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多くのネットユーザーが毎日のように見ているGoogleのロゴ。祝日や記念日などにはいつもとちがったデザインで我々を楽しませてくれる。最近では音楽が流れたり、アニメーションが展開したりと、単なる“ロゴ”の枠を越えた手の込んだ作品が増えており、「おっ今日はこう来たか!」と思わず感心してしまうことも多い。
Googleはそれらの記念日ロゴを「Doodle」(ドゥードル、“いたずら書き”の意味)と呼んでいる。米国オフィスに勤務するジェニファー・ホムさんは、同社に数人いるDoodle専門スタッフの1人。大学卒業後、2009年にデザイナーとして新卒入社して以来ずっと、肩書きはずばり「Doodler」だ。彼女にDoodleの裏側を聞いてみた。
「Googleのオタクっぽさ」感じて
Doodleの始まりは98年8月。創業者のラリー・ペイジさんとサーゲイ・ブリンさんが米ネバダ州の砂漠で毎年開かれているアートイベント「Burning Man」に参加したときのことだ。2人が外出中であることを伝えるため、GoogleロゴにBurning Manのマークをデザインして掲載したところ話題に。以来、この遊び心あふれる取り組みが続いている。

ホムさんいわく、Doodleはユーザーに直接語りかけるあいさつのようなもの。「とにかく楽しんでもらいたいというのが1番。Googleの文化の根底にあるオタクっぽさ、芸術への姿勢を見てもらいたい」と狙いを語る。高い技術力で知られる同社だけに「機械的なイメージ」を持たれることも多いが、Doodleにはそういったイメージを払拭し人間味をアピールする意味合いもある。



当初はたった1人のスタッフが手がけていたDoodle。09年に専門チームが誕生してからは実施日も増えている。準備から公開までにかける時間は3カ月ほど。扱うネタの歴史的背景を正しく理解し、ディテールにこだわって描くために必要な時間だ。
Doodleに採用される記念日は、クリスマスやバレンタインといった誰もが知っているイベントデーから、有名人の生誕日、ハチ公やドラえもんのような地域ごとのネタまでかなり幅広い。指標となっているは「アートとイノベーション」の要素が含まれているかどうか。さらには「Googleのオタクっぽさ」が反映されていることも重要なポイントという。
初期はロゴにイラストを追加しただけのシンプルな作品が多かったが、最近は凝った仕掛けが増えている。「Webの可能性を押し広げる」目的で、HTML5などの最新技術を取り入れて制作しているためだ。例えば今年話題になったロバート・モーグ生誕78周年のロゴは、シンセサイザーのようにちゃんと弾けて録音・再生もできるという作り込みようだった。ロンドン五輪の期間中はロゴがミニゲームに早変わり。結果をGoogle+で共有できるようになっていた。
過去の作品はすべて専用サイトでアーカイブされており、Googleトップページでの掲載は基本1日限り。ちょっともったいない気もしてしまうが「毎回フレッシュな驚きがあるほうがユーザーが飽きないし、次を楽しみにしてもらえるから、1日限りで構わない」と語る。今年日本向けに公開した作品は約60件、世界では約270件に上った。今後はこのペースを維持していくという。




ホムさんは今回、小中高生を対象としたコンテスト「Doodle 4 Google」の表彰式のため来日した。「子どもたちの作品は非常に創造力にあふれていて、新しいことにチャレンジにする恐れがないなあと思った」とホムさん。自身もDoodle制作の過程で「常に新しいことを挑戦すること」を心がけている。
「次にどんなものが来るのかユーザーが楽しみにしてくれているので、同じ手法は繰り返さない。Doodlerとして働く面白さは、失敗を恐れないで仕事ができること。ユーザーのためにやっているんだけど自分自身もたくさん学んでいる」と語っていた。


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