北海道・札幌で、一風変わったタクシーを目にするようになった。
エヴァンゲリオンやバイオハザードのラッピングに始まり、見慣れないキャラクターやアニソンで活躍する歌手の写真をデザインした車両もある。広告が一部に施されたラッピングタクシーの存在を耳にすることはあるが、でかでかと車体の全面にキャラクターをラッピングした痛車ならぬ「痛タク」が、数多く目につく都市は札幌だけといっても過言ではないだろう。



それもこのタクシー、広告料や版権などのお金のやり取りをせずに実施することで、最大限の“痛さ”を実現できたというのだ。痛車とフリー経済との関係、より一層興味をそそられる話ではないか……。ということで、「痛タク」を考案し、その展開に1人で奔走する長栄交通(札幌市)営業企画課長の竹内紀仁さんに話を聞いてみた。
札幌の新たな名物に
昨年8月、観光名所としても知られる北海道庁の赤レンガ庁舎で、北海道産ベリー類を擬人化した「リトルベリーズ」のPRイベントが開かれた。このとき披露された痛タクは長栄交通がラッピングしたものだ。ちなみにリトルベリーズは、初音ミクでおなじみの地元企業クリプトン・フューチャー・メディアが絵師のコーディネーションやキャラクター作りに協力している。


今年の3月までは、同じく札幌に本社を持ち、ガイナックスのモバイル向け公式コンテンツを展開するメディア・マジックが当地にてプロデュースした「エヴァンゲリオン展 札幌」にあわせ、エヴァのラッピングタクシーを展開した。同社が痛タクを始めたのはほんの1年前のことだが、こうしたコラボの実績を重ねることで、今や札幌の新たな名物として浸透し始めている。

「痛タク」は広告ラッピングのタクシーではない
痛車の“痛さのインパクト”は、車体にどれだけ大きく効果的にキャラの世界観を表現できるかが決め手となる。長栄交通の痛タクはそのインパクトを高めるためにコラボを無料で行っていると、竹内さんは明かす。
実はラッピングタクシーというのは、各自治体が定めている屋外広告物の規制にあわせて、広告扱いとなるとその露出面積に制限が生まれてしまう。規制に従っていると、ただキャラクターが小さく貼ってあるだけになってしまい、世界観が表現しづらい。痛いことがデザインになっていない、本当に痛い車体になってしまう。そこで広告ではなく、会社独自のデザインとしてのラッピング扱いで展開することで、世界観を持った大胆なグラフィックのタクシーを実現した。
とは言え、痛タクを制作するには最低でもラッピングのための費用が1台あたり何十万円もかかり、コストにシビアなタクシー会社にとってメリットが見出せない冒険であると言える。それも長栄交通は札幌でも小規模なタクシー会社。そこをなぜ踏み切ったのか。
「実は運転手さんのためになるのです」と竹内さんは意外な回答をする。
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