ヤマト運輸の不在票の上部に付いているギザギザ。実は猫の耳をあしらっているもので、目の不自由な方にへの心づかいからという話が少し前に話題になっていました。これを見て、開発の経緯をもっと詳しく知りたいと思い、ヤマト運輸の担当者に聞いてみることにしました。

このギザギザが付いたのは、1997年8月。「だれもが使いやすいサービスに」との思いから付けられたそうです。アイデアを出したのは、ヤマト運輸の社員である芳賀さん。視覚に障がいを持つ彼女が、同じ目の不自由な友人から「ポストに入っていた不在票に気付かず荷物を受け取れなかった」という話を聞いたことがきっかけでした。「目が不自由でひとり暮らし、なんて宅急便の人には分からないわよね」――そんな友人の言葉が彼女の耳にずっと残っていたそうです。
それからというもの、彼女とクロネコスタッフの挑戦が始まりました。もともとは「点字で専用の不在票を作る」という案が出ていました。しかし調べてみると、目が不自由な人のうち点字を読めるのは2割程度。それに、障がいを持つ人を特別視したくない――そんな思いから、このヤマト運輸の不在票は生まれました。
同じ1枚の不在票で伝えるために、いくつものサンプルを作りました。そして、目の不自由な方たちのもとへと走りました。その結果たどりついたのが両サイドへの切り込み。これが最も分かりやすい方法でした。そしてクロネコヤマトの宅急便だということが連想しやすいよう、その切り込みはネコの耳の形になりました。
ペラっとポストに届いているヤマト運輸の不在票は、たったひとりのひとことから生まれました。「目が不自由でひとり暮らし、なんて宅急便の人には分からないわよね」――ヤマト運輸では全ての不在票に耳が付いています。

(太田智美)
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