私がApple Watchを1年間着け続けられた理由:発売1周年
発売からまる1年がたったApple Watchですが、今でもiPhoneと一緒に肌身離さず活用しています。なぜ飽きることなく使い続けているのか、その理由を考えてみました。
2015年4月24日、Apple Watchの販売が始まりました。残年ながらアップルストア店頭での販売は行われず、注文はオンラインでのみ受け付けていたため、この日から買った人の家に届きはじめるという、なんともお祭感のない幕開けでしたが、約1年で、Apple Watchを取り巻く環境は大きく広がりを見せました。
当時、スマートフォンと連携する機器としては珍しく、フランスはパリのGaleries Lafayette、英国ロンドンのSelfridges、また日本でも伊勢丹新宿などで試着、販売を行ったことは話題になりました。また2015年10月には、エルメスとコラボした「Apple Watch Hermes」も登場しました。さらに2016年4月には、新しいナイロンバンドを発売したほか、Hermesブランドのバンドの単体販売を開始。ファッションアイテムとしての存在感も高まりつつあります。Appleの発表によると、2016年1月時点で、Apple Watchは世界48カ国、約1万2000の店舗で販売しているとのこと。
そしてApple Watch対応アプリは、2015年10月にOSをwatchOS 2にバージョンアップして、開発の自由度が大きく向上したこともあり、2015年12月時点で1万5000ほどになったと言われています。単にiPhoneの通知を受け取るサブディスプレイとしての役割だけでなく、さまざまな形で活用されており、臨床研究などにも活躍の場を広げています。
前置きが長くなりましたが、そんなApple Watchを、発売日に手に入れてから、1年間ずっと使い続けています。Apple Watchを買う前は、腕時計はほとんどしなくなっていて、時間の確認はiPhoneを見たり、街中の時計を見たりしていました。ですが、Apple Watch購入後は、充電時と入浴時を除いて、ほぼずっと左腕に着けています。
なぜApple Watchを飽きずに使い続けられたのか、Apple Watchを着けることが習慣になるまでにどんなことをしたのか、といった点を改めて紹介したいと思います。
Apple Watchの最も便利な機能は「スタンド」
Apple Watchを使っている人に「Apple Watchの最も便利な機能は?」と質問したら、きっといろいろな答えが返ってくるでしょう。できることはたくさんありますし、使い方も人それぞれです。「通知」という人は多いでしょうし、「活動量(運動量)を測る機能」という人もいるかもしれません。また、iPhoneアプリと連携していろいろな情報が見られたり、Siriを活用して、手を使わずにアラームやタイマーをセットできたりするのも便利です。
ですが、あえてApple Watchの最も便利な機能を1つ挙げるとすれば、それはアクティビティアプリの「スタンド」機能だと思っています。これこそが、1年間Apple Watchを使い続けた理由の1つです。
スタンド機能は、1時間の間に、立ち上がって体を動かしたりしていない場合に、立ち上がるように促してくれる機能です。アクティビティアプリの3つの円のうち、最も内側の水色の円で表示され、立ち上がった1時間が12回あると1日の目標達成になります。
毎時00分から計測が始まり、まったく立ち上がっていないと、50分になったとき、「スタンドの時間です!」とApple Watchが通知を出してくれます。
米国では、“Sitting is the new smoking.” と言われているそうです。「ずっと座っていることは、喫煙するのと同じくらい健康リスクがある」という意味です。実際、会社のデスクや自宅などで集中して原稿を書いていたりすると、ついつい体を動かさないまま時間が経過してしまうことがあります。そのままだと、腰を痛めたり、肩が凝ったりといった直接的な問題につながる可能性もありますし、エコノミークラス症候群のように、足の静脈に血栓などができてしまう危険性も生じます。
そんなとき、Taptic Engineのバイブレーションが、さりげなく腕をコツコツとたたいて、休憩を促してくれるわけです。仕事の手を休めて立ち上がるのはいい気分転換になりますし、逆にそれまでは安心して集中できるようになりました。
ただ、会議中だったり、映画を見ていたりすると、さすがに立ち上がって歩き回るわけにはいかないので、潔く諦めるわけですが、ちょっと悔しくなる瞬間です。
