角川ゲームスがエンターブレイン、アスキーメディアワークスのゲーム事業統合を発表――角川ゲームスカンファレンス KICKOFF

自社開催のカンファレンスにて、角川ゲームスは、自身の子会社のゲーム事業を統合する事を発表した。新生・角川ゲームスが放つ新作「天空の機士ロデア」の詳細とは。

» 2011年01月21日 03時24分 公開
[蒼之スギウラ,ITmedia]

 角川ゲームスは1月20日、東京都の泉ガーデンギャラリーにて「角川ゲームスカンファレンス KICKOFF」を開催した。

 イベントでは、同社のニンテンドー3DSへの参入と、ニンテンドー3DSで発売される新作ゲームタイトルの公開。また、これまで別々にゲームの製作および販売事業を手がけていた、エンターブレイン、アスキー・メディアワークス、角川書店、角川ゲームスの家庭用ゲームパブリッシング事業を、今年4月から角川ゲームスに統合する旨が発表された。今後は制作を各社が、発売元が角川ゲームスへと一本化されることになる。

 今回は、発表された新作タイトルと、新体制となった角川ゲームスについてお届けする。

角川ゲームスの3DS参入初タイトルがついに明らかに! 「天空の機士ロデア」発表!

角川ホールディングス代表取締役社長、佐藤辰男氏

 イベントスタートの口火を切ったのは、角川ホールディングス代表取締役社長である、佐藤辰男氏。

 今回のイベントを開催するに当たっての挨拶をしたのち佐藤氏は「角川ゲームスは、約1年前に創立されました。5年後、10年後に、この時こそが角川グループのターニングポイントになっているであろう事を、確信しております」と発言し、角川ゲームスブランドへの強い期待と自信を示した。

 続いて登場したのは、今回初お披露目となる新タイトルWii/DS3「天空の機士ロデア」のプロデューサー、角川ゲームスの長谷川仁氏と、プロペ代表取締役社長で本作のエグゼクティブディレクターを務める中裕司氏。

角川ゲームス「天空の機士ロデア」プロデューサーの長谷川仁氏
プロペ、代表取締役社長。本作エグゼクティブディレクターの中裕司氏

 両氏が登壇し終えると、ゲーム紹介のためのプロモーションビデオが上映され、終了しだい、ゲームの内容についての紹介がスタートした。


 注目すべきは、誰でも直感的に空を飛び回れる、というアクションシステム。空を飛ぶというアクションは、高い操作性を実現するのが難しいとされてきた動作のひとつだった。しかし本作では、それをWiiリモコン、もしくはタッチペンを活用することで解消したという。

 操作は、Wiiリモコンのみを使用し、ヌンチャクは使用しない(今回の説明は、Wiiを基準に行われた)。リモコンでポイントを指定すると、そこに向かって操作キャラクターが飛んでいく、というシステムで、飛翔中に他のアクションも行えるため、手軽にアクロバティックな体験ができる。長谷川氏と中氏は、これを“飛行アクションの革命”だと語った。



 戦闘機との戦いでは、相手の機体をポインティングして、ドッグファイトのような戦いができ、目も眩むような巨大なボスと戦う際は、ボスの体の周囲を飛び回って、攻撃を回避しつつ弱点を探したりと、ひとつのアクションを利用し、様々な遊び方ができるのもまた、ひとつの特徴だ。

 この説明の締めとして中氏は「誰もが一度は憧れたことのある“空を飛ぶ”という夢をこのゲームの中で叶えられるように、という思いで製作をしました。是非よろしくお願いいたします」と、本作に対する思い入れを語った。

 システムについてのプロモーションがひと段落すると、続いては、ストーリーとキャラクターについてのプロモーションがスタートした。

左がヒロインのイオン(声・花澤香菜)、右は主人公のロデア(声・中村悠一)

 本作のシナリオや世界観は、多くの大作アクションRPGのシナリオを手がけてきた、実弥島巧氏が担当しており、壮大なストーリーが展開される。

 主人公であるロデアは、1000年前に作られ、記憶を無くした機械兵士として目覚める。ロデアは、ヒロインのイオンとともに行動する中で記憶を徐々に取り戻し、1000年前の真実へと迫ってゆく。長谷川氏は、本作のテーマを「機械と人間の絆」であると発言した。

 次に、ロデアとイオンを演じた、中村悠一さんと、花澤香菜さんの、ビデオメッセージが公開された。


ロデア役の、中村悠一さんのビデオメッセージ
イオン役の、花澤香菜さんのビデオメッセージ

 中村さんは、自分の演技について「人ではないけれど、人に近い存在、というキャラクターをどう演じるか、というのが演技をする上で考えさせられたところでした」とコメント。花澤さんは、自分の演じるキャラクターについて「ロデアを引っ張りまわすような、パワーを持ったキャラクターです」とコメントした。

 本作の紹介の最後として、中氏は「中村さんと花澤さんの声の掛け合いや、紹介できなかった対戦モードなど、楽しみ方は非常に沢山用意してあります。是非皆様、よろしくお願いします」と、本作をアピール。

 続いて長谷川氏も「今回にプロジェクトは“名作”を作りたい、という決意のもとに製作をスタートさせております。皆様のお手元には、確実に名作となるものをお届けさせていただきたいと思っております」と、非常に力強いコメントを残し、紹介の終了となった。

角川ゲームスとクラフト&マイスターの強力タッグで送る完全新作「アースシーカー」紹介!

