念――ヤンキー先生と浅草キッドが夢の授業
エレクトロニック・アーツは、ニンテンドーDS用ソフト「シムシティ DS」が2月22日に発売されるのを記念して、ヤンキー先生こと義家弘介氏と浅草キッドの2人をゲストに迎えた「一日だけの夢の授業!」を開催した。
エレクトロニック・アーツは本日2月21日、ニンテンドーDS用ソフト「シムシティ DS」の発売を記念し、親子を対象にした「一日だけの夢の授業!」を東京・新宿の芸能花伝舎で開催した。
イジメやゆとり教育問題など、教育を取り巻く環境が厳しい昨今、授業への楽しみを別の角度から考えながら社会の仕組みが分かり、かつ親子のコミュニケーションがはかれる教材として「シムシティ DS」を活用できるのではないかと企画されたのが本イベント。スペシャルゲストとして、現在、横浜市教育委員会教育委員や教育再生会議メンバーであり、ドキュメンタリー番組やドラマの熱血教師のモデルにもなったヤンキー先生こと義家弘介氏と、父親であり教育方法にも独自のこだわりを持つ浅草キッドの2人を迎え、教育に対する熱い想いを語ってもらった。参加者が実際に「シムシティ DS」をプレイし、楽しく社会科の授業を展開するのが目的だ。
「シムシティ DS」は、プレーヤーが市長となり街づくりをする都市育成シミュレーションゲームの最新作で、1990年にスーパーファミコン版として登場して以来、プラットフォームを変えながらシステムも強化されてきた。本作は、日本向けのアレンジが随所になされ、ニンテンドーDSならではの機能はもちろんのこと、さまざまな追加要素が施されている。
「一日だけの夢の授業」と題された本イベントは、会場が元学校ということもあり、参加者の号令による元気な挨拶から始まった。会場には、一般から応募によって当選した中学生とその親14組が整然と並ぶ。そこへスペシャルゲストの義家弘介氏と浅草キッドの玉袋筋太郎氏と水道橋博士氏が登場した。
教育に対してあまりいいニュースがない昨今、まずはそれぞれの持つ「教育に対する想い」をテーマにトークセッションが始まった。義家氏は「あまり教育関連でいいニュースがないと言われているが、実際若者たちと会っていると、そうでもないと気付かされることがある。ひとり1人と向き合えば至極まともで正常なんだと。むしろ、大人たちの方が異常だと思えることも多い。教育とは、ともに育つ教育なんです。子供たちの成長に責任を持つためには、我々大人も責任を持ち続けなくてはならない」と悲観はしていないと熱く答える。
すると2人の子供を持つ水道橋氏は、「芸人をやっていると、どれだけ非常識に生きていくかみたいな方向になっていたのですが、子供が生まれた途端、自分自身の常識のなさを身に染みて理解できた。自分が教育されなくてはならないし、だからこそ教育には興味が持てるようにもなりました。子供の先生にもなろうと。現在の教育現場には、安心して修学を任せられるようになってほしいと願っています」と、父親としての意見を披露。
玉袋氏は、「14歳の息子がいるが、勉強はうるさく言って来ませんでした。ですから、当然成績は落ちました。自分もそれほど勉強をやってこなかったが、挨拶はしっかりやってきたと自負しています。息子にも挨拶の習慣をたたき込み、そして、ゲーム好きとしては、ゲームから何かを学んでもらえたらと思っています」とコメント。
「教育を新しい角度から見直そう」というテーマでは、机と黒板以外で学べるものを手に入れることが大事と義家氏。「今、若者たちに足りないものを考えると、やはりイメージする“想像力”と、モノを作っていく“創造力”の2点なのではないか」と、基礎学力もさることながら、2つの“ソウゾウリョク”の必要性を説く。また、2007年問題を引き合いにだし、「今まで社会を創造してきた団塊の世代が定年退職で退く代わりに、君たち若者が社会に入っていく。だから、自分自身を磨いて社会に出たとき、新しい時代の担い手として“ソウゾウ”できる力を養ってほしい」と、自らを若者たちを見守り育てる世代として期待を寄せていると、若者たちにエールを送る。
また、なんでも手に入り、出来合いのものに麻痺している現代では、ただ乗せられているだけなのではないかと玉袋氏は警鐘を鳴らす。「完成されたアミューズメントパークに行くよりは健康ランドに行くのが我が家の教育です。いろんなキャラクターと裸の付き合いをしながら、最低限のマナーや社会常識を身につけられます」と、なんにでも疑問を持って欲しいと語る。ゲームに関しては、ぽかんと口を開けてただ漫然と遊ぶのではなく、ゲームを作る人間になれるよう、どうやって面白くしているのかなど、クリエーター側の完成を磨いてほしいと子供には教育しているのだとか。本作では、なぜ夕張市が破綻したのかなど、手に取るようにわかっていくところが気に入っていると言う。
