即席カップ麺によく書かれている「熱湯3分」の表記。これはお湯を「注ぎ始めてから」と「注ぎ終わってから」どちらを想定した時間なのか、数十年前に東洋水産へからかい半分で電話したところ、「標準大気圧下を想定してのご質問ですか?」と返され動揺して電話を切った、というツイートがTwitterで注目を集めている。
そういえばお湯を注ぎ始めてからカップの内側の線に到達するまでには十秒前後かかる。少しの差で麺の出来上がりに大きな違いが生まれるとは考えにくいが、ツイート主の疑問にも共感できるところだ。また東洋水産の担当者の意外な返しも本当だったとしたら、「熱湯3分」と大気圧にどんな関係があるのか気になる。
まずは「標準大気圧下」という返しについて東洋水産の広報担当者に聞いてみた。現在同社ではカップ麺のお湯に関する問い合わせで、わざわざ標準大気圧下にあるかどうか確認するような対応は取っておらず、当時の担当者がなぜそのように聞き返したのかはわからないとのこと。数十年前となると広報部がまだ存在していないころらしく、そもそもこの返答が実在したかどうかも調べるのが難しい、との話だった。


マルちゃんでおなじみ東洋水産。カップ麺だと「麺づくり」などが有名
返答が実在したかどうかはともあれ、実はカップ麺と大気圧には深い関わりがある。水は気圧が低い場所ほど沸点が低くなり、標高2000メートル前後のジェット機内や山頂あたりでは約93度で沸騰する。なのでこうした高所でカップ麺を食べようとすると、お湯がぬるくて麺がやや固めに戻ってしまうのだ。
この問題を考慮して日清食品とJALが、80〜85度という低い沸点でも麺が戻りやすい機内食用カップ麺「うどんですかい」なんてものを開発・発売しているほど、両者には密接な結びつきがある。ひょっとすると「標準大気圧下」の返しは、これを頭に入れて「熱湯3分」に答えようとした、思慮深い対応だったのかもしれない。

「うどんですかい」(右)。「らーめんですかい」(左)など、機内で温度の低いお湯でも麺が戻るさまざまな特性カップ麺が発売されている
さて、結局「熱湯3分」は「注ぎ始めてから」と「注ぎ終わってから」のどっちなのだろう。ささいな話とはいえ、3分間きっかり時間を計りたい! というときにどのタイミングで数え始めればいいものなのか、そのあたりはきっちりさせておきたい。東洋水産、日清食品、エースコック、サンヨー食品の4社に聞いてみた。


「カップヌードル」などの日清食品グループ。公式サイトにアクセスすると3分間のカウントダウンが始まる


「スーパーカップ」などで知られるエースコック


「サッポロ一番」シリーズが有名なサンヨー食品
「緑のたぬき」「麺づくり」などの東洋水産は、「麺の全体がお湯に浸ってからという認識なので、注ぎ終わってから」との回答。「カップヌードル」「チキンラーメン」で知られる日清食品は、「注ぎ終わってから」。「スーパーカップ」のエースコックも「注ぎ終わってから」。「サッポロ一番」などのサンヨー食品は「公式見解ではないが、技術部の者も含め検討した結果、お湯が内側の線に到達してからが一般的であるという認識。注ぎ終わってから」と答えた。
4社とも、熱湯3分はお湯を「注ぎ終わってから」の時間を想定しているという回答。2005年時点で国内の即席麺出荷額シェアの約9割を占める4社の見解なので、カップ麺のほとんどが該当するものだと考えていいはずだ。時間をきっかり計りたかったみなさん、ストップウォッチの押し始めは、お湯が内側の線に到達した瞬間でよろしくどうぞ!
(黒木貴啓)
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