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目まぐるしく移り変わるお笑い業界は「食うか食われるか」の超シビアな世界です。そんな中、大阪をはじめジワジワと人気を集めているのが、2人そろって公務員という異色の肩書を持つ女性お笑いコンビの“安定志向”。
「下剋上? 食うか食われるか? ……そんなのまったく気にしません。だって私たち、“安定志向”ですから」

平々凡々が私たちの強みです
福田恵さん(写真右)と藤京子さん(写真左)
福田恵さん(34)は大阪市職員。藤京子さん(32)は府職員(公立中学校の現役教師)として勤務する、肩書だけ見ればかなりお堅い2人。
「ふと思い立って、演劇仲間だった藤さんに、『M-1出てみーひん?』と私が誘ったのがきっかけです。でも2人とも見てくれも超フツーだし職業まで堅い。だったら少しでも印象に残るために、あえてそのままド平凡な地を売りだしてしまえ! と。コンビ名も『公務員=どうせ安定志向なんでしょ?』という世間のイメージをそのまんま名前にしてみました」(福田)
2008年に結成し、過去にはM-1も3回戦進出を達成。ネタ合わせはそれぞれの仕事が終わったあとに公園でやることも多く、仕事が終わればお笑い芸人、朝がくればスーツをビシッと身にまとった公務員という両極端な二足のわらじ生活を過ごしています。
さらに現在も芸人活動と並行して続けている演劇も加えれば、なんと三足のわらじになるのだとか……。
「公務員なので副業禁止規定で漫才やイベントの参加は全部ノーギャラなんですよ。もちろん休日など業務時間外に活動するので、私たちにとって漫才とは言ってみれば“業務外の過剰な市民サービス”。ほんまボランティア同然です(笑)」(藤)
過去に大阪市西成区のプロモーションビデオに大抜擢されたというが、それも「公務員のため出演料がかからないこと」というのも理由だったとか……。さすが公務員、シビアな世界です。
自分の限界を決めない30代でありたい
ギャラももらえず、過密スケジュールで活動しまくる彼女たち。なぜそこまでしてお笑いの道を歩き続けるのでしょうか。
「もともとお笑いが好きというのもありますが、自分がやってみたい! と思ったことに限界を作りたくないんです。それに出来ない理由を年齢のせいにして諦めたくもない。『公務員だから……』『もう30代だから……』『だって毎日忙しいもん』って、出来ない理由ならどんどん出てくるんですよね。芝居も好きだしお笑いも好き。そしてこの歳になってやっと仕事も面白くなってきた。まだ足掻ける余地は十分あるなって。一度きりの人生、限界なんか作ったらおもろくない。眠たささえ我慢すればどうにかなりますから(笑)。40代、50代になっても自分がどこまでいけるか見てみたいんです」(福田)
そして相方の藤さんは二児の母でもある。母として、役者や芸人として、そして教師を加えると四足もわらじを履きこなすスーパーウーマンです……!
「まだまだ模索中で、履きこなすには程遠いですが……。でもネタがウケると単純にすごくうれしい。それに芸人として活動することで、ほかの芸人さんの生の技を直に見れて、間の取り方とか言葉の言い回しがすごく勉強になる。それが教職にもめちゃくちゃ役に立つんですよ。これは大阪の独特な文化かもしれませんが、大阪の子どもたちにとって“笑い”ってコミュニケーションや自己アピールにおいてもすごく重要なんです。だから発表会や文化祭などの人前で何かするイベントのときなどに、間や笑いの要素を伝えることでその子の良さをもっと引き出せるというか……。芸人をやっていて、教師としての引き出しもすごく増えました」(藤)
異色と言われつつも、我が道を爆走する“実はカッコイイ女”な安定志向の2人。好奇心と行動力に関してはまったく安定志向ではなく、全速力で思うがままに突っ走ってます。やはり次のM-1も狙うはダークホースでの決勝進出?

安定を好んだりシャカリキに突っ走ったり
「決勝です! といいたいところですが、準々決勝くらいまでいけたらもう夢のようです。……なんせ“安定志向”ですから(笑)」(福田)
「それに例え芸人としての知名度や人気があがっても、公務員をやめることはないと思いますよ。芸能人にはならないし、なれない。なんせ“安定志向”ですもん」(藤)
……安定を好んだり好まなかったり、異色の経歴と視点をもつ彼女たちから目が離せません。
(青山ゆずこ)
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