マイクロソフトメディアイベントおよびXNAインタビューリポート:GDC 2007(2/2 ページ)
レベルエディタで自分だけの対戦環境を作成――「Halo 2 for Windows Vista」
現在は「Gears of War」の影に隠れているものの、北米市場で絶大な人気を誇る「Halo」シリーズ。今回、Xbox 360向け最新作である「Halo 3」の情報が語られることはなかったものの、Windows Vista向けとして開発が進んでいる「Halo 2」のプレイアブルデモが公開された。
Direct X10ベースで開発が進められているVista版「Halo 2」だが、プレイアブルデモをひと目見るだけで、Xbox版とは次元の違うクオリティが実現されていることを確認できる。もちろん、基本的なゲーム内容はXbox版とほぼ同等であり、シングルプレイモードに咥え、Windows Live経由での最大16人マルチプレイが可能。もちろんボイスチャットも可能となっている。Xbox版とのクロスプラットフォームに関しては、現時点では未対応のようである。
ただし、Vista版「Halo 2」で対戦プレイを行う場合、Windows Liveのゴールドメンバーシップである必要があるようだ。Windows Liveのメンバーシップは、Xbox Liveのメンバーシップと同期しており、ゴールドメンバーシップを得るための条件もXbox Liveの場合と同等と考えていい。もちろん、Xbox Liveですでにゴールドメンバーシップであるなら、Windows Liveでもゴールドメンバーシップとなる。
Vista版の最大の特徴はグラフィックだが、それだけでなく、コントローラとしてキーボードとマウスが利用できるという点も大きな特徴と言っていいだろう。PCでFPSをプレイしているユーザーにとって、ゲーム機のFPSでコントローラを利用した操作になじめない人もいるはずだ。しかし、Vista版Halo 2では、キーボードとマウスという、PCのFPSでおなじみの操作方法でのプレイが可能。加えて、キーボードとコントローラ、コントローラとマウスという組み合わせでもプレイ可能。特に、コントローラとマウスの組み合わせはなかなか軽快で非常にプレイしやすい印象だった。
また、レベルエディタが付属している点もVista版「Halo 2」の特徴のひとつ。自分で新たなレベルを作り、公開して対戦プレイを行うなど、Xbox版にはない楽しみが増えている。実際に、非常に大きなフィールドを持つサッカー場で、大きなサッカーボール(これがフラッグ扱い)をビークルを使って相手ゴールまで運ぶ(ゴールが拠点扱い)という、CTFモードをベースとした面白い趣向のオリジナルマップが公開された。PC向けの一般的なFPSとほぼ同じ仕様を盛り込んだまで、という意見もあるかもしれないが、少なくともそれがHalo 2で実現されてるという点に魅力を感じるユーザーも多いはず。現時点では、まだ発売日は未定となっているものの、近いうちに発表できるというコメントもあったため、そう遠くない将来にPCでも「Halo 2」がプレイできることになりそうだ。
本格的な開発環境を着々と提供――「XNA Game Studio Express」
Xbox 360やWindowsプラットフォーム向けタイトルの開発環境としてマイクロソフトが提供しているXNA。クリエイター向けの本格的なツール群に加え、2006年末よりフリーで提供されている「XNA Game Studio Express」など、XNAの世界は着実に進歩している。今回のメディア向けイベントでもXNAに関する紹介があったが、それとは別に、XNAの開発を統括している、Microsoftゲームデベロッパー グループ担当 ゼネラル マネージャであるクリス・サッチェル氏に話を聞く機会を得たので、その時の内容も紹介していこう。
XNA Game Studio Express(以下、XNA GSE)は、2007年12月11日の公開以来、すでに25万コピー以上のダウンロードが行われている。この点は非常に重要なことで、現在プロのクリエイター向けとして用意されているXNA開発群は20万〜25万コピーほどが利用されているそうだが、それに対しXNA GSEは10倍以上の本数がダウンロードされており、それだけたくさんの人がゲーム開発に興味を持っている証拠だと指摘。
