
「オナニーの未来が、やってきた」――1人の女子大生がたまたま手に取った小冊子にはこう書かれていた。女子大生はこの言葉に心を射抜かれ、小冊子を作った企業へ入社することを決意する。何を隠そう、男性用アダルトグッズ「TENGA」シリーズの製造販売元である。
女子大生の名前は伊藤しずかさん。入社したのは4年前のこと。現在は同社の広報担当として、女性の目線でTENGAを世に広めている。かばんには、手の平サイズの「TENGA EGG」を常に潜ませ、男性に配る機会をうかがっている。
「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」――同社のミッションは明確だ。いやらしい、怪しいといったイメージが先行しがちなアダルトグッズに革命を起こすために存在している。伊藤さんは、そんな大いなる夢と使命を背負う戦士。それも8人しかいない女性戦士の1人である。
それは「快感のオブジェ」

TENGAの認知度は20代・30代男性で5割とのことなので、ご存知の方は多いと思うが、改めて紹介しよう。TENGAは、従来のオナホールとは一線を画すスタイリッシュなデザインで知られる製品だ。女性器の代替という意識ではなく、オナニーを「より快適で気持ちいいものに」するため考案されている。
ラインアップは、使い捨ての「TENGA CUP」、繰り返し使える「TENGA HOLE」、前述のEGGなど。今夏発売した新シリーズ「TENGA 3D」は、表面に凹凸のある筒状の素材をケースから取り出し、ひっくり返して使う。白い素材を透明なケースに収めたパッケージは、まさに「快感のオブジェ」。彫刻のような美しさを放つ。
2005年にCUPシリーズを発売して以降、同社の商品の累計出荷数は1700万個以上に上る。CUP、EGGシリーズは国内で1日に合計1万2000個が売れている。販売網は世界40カ国に広がっており、アメリカやスペイン、中国などで人気だ。人気の裏返しとも言うべきか、海外では粗悪な模倣品が売られていることもあるそうだ。


TENGAは射精障害のリハビリツールとして使われているほか、HIV感染の拡大を防ぐプロジェクト「RESPECT YOURSELF PROJECT」も立ち上げている。「全ての人に性を楽しんでもらいたい」という願いから、手が不自由な人や握力がない人のためにTENGA CUPの自助具も開発した。
今夏にはTENGA 3Dをモチーフにした作品を展示する「TENGA展」を東京・原宿で開催した。写真家の「アラーキー」こと荒木経惟さんら有名アーティストが参加する豪華な展示会で、来場者の3割は女性。夫婦で訪れ、「妻にも了承済みです」と言って製品を買って帰った人もいたという。

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