1時間に1回立ち上がることを促す機能は、今でこそ一部の活動量計などにも搭載されていますが、Apple Watchが出た当初、このスタンド機能は他のデバイスにはない機能でした。スタンドの通知を受ける、という目的があったことで、Apple Watchを着けるのが習慣化したわけです。
なんとなく面白そうだから、あるいはAppleの新製品だから、といった理由でApple Watchを購入した人の中には、早々に飽きてしまった人も少なくないのではないでしょうか。目的は「通知を逃さない」などでもいいのですが、とにかく目的がないと長続きはしないと思います。
最初の環境整備は不可欠
こうしてApple Watchを使い続ける目的はできたのですが、それを維持するためにはもう1つハードルがありました。それは環境整備です。箱から出したままの、初期状態のApple Watchは、いろいろとカスタマイズをしてやらないと、快適には使えません。ここはwatchOSのバージョンアップなどを通して、今後改善が必要なポイントだと思います。
初期状態のApple Watchを快適なものに変えるには、まず通知の絶対量を減らす必要があります。対応アプリをたくさん持っていると、次々と通知が来るので、本当に通知を表示すべきアプリを厳選して、他はオフにするよう、調整しないと、煩わしさの方が強くなります。見逃したくないメールやメッセージの着信、インスタントメッセンジャーの通知以外は思い切ってオフにしてもいいくらいです。
また、バッテリーは1日以上持つとはいえ、タイミングを考えて充電する必要があるので、自宅以外にも充電できる環境を用意しました。具体的には、自宅と職場に1つずつ、充電器を置いています。バッテリーが少なくなったなーと思ったら、スタンド通知の合間を見計らって、すぐ充電できるようにしています。2015年11月に発売された「Apple Watch磁気充電ドック」は、とても便利で重宝しています。
最初はちょっと手間がかかりますが、一度ハードルを越えてしまうと、その先にはさしたる苦労もなく活用できる世界が広がっています。活動量計なども同じなのですが、バッテリーが切れて使えなくなってしまうと、強烈ながっかり感に襲われますので、特に充電環境は重要と言えるでしょう。
複数を使い分けられる交換式のバンド
同じものを長く使っていると、どうしても飽きてしまいがちですが、Apple Watchははバンドの交換が容易なので、いろいろと楽しむことができます。これも1年間使い続けられた要因の1つだと思います。
私が最初に購入したのはApple Watchのミラネーゼループですが、スポーツバンドの新色が出たタイミングでミッドナイトブルーを1本追加し、その後ウーブンナイロンが登場したので、ロイヤルブルーを1本購入しました。
ミラネーゼループは、金属製の割に通気性もあって軽く、エレガントなデザインなのでどんな服装にも合い、扱いやすいので今でもときどき使います。スポーツバンドは、フルオロエラストマー製で最初は肌触りがいいのですが、使っているうちにだんだんこすれたりしてさらさら感がなくなってきます。薄い色だと汚れや色移りも気になるようになります。汗ばむ季節にはぺたっと肌に付く感じでやや不快感も覚えるので、最近はあまり使いません。今のお気に入りはウーブンナイロンで、軽く、着け心地もいいので、普段はウーブンナイロンをすることが多いです。
できればあと数本、ブルー系とは違う色合いの、レザー製のクラシックバックルやウーブンナイロンを追加したいと思っています。特にウーブンナイロンは価格も手ごろなので、変化を付けるのにはもってこいです。スポーツバンドやウーブンナイロンは、上下で異なる色を組み合わせて使うこともできるので、複数持っているとバリエーションが広がります。Apple Watchを持っていて、交換用のバンドを購入したことがないという人は、ぜひ試してみてください。店頭で試着もできますので、アップルストアが近くにある人は、ぜひ実物を見ながら悩んでみることをお勧めします。
さて、ざっと1年間Apple Watchを使い続けられた理由を挙げてきましたが、実は非常にシンプルであることが分かります。あれもこれも……と欲張らずに、独自の機能を自分に合うかたちにカスタマイズして使いこなせた、というのが大きかったように感じます。これからApple Watchを使ってみようと思っている人は、ぜひちょっとお節介に感じるくらいのスタンド機能を楽しんでみてください。一時期使ってはいたけどしばらく充電していない、という人も、自分に合ったカスタマイズを施すため、改めて使用環境を見直してみてはいかがでしょうか。ついでにバンドも交換してみると、気分も向上すること請け合いです。
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