メタボな筆者が生まれて初めて本格的なヒルクライムレースに参加してみた自転車はガジェットだ!

人生初のヒルクライムレース、後半には雨と鼻水、その先に見えたものは……?

» 2015年05月05日 06時00分 公開
[布施繁樹ITmedia]

 筆者はなにより坂が嫌いである。え? 少し前にポタクライムのススメを紹介していたが、これはゆっくり走って山を楽しもうという遊び方。スポーツとしてのヒルクライムは大の苦手といってもいいだろう。

 理由としては、重量級の身体なので、とにかく重いのである。ヒルクライムは、とにかく重力に逆らって坂を上がっていくものなので、軽ければ軽いほどいい。重量級な私はオモリを付けてウェイトトレーニングをしているかのごとく、重力が襲ってくるのだ。

 しかしながら、スポーツバイク歴2年、ロードバイクに乗り始めて半年の筆者は何を思ったのか、結構本格的なヒルクライムレースに参加してみることを決意したのだ。その理由とは?

安全に実力を試すことができるヒルクライムレース

 さまざまなメディアで、ヒルクライムは初心者にうってつけのレースだと言われている。

 まず、スピードが出にくい。ほかのレースイベントでは、時速40km以上出てしまうこともあるが、ヒルクライムは時速10km程度や、筆者のような初心者では歩くようなスピードの時速数kmということもザラなのだ。万が一、コケて(落車して)しまっても大事故になりにくいレースと言えよう。

 さらに、自分の実力が分かりやすい。平坦では慣性で進んでしまう自転車も、ヒルクライムでは漕ぐのをやめてしまうとすぐに止まってしまう。つまり、レース中は基本的にずっと漕いでいないといけないのだ。いかにパワーを出すか、さらに疲れを分散させるテクニック、効率のよい回転など、さまざまな要素を試すことができる場となる。

 それらの理由により、下山のダウンヒル(自転車で下る)を注意すればヒルクライムレースは初心者にちょうどいいレースイベントなのだ。

歴史あるツール・ド・八ヶ岳に挑む!

 筆者が今回挑戦したのは、長野県で開催される「第29回 ツール・ド・八ヶ岳」という大会。過去28回も開催されている歴史あるヒルクライムレースなのだ。

 コースは、標高2127mの麦草峠まで駆け上がり、標高差1300mを25km走るという、初心者としては未体験ゾーンと言える過酷なコースとなっている。筆者がよく走っている定峰峠(埼玉県)は約5kmなので、実に5倍の距離を一気に走ることになる。

 ヒルクライムレースには選手のレベルに応じて、「カテゴリ」というものが用意され、近いレベルの人と一緒に走ることで、選手同士の接触リスクを低減している。筆者が選択したのは、体重75kg超級の「バイシクル21杯」である。

 会場入りしたのは、当日午前0時頃、そう、車中泊を選択した。人生初のヒルクライムレース、しかも苦手な分野ということもあり、あまり眠れなかった記憶しかない(さらに少し腹痛も)。

 筆者のカテゴリスタートは9時20分、それまでにウォーミングアップを済ませてスタート位置に並ぶ。時間になり、スタートだ。

ウォーミングアップをする筆者。いきなり負荷をかけると負担が大きすぎるため、ウォーミングアップはかかせない
今回は自転車仲間のW氏と一緒にはじめてのヒルクライムレースに参戦した
参加者は約1800名。数あるヒルクライムレースの中でも大規模なほうだそうだ
コースは一般道を交通規制して行われるため、普段よりも安全に走ることができる

 ヒルクライムについて経験者に伺ったところ、最初はとにかく「頑張らない」ことだそうだ。頑張っても、途中で疲れてしまうため、最初から一定ペースで走ったほうが結果的に好成績につながるとこと。

 筆者はそれを信じて、最初から頑張らない走行を意識した。具体的には、心拍数モニターをつけていたため、心拍数を160〜170前半に維持する走り方だ。

もう無理……ムリ……

 序盤のキツイところをクリアすると、別荘地ゾーンに入っていく。筆者がもっとも気持よく走れたと思ったゾーンでもあり、全体的な斜度も緩いようだ。さらに、別荘地ゾーンの後半には少し長い下りを含む平坦があり、スピードも出せる。だが、それを抜けて中間地点(ハーフコースゴール)のスキー場を超えると、本当の地獄が待っていたのだ。