 続いて「天空の機士ロデア」と同じく、角川ゲームスによってパブリッシングがなされる作品として「アースシーカー」の紹介がなされた。

 本作は、今年の4月7日にWiiで発売されるアクションゲームで、製作はクラフト&マイスターが行っている。

エンターブレイン代表取締役社長、浜村弘一氏
クラフト&マイスター取締役、船水紀孝氏

 紹介にあたって登場したのは、エンターブレイン代表取締役社長の浜村弘一氏と、本作のゲームデザインを担当したクラフト&マイスター取締役の船水紀孝氏。


 「アースシーカー」は、失われた人類の遺産を集めるために、未開の地を冒険するアクションゲーム。“ガーディアン”と呼ばれる小さな仲間達とともに、行く手を阻むモンスターを倒し、遺産を手に入れるのが目的となる。

 本作の特徴的なアクションとして「タイムストップアクション」が挙げられる。一般的なアクションゲームでは、ポーズを押さなければ、時間の進行は止まらない。しかし本作では、考える必要のあるあらゆる場面(アイテムウィンドウを開くタイミング等)で、ゲーム内の時間がストップする。

 この仕様によって、プレイヤーはいつでもゲームの進行をストップさせることができるため、敵の行動を見てから、ゆっくりと戦略を練る事ができたりと、アクションゲームが苦手な人でも楽しめる。

 船水氏は、本作の制作に当たっての思いを「これまで私は、アクションゲームばかりを製作してきました。ですが、私が製作したゲームを色々な人に遊んでもらった時、多くもらった感想が“アクションゲームが苦手で上手く出来ない”という声でした。そういった声に答えて、じゃあ誰でも出来る、楽しいアクションゲームを作ってやろう! という思いで製作したのが、このアースシーカーです」と、熱く語った。



 更に、新たな楽しみ方として、ニンテンドーDS向けに用意されているDSiウェアと連動しているシステムが存在する。回復アイテムをDSi上で製作でき、発掘した遺産の削り出しなどもできるとの事。それぞれは、ミニゲームとして作られており「家ではWiiで、外ではDSiウェアで、アースシーカーを楽しめます」と、船水氏は説明した。

ブラックマヨネーズの小杉竜一さんと吉田敬さん

 4月7日に発売となる本作は、今後プロモーションの一端として、人気芸人コンビ「ブラックマヨネーズ」によるテレビCMが放送される。

 アースシーカーの紹介は、続いて公開された、ブラックマヨネーズによるビデオメッセージで、吉田さんが発した「こんな面白いアースシーカー、買わないなんてどうかしてるぜ!」というコメントを持って、終了となった。

角川ゲームスの新体制が発表! 角川っ子の須田剛一氏も応援ゲストとして登場!

 次にスタートしたのは、角川ゲームス代表取締役社長の安田善巳氏と、グラスホッパー・マニファクチュア代表取締役である須田剛一氏によるトークセッション。

角川ゲームス代表取締役社長の安田善巳氏
グラスホッパー・マニファクチュア代表取締役

 安田氏は、角川グループの原点は80年代のテーブルトークRPGにあると切り出す。そこでスクリーンに映し出されたのは、過去にテーブルトークRPGブームを引き起こした作品である「ロードス島戦記」を掲載していた雑誌「コンプティーク」。ここから、ゲーム以前にRPGという概念が生まれたのだ。

 角川ゲームスの今後について、安田氏は「原点に戻り、クリエイターとともに、角川グループとしてゲームを作っていきたい」と発言。これについて「フランチャイズタイトルとなるゲームIPの創出」と「ゲームクリエイターと角川IPのコラボレーション」というふたつのビジョンを持って、今後の活動を行う事を宣言した。

 このトークセッションの締めくくりとして発表されたのが、角川グループとして活動を行って来たエンターブレインとアスキーメディアワークス、角川書店、角川ゲームスの4社の家庭用ゲームパブリッシング事業を角川ゲームスに統合するという事。海外事業の展開も視野にしている新生・角川ゲームスに今後も期待したい。

任天堂代表取締役専務の波多野信治氏

 イベントの最後には、任天堂代表取締役専務の波多野信治氏が、サプライズゲストとして登場。

 波多野氏は「独創的で新しい取り組みで、ゲーム事業に取り組まれる会社には、今後も協力を惜しみません」とコメントし、それを持って、今回のイベントは終了となった。



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