環境省は5月8日、福島第1原発事故によって周辺住民に鼻血や疲労感といった症状が出ていると懸念する声が寄せられたとして、「放射線被ばくが原因で、住民に鼻血が多発しているとは考えられません」と見解を示しました。「不当な風評被害」を回避し、住民の心情に配慮するための対応だとしています。

作品名などに対する具体的な言及はありませんが、今回の声明は、小学館の「ビッグコミックスピリッツ」4月28日発売号に掲載された漫画「美味しんぼ」に端を発する騒動への対応であることは明らかです。
漫画では、福島第1原発を見学した主人公らが突如、鼻血や疲労感に襲われます。医師が主人公の鼻血について「放射線と関連づける医学的知見はありません」と語る場面はあるものの、症状の原因についての説明や推測は多く示されず、「福島では同じ症状の人が大勢いる」と説明したところで掲載回は終了。こうした内容に「風評被害を招く」といった批判が殺到し、大きな騒動となっています。
被ばくによる疲労感や鼻血は、高い線量の放射線を浴びた場合に生じる「確定的影響」の1つとされています。環境省は今回、国連が福島住民に「確定的影響は認められない」と発表していることや、県民健康調査で「放射線による健康影響があるとは考えにくい」範囲の被ばくしか認められていないことなどを挙げ、住民の被ばくによる鼻血や疲労感を科学的知見から否定しています。
「美味しんぼ」原作者の雁屋哲氏は4日、漫画への批判についてブログで「福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない」とコメント。批判への反論は漫画の次々回が掲載されてから行うとしています。ビックコミックスピリッツ編集部は、同誌の5月19日発売号で、今回の騒動に対する識者の見解などを集めた特集を掲載する予定です。
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