なぜ今スマートウォッチ市場に? カシオの本気と確かな技術
なぜスマートウォッチ市場に参戦したのか? カシオならではの技術とは。
カシオのスマートウォッチを触ったことはありますか? G-SHOCKに代表される数々の製品を見れば分かる通り、カシオはファンの心をつかんで離さない、確かな技術と思想を持っています。
今回は、スマートウォッチ市場に進出したカシオの意気込みを過去の記事から調べていきます。
カシオがスマートウォッチを作る意味
ライターの荻窪圭さんによる樫尾和宏社長へのインタビュー記事では、カシオ初のスマートウォッチ「Smart Outdoor Watch WSD-F10」が発売に至るまでの経緯について語られています。
なぜスマートウォッチの取材で社長なのか、もっと現場の開発者もいるだろうに、と思う人もいるかもしれませんが、樫尾氏は2015年6月に社長に就任するまで、コンシューマ・システム事業本部長として、ずっとWSD-F10の開発を見てきた張本人。
「カシオがスマートウォッチを作る意味はどこにあるのか」「なぜ今なのか」といった疑問に、樫尾氏は下記のように答えています。
本来うちはデジタル時計のカシオですから、「リストテクノロジー」という形でいろいろな製品を作ってきました。そしてスマートウォッチは究極のデジタルウォッチ、リストテクノロジーの究極版に近いものだと考えています。そういう製品が他社からは出ているけれども、デジタルのカシオとして、本来うちがやらなければならない領域なのに、製品が出せていなかったんです。
他社の製品を見ると分かるように、スマートウォッチは、Appleも含めて、時計メーカーではなく情報機器メーカーが作っているのが現実です。
時計も情報機器も、両方ともきちんとやっているメーカーはあまりないので、うちがやらなきゃいけないのは分かっていました。ですが、それが実現できなかったのは、時計事業部のノウハウだけでは難しかったからです。やはり情報機器の事業部との融合が必要でした。
(開発には)やり直しを含めて、4〜5年くらいかかっています。いろいろな方式を試しながら、試作のレベルまでいったら何種類もあります。(樫尾氏)
「カメラの事業部で作るとカメラにしかならない」「時計の事業部でやると時計にしかならない」……過去の経験からスマートウォッチは新規事業開発部という、時計とは離れたところで開発が進められました。
樫尾氏のインタビュー全文は下記参考記事からどうぞ。
実際の製品はどんな具合?
満を持して投入されたカシオのスマートウォッチ「WSD-F10」。実際の使い勝手はどうなのでしょうか。荻窪圭さんによるレビュー記事で見ていきましょう。
WSD-F10は、スマートウォッチと言っても、カシオならではの技術が詰まったアウトドアウォッチ。「高度計」「気圧計」「電子コンパス」などの機能を搭載しており、Apple Watchなどの従来の製品とは、本体の大きさもデザインのコンセプトもまったく違います。
動画で見る「WSD-F10」
「WSD-F10」がCES 2016で展示されたときの様子が下記の動画です。ウォッチフェイスの切り替えの様子や、充電端子の使用感などを知りたい方には参考になると思います。
また、防水性能のデモや、サイクリング用、トレッキング用、フィッシング用のアプリを個別に紹介した動画も公開されています。
「当たり前のものを作ってもしょうがない」
冒頭で紹介したインタビュー内で樫尾氏は、「なぜWSD-F10はアウトドア用スマートウォッチになったのか」という問いに対して、以下のように話しています。
アウトドア用のアプリはスマートフォン用にたくさん出ていますが、歩きながら、あるいは走りながら、スマホを見ることは容易ではありません。いったん行動を止めて、立ち止まってスマホを見ています。アウトドアでこそ腕で見る、知る、というところが求められているにもかかわらず、そこに合わせたスマートウォッチがなかったんです。カシオはG-SHOCKの技術を持ってますから、本当に装着感がよく、普段もアウトドアでも使える時計を作れます。(樫尾氏)
あらためて、なぜカシオが今スマートウォッチ市場に参入してきたのか――樫尾氏は、「既存市場への参入ではなく、新しい市場を作っていくという使命感がある」と答えています。
カシオ計算機は本来「創造と貢献」の企業なのです。世の中になかった新しいニーズを生み出して、新しい使い方をしてもらって、新しいユーザーを獲得する。それが「創造」ですね。新しいニーズを生み出して広げていければ、そこをやっていけばいいと思います。(樫尾氏)
G-SHOCKなどの開発に裏打ちされた確かな技術力と、新しいものを創造していかなければという強い自負。カシオがマニアの心をつかんで離さない理由は、きっとこのあたりにあるのでしょう。
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