 それは2つ。

 ひとつは、斜度。残り10kmを500m駆け上がるのだが、ところどころで斜度のキツイ部分が出てくる。すでに15km走っている筆者にとって、後半の坂はキツイ以外のなにものでもなかった。

 もう一つは、「雨」だった。中盤よりポツポツ降りだした雨は、本降りとなり選手に襲いかかってきたのだ。標高の高い本コースと相まって、気温もどんどんと下がってくる。体力の落ちた後半に、雨と低温で、心はとっくに折れきっていたのだ。

 しかしながら、それでも上っていこうと決意させてくれたのが、「がんばれー! あともうちょっとー!」という声。先行してゴールしていた選手が下山してくるときにすれ違うのだが、その際に応援してくれるのだ。

 なんとか泣きそうになりながら、約25kmのコースをゴールした。いや、鼻水はずっと出っぱなしだった。

水分を用意してくださる地元のボランティア。ありがとうございます!
速い選手は颯爽と駆け抜けていく
中間地点で筆者はもうヘロヘロだった

この達成感は病みつきになりそう

 いろいろなところで、「ヒルクライムはキツイけれども達成感がスゴイ」と言われていた。確かにポタクライムをしていても、景色を観る達成感はあったのだが、それほどまでに達成感あるのか? 上っている最中、自分はどMなのではないか、そんな気持ちさえあった。

 いざ、ゴールしてみると「ああ、こんな自分でも25kmもヒルクライムできたんだ、頑張れたんだ」と達成感に包まれたのだ。ゴールした当日こそ、もう走りたくないという気持ちが強かったのだが、翌日には来年は軽量化してがんばろうという気持ちになっていた。

 そう、ヒルクライム(レース)イベントは達成感がヤバイ。この言葉は本当だった。

標高2127mのゴール地点は4月下旬でも雪の壁ができていた。このような風景が見られるのもヒルクライムのだいご味
大会後にはじゃんけん大会が行われ、筆者は野沢菜漬けセットをゲットした!

 ちなみに、3時間の目標でスタートした筆者は、約2時間40分でゴールすることができた。トップ選手がおおよそ1時間ちょっとの時間でゴールしているため、約2.5倍の時間がかかってしまったが、無事にゴールできて良かった。

 スポーツバイクを購入して、「力試しに何かレースに出たいな」と思ったら、ヒルクライムイベントをおすすめしよう。ゆっくりでも、参加する、完走を目指すだけでもじゅうぶん達成感の得られるレースだ。

 ちなみに、ツール・ド・八ヶ岳を1回走っただけで約1kg減量した。それだけハードなイベントだったのだ。本レースで一緒に走ってくれた自転車仲間のW氏、サポートしてくれたN氏に感謝申し上げたい。

関連キーワード

自転車 | イベント | 初心者 | バイク


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/03/news002.jpg 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  2. /nl/articles/2405/02/news023.jpg 【今日の計算】「2+7×9−3」を計算せよ
  3. /nl/articles/2405/02/news004.jpg 80代一人暮らし女性の“その都度が大事”なキッチンお掃除術 毎日少しずつ……の習慣に「尊敬しかない」「すごくやる気をもらえます」と称賛の声
  4. /nl/articles/2405/01/news013.jpg IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  5. /nl/articles/2405/01/news128.jpg 「笑い止まんないw」 少女漫画風の顔をメイクで再現したら……? 衝撃の“おもしれー女”が爆誕 「笑うと怖!!」
  6. /nl/articles/2405/01/news131.jpg なんでそうなった? のこのしまアイランドパーク園内看板の名称が「俺は間に合わなかったがトイレはあっちだ君」に決定
  7. /nl/articles/2402/15/news019.jpg 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  8. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. /nl/articles/2405/02/news106.jpg 【今日の難読漢字】「鱸」←何と読む?
  10. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評