ゲームに関しては水道橋氏も言いたいことがあると、最近まで家庭にゲームは持ち込んでいなかったことを明かす。ニンテンドーDSとWiiを最近購入したのだが、子供は顕著に物事を理解していくスピードが早くなると、ソフト次第ではあると断りを入れながらも今ではゲームを奨励しているとのこと。例えばスポーツゲームなら、ルールやスポーツの面白味を理解し、脳トレなどはそのへんのチークものに比べて断然勝っていると遊んでみた感想を述べる。「最近、たけし軍団からも知事が誕生しましたが、今、まさに宮崎県で『シムシティ』をしているようなものです。東さんが知事になったことで、地方自治の問題も多くメディアで報道されるようになり分かってきました。『シムシティ DS』で、インフラについてなど、早い段階で理解できる」と、本作が現在のニュースと直結して見ることができると、集まった参加者に本作の奥深さを解いた。
続いて、実際に「シムシティ DS」を使用した授業を開始。ゲストの3人とともに、参加者たちとゲームをしながら街がどうやって大きくなるかを学んでいく。
例えば、住民を増やすためには、住宅の整備もさることながら雇用の問題も解決しないといけないことや、道路や電気、水道などのインフラ整備を整えなくては生活の基盤が成り立たないこと、また、治安のために警察や消防署の必要性など、我々が普段生活していくうえで、分かっていても忘れがちになる基本を学んでいく。箱モノ行政と呼ばれる公共施設なども必要ではあるが、そればかりでは維持費がかかり、ゆくゆくは重い負担となることや、学校や病院なども街の規模を見て整備しなくては、住民の満足度は得られないなど、複雑なバランスで成り立っていることが手に取るように分かるのだ。本作は、難易度や状況が設定されているさまざまなシチュエーションを選択できるのだが、今回はあらかじめ同じ設定でのスタートとなった。
授業であらかた操作方法をレクチャーされたあとは、限られた15分の制限時間でそれぞれの街の人口をどこまで伸ばせるかを競い、最優秀市長を決める大会が催された。それぞれ、親子で話しあいながら、次々と住宅地やビジネス街を整備していく。結果は、住宅地を集中的に整備した水道橋氏が5486人の住民を記録しトップに。参加者の中では5395人を人口増を記録した加々美さんが最優秀知事として賞された。
水道橋氏は、「この授業そのものが面白いので、ぜひとも47都道府県の知事が集まる会合でこれをやってほしい」と、番組化の希望を口に出すほど気にいった様子。また、堅苦しい授業は嫌いだが、こういう授業なら歓迎したいと玉袋氏も、ゲームから学べるものが多いと感心していた。
授業ではひたすら動物園や緑化に勤しんだ義家氏は、自らの行動を顧みながらも「必要だと思って作っても、必要じゃなくなるものも多い。ゲームでよりよく生きるための秘訣を学べるのではないでしょうか。もしかしたら大人たちが考えつかないような地方再建計画が、10代の若者から出てくる日もそう遠くはない」と明るい将来語った。
今回の企画は、世の中の仕組みを理解する「よのなか」科の授業を実践し、Web版「シムシティ クラシック版」を用いた授業経験がある杉並区立和田中学校協力のもと行われた。イベントでは、「シムシティ DS」を使って世の中の仕組みを理解するコラボレーションキットが参加者に配布されていた。これは、“親子のコミュニケーション”に重点を置き、親のサポートのもと街づくりに必要な「知識」や「街の仕組み」などを学べるほか、親と子の視点で完成させるワークシートなどが用意されている。このキットは、応募した学校を対象に、抽選により提供する予定もあるとのこと。
「シムシティ DS」 | |
対応機種 | ニンテンドーDS |
メーカー | エレクトロニック・アーツ |
ジャンル | 都市育成シミュレーション |
発売予定日 | 2007年2月22日 |
価格 | 4980円(税込) |
プレイ人数 | 1人 |
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