また、2007年3月4日から7月2日までの期間を対象に、NXA GSEを利用したゲーム開発コンテスト「Dream-Build-Play」の開催を決定(当初は2007年1月1日から4月2日の期間だったが変更となった)。優勝者には10万ドルの賞金と、Xbox Live経由での開発ゲームの配信が約束されているこのコンテストは、アマチュアのゲームクリエイターにとって非常にやる気を起こさせるものになるはずだ。
ちなみに、このコンテストに先駆けて、500人ほどが参加した小さなコンテストを開催したそうだ。そちらでは、「Space War Game」というベースとなるゲームを他のゲームに作り替えるというスタイルのものだったそうだが、たった18日ほど(2.5週間)の期間で69種類のゲームが登場し、どれもすばらしいものばかりだったそうだ。しかも、日本やヨーロッパや南米、カナダなど、世界中の開発者が参加し、さらにコンテスト上位5位のゲームは、2本がアメリカ、1本がイタリア、1本がベラルーシ、1本がフランスと、まさに世界中の開発者が参加するコンテストであったそうだ。
XNA GSEは、マウスを使ったドラッグ&ドロップ操作を多用し、基本となる部分のプログラミングコードを記述することなくゲームが開発でき、しかもNXA GSE自身は無料で提供されているために、非常に多くのユーザーが興味を持つ。そして、ゲーム産業に新しい風を送り込む非常に重要な要因になるはずだとサッチェル氏は指摘する。
また、80を超える大学などの教育・研究機関がXNA GSEを採用していることも重要なポイントであるとも指摘。実際に日本では、東京工芸大学を初めとする大学・専門学校5校での採用が決定しており、しかも東京工芸大学ではパックマンの生みの親であるナムコの岩谷徹氏がXNA GSEを利用したゲーム開発の講義を行うことになっており、そのことも非常にエキサイティングなことであると語った。
さらに、XNA GSEが無料で配布されることに対して、プロのゲームクリエイターも歓迎しているそうだ。それは、XNA GSEによってゲーム開発を行うアマチュアのゲームクリエイターが増えることによってゲーム開発コミュニティも拡がり、その中から新しいコンセプトのゲームも登場して、さらにゲームの可能性が拡がる可能性を秘めているからだ。また、スタッフが3人程度の小さなゲームスタジオが、Xbox Liveアーケード向けのタイトルを開発するためにXNA GSEを利用する例もあるようだ。すでに、XNA GSEを利用して開発したタイトルをベースとして販売されたタイトルも存在しているそうだ。少なくとも、XNA GSE登場以前は、コストをかけずにゲーム機向けゲームを開発することは不可能だったが、無料のXNA GSEと市販のXbox 360があれば、非常に低コストでXbox 360向けゲームの開発が行えるという点は大きな魅力であると指摘した。
サッチェル氏は、XNA GSEのステップはまだ始まったばかりで、XNA GSEで製作したゲームをXbox LiveやWindows Liveにアップロードし、Xbox LiveやWindows Live会員が誰でもそれをダウンロードしてプレイできるように環境を整えているそうだ。これによって、自分が作ったゲームを600万を超えるXbox Live/Windows Live会員にプレイしてもらえるだけでなく、ゲーム開発会社の目にとまればゲーム業界への進出も夢ではないだろう。
ちなみに、GDC期間中、XNA GSEを利用して4人で編成された4つのチームが4日間でゲームを作るというコンテストが開催されていたが、できあがったゲームを見ると、どれもたった4日間で、それも4人で製作したとは思えないほどのクオリティを持っていた。実際にこちらのページから彼らが製作したタイトルをダウンロードできる(Windows XPおよびWindows Vistaで動作)ので、XNA GSEを利用し、たった4人のチームが4日間でどの程度のクオリティを持つゲームが作れるのか確認してみてもらいたい。
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