季節によって気持ちが落ち込む「季節性感情障害」の原因と対処法:臨床心理士みらーのメンタルアドバイス
みなさんは、冬になると気持ちが落ち込んだり不調になったりということはありませんか? 実は気分の落ち込みには季節が関係する場合があり、冬になったときだけうつ病のような症状が起きてしまう「季節性感情障害」という病気もあるくらいです。冬はメンタルを崩しやすい季節なのです。
春になったら気分が明るくなり、夏になったら活動的になり、秋になると感傷的になり、そして冬になったら落ち込むというのは一般的にもなじみがある感覚だと思います。では、なぜ冬はメンタルの不調が起きやすいのでしょうか。またその対策はどうすればいいのでしょうか。
臨床心理士みらー プロフィール
大学院修了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。
現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。
冬に調子を崩しやすい原因とは
冬に調子を崩しやすい理由はさまざまなものがありますが、よくいわれているものに次の3つがあります。
短い日照時間
眠りに強い関係があるホルモン、メラトニンは、暗くなると分泌が活発になるという特徴があります。日照時間が短いと、メラトニンの分泌のタイミングがずれたり過剰になったりして、常に眠気やけだるさが起きてしまいます。
また、人間は日光を浴びるとセロトニンという人を活動的にさせるホルモンが分泌されます。日照時間が短くなると、このセロトニンの分泌量が減り、憂鬱(ゆううつ)な気分になってしまいます。
急激な気温、気圧の変化
人間は自律神経で日々身体の調子を整えて過ごしていますが、自律神経は急激な変化に弱いという特徴があります。冬の寒さと室内外の急激な温度差、そして気圧の変化は自律神経にストレスを与え、その結果、免疫力や抵抗力が弱くなってしまいます。
自律神経の乱れは心にも影響を与えるので、気分の落ち込みが起きてしまいます。
筋肉の緊張が続くことによる疲労
冬は身体を動かすのがおっくうになる時期です。そうすると身体が冷えやすくなり、筋肉や神経を緊張させて、体温の低下を防ごうとします。すると身体はずっと緊張した状態になります。この状態が続くと緊張状態が続くために身体が休まらず、疲労がたまり気分も落ち込んでしまいます。
冬のメンタル不調の対策とは
ではこういった冬のメンタル不調にはどう対応していけばいいのでしょうか。方法は幾つかあります。
太陽の光を浴びる
前述の通り、メラトニンやセラトニンの分泌がおかしくなると、睡眠に問題が出たり憂鬱な気分になったりします。この状態を改善するには、日の光を浴びる時間を増やすと同時に、生活リズムを整えることが必要になってきます。できるだけ日中に太陽光を浴びるように心掛けて、セラトニンの分泌を促すとともに日中のメラトニンの分泌を抑制しましょう。
身体を温める
冬は寒暖の差で自律神経の調子が崩れやすいですし、寒さで筋肉もこわばってしまうので、活動する気力がわかないものです。身体を温めるというのは、冬のメンタル不調、そして身体の不調にもとても効果があります。ゆっくり入浴をするなどして体を温めると、血行が良くなりますし、寒さによる筋肉の緊張も緩めることができます。お腹を温めることで胃腸の働きも改善されていきます。
同様に、運動も代謝を良くして身体を温めることができますし、身体の調子を整えてストレスの軽減にも効果があります。
身体の調子を整える食事をする
日照時間の減少によるセロトニンの不足や、寒暖差による心身の不調には、食事で栄養素を補うことが必要です。こういった場合の食事は身体を温めてくれる根菜や、セロトニンを作る働きのあるトリプトファンを多く含む肉や青魚、大豆製品等の摂取が効果的です。
いかがでしょうか。 冬はメンタルの不調が起きやすい時期ですが、日常的にできる対策もたくさんあります。こういった対策をしてうまく冬を乗り切っていきましょう。
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