ブラウザゲームの常識を覆す超絶の難易度――「アップルシードタクティクス」(2/3 ページ)

» 2009年10月29日 13時41分 公開
[ITmedia]

戦術はボードゲーム、戦闘はカードゲーム

 ここまでの話を聞いて、ボードゲームの匂いを感じ取った方がいたとしたら、なかなかスルドイ。そう、アップルシードタクティクスは、伝統的なボードゲームのテイストをかなり取り込んでいる。それはこれらのゲームが、“シンプルなルールで深い駆け引き”という命題を実に見事にクリアしているからだ(アヴァロン・ヒルとか、ドイツゲーム大賞といった単語に反応できる人なら、きっと楽しんで戴けること請け合い)。

 もちろん、それ以外の人でも心配はいらない。ルールブックを読んだうえで、勝つべき作戦を考えるのが好きな人なら、あるいはそういったことに興味や関心、あるいは自信を抱いている人なら、ボードゲームそれ自体の知識や経験はどうでもいい。ただ、アップルシードタクティクスというゲームが、どういった系譜の中から出てきたゲームなのかを知っておいてもらえればそれに越したことはないというだけである。

総数174カ所に上る拠点とそれを繋ぐネットワークシステム。原作コミックのワールドマップを用いつつ、原作では細かく決められていないアフリカや南米などについてオリジナル設定を施している

 ところで勝利のための作戦と言っても、そこには複数のステップがある。戦争学でいう、戦略、戦術、戦闘という区分だ。

 アップルシードタクティクスにおいて、ボードゲームの要素が取り込まれているのは「戦術」のレベル。それに対して、「戦闘」レベルではカードゲーム、具体的に言えば、トレーディング・カードゲームのテイストを取り込んでいる。ゲーム内にあるショップでカードを買ってきて、それでチーム(部隊。“デッキ”と呼んでもいい)を編成し、各種の任務を行う。それによって各勢力の支配状況を示すワールドマップが変化していく。これがゲームの基本的な進行になる。

ゲームをプレイすることで獲得できるPP(=Play Point)を消費することでカードやアイテムの購入が可能。何枚ものカードを集め、最良の組み合わせを探していく課程はトレーディング・カードゲームと同じ感覚

肝心要の戦略はコミュニケーションで

 ところで、よく“戦略のミスは戦術ではカバーできず、戦術のミスは戦闘ではカバーできない”と言われる。戦術がボードゲーム、戦闘がカードゲームならば、戦略は?

 その答えは――ここで5チームジャンケンを思い出していただきたい。

各ユニットには任務適性がある。また、夜間、気候、地形への対応力、実行できる行動内容なども細かく決められている。ユニットの使い方を把握することが自身の、そして勢力の勝利にとって第一歩となる

 そう、プレイヤー同士のコミュニケーションが戦略を生み出すのである。アップルシードタクティクスでは、プレイヤーが行う任務は戦闘だけではない。ゲーム内用語で言えば、「戦闘」「謀略」「警備」「内政」「労働」「交渉」という6種類の任務がある。大別して、支配地域の繁栄を目指す対内的な任務と、敵勢力に対して有利な状況を作り出す対外的な任務がある。

 これら6種の任務は相互に関連している。攻め一方で守り度外視では勝てないし、武断派路線を突き進もうとしても外交手段で止められてしまうこともある。同じ勢力に所属するプレイヤー同士が連携しなければ効果は出ないのだ。

 誰かが豊かな土地を開発し、誰かが敵を食い止め、またある者は敵の領地を削り取る。外交官として勢力間のパワーバランスを操る者も必要だろう。そのための手段としてゲーム内には掲示板やメールが用意されている。これらのコミュニケーションツールを駆使して、同志とコミュニケーションを取り、戦略を固めていくのだ。

勢力を富ますには、すべての任務をある程度均等に、また密な連携を取って行っていかねばならない。セオリーはあるが、その通りにできるかは周囲の状況次第。臨機応変かつ将来を見据えた判断が求